FLUIDEFI、AlloyDB で処理速度を 3 倍に高め、DeFi 業界の課題に対応
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
編集者注: FLUIDEFI® は、分散型金融分野の機関投資家向け SaaS プラットフォームです。分散型金融は、その変動性の高さ、断片化しているという性質、明確なガバナンスの欠如のために、複雑なかじ取りが求められる業界です。FLUIDEFI は、リスク認定やポートフォリオ モデリングなどのサービスを提供することで、市場の重要なニーズを満たしています。AlloyDB に移行することで、FLUIDEFI は処理速度を 3 倍に高め、同じくらいのインスタンス サイズに対する費用を 60% 削減しました。
分散型金融(DeFi)の複雑な世界では、信頼できる標準化されたリアルタイム データが認定機関から機関投資家や監査法人に十分に提供されないという問題が生じています。また、利用可能なリスク評価や監査証跡が欠如していることが、この問題をさらに複雑にしています。
正確なデータ、行動につながるインサイト、リスク評価、監査証跡のために、信頼できるソース内のギャップを埋めるには、膨大な量の計算を行う必要があります。これには大量のデータの収集、保存、計算が必要です。そこへ登場したのが FLUIDEFI です。
暗号の簡素化 - FLUIDEFI ソリューション
FLUIDEFI のプラットフォームは、リスク認定、ポートフォリオ モデルの構築、投資戦略のテスト、投資の追跡、監査可能な財務レポートの作成などの処理を簡素化する、包括的なソリューションを提供します。最新のアルゴリズムとリスクモデルを使用し、リアルタイムのデータとインサイトを提供することによりこれを実現し、暗号通貨の投資家やトレーダーが十分な情報に基づいた意思決定を行えるようにしています。
また、FLUIDEFI では、投資家やトレーダーが投資を追跡し、経時的にパフォーマンスをモニタリングするために役立つリスク評価や監査証跡の機能も提供しています。これらの機能により、投資戦略の有効性を評価し、運用益が最適化されるよう投資戦略を調整できます。
FLUIDEFI の機能豊富なソリューションは、オルタナティブ資産への投資の意思決定と、FLUIDEFI のポートフォリオ マネージャー、データの可視化、追跡メカニズムによるこれらの資産のパフォーマンスの追跡に加え、税務報告や検証済みのすべてのブロックチェーン(オンチェーン)トランザクションに対する独立した 2 つの情報源による財務監査など、お客様にとって重要なユースケースを実現可能にします。
堅牢なマネージド データベース サービスが不可欠な理由
FLUIDEFI のソリューションは、グラフィカル ユーザー インターフェース(GUI)と RESTful API の両方を使用しています。FLUIDEFI は大量のデータを処理しています。データベースには 20 億件以上のレコードがあり、短い応答時間を要求するリアルタイム取り込み / 計算サービスを 40 以上使用しています。負荷の高いワークロードの需要を満たし、データベース インフラストラクチャの管理オーバーヘッドを削減するために、FLUIDEFI はまず Amazon Aurora を利用しました。しかし、インスタンスのチューニングとスケーリングを行ったにもかかわらず、このサービスからは期待したほどのスループットは得られませんでした。新しいプロトコルやチェーンの追加にも対応できず、規模を拡大するにつれて費用と効率性の両方で損失が出ることに気付きました。ブロックチェーンから 1 時間ごとに取り込むデータ量が多いため、書き込み速度のパフォーマンスという最も重要な要素に基づいて選択肢を検討した結果、AlloyDB for PostgreSQL を導入することにしました。
AlloyDB との連携 - データベース移行のメリット
初期に行った概念実証(POC)により、AlloyDB を完全に信頼し、FLUIDEFI のデータベースとして選択しました。実際には、POC の結果が非常に良かったため、AlloyDB が一般提供になってから数週間で完全に移行しました。
他のクラウド プロバイダから移って来た FLUIDEFI のチームメンバーは、コンテナ管理、仮想マシン、AlloyDB といった Google Cloud のサービスを簡単かつ直感的に使用できました。また、Database Migration Service のおかげで、お客様のダウンタイムをゼロにしてすべてのデータを移行することもできました。さらに、AlloyDB が提供する PostgreSQL との完全な互換性により、コードを変更することなくアプリをそのまま移行し、多くの時間と労力を節約できました。
AlloyDB では I/O 料金が発生しないため、同じ数の仮想 CPU とメモリに対する費用面で劇的な改善が見られました。AlloyDB の階層型ストレージとスケールアウト アーキテクチャは、期待以上のスループットを実現し、運用パフォーマンスを向上させました。特に、以前のクラウド データベースでは、複雑なマテリアライズド ビューの再計算に 23 分かかっていました。AlloyDB では、同じメモリと CPU 数を使用し、さらに大きなデータセットを使用しながら、同じマテリアライズド ビューをわずか 4 分で更新できるようになりました。また、高可用性インスタンスのおかげで、冗長性と信頼性も向上しました。以前のクラウド プロバイダとは異なり、AlloyDB の料金設定は透明性が高く予測が可能だったため、予想外の追加料金に驚くことはありませんでした。FLUIDEFI がサポートしているブロックチェーンごとにデータベース クラスタを作成することでブロックチェーン同士を分離することが可能となり、信頼性がかつてないほど向上しました。何よりも重要なのは、書き込み処理の高速化と書き込み / 読み取りインスタンス間のタイムラグの短縮により、リアルタイムに近いクエリが可能になったことです。
現在では、お客様へのデータ配信の遅延を心配することなく、より多くのブロックチェーンとより多くの分散型取引所へのスケーリングが可能となっています。事実、Google Cloud に移行して以来、プラットフォームの応答速度は 3 倍も高速化され、費用は 60% 減少しました。FLUIDEFI では、さらに多くのトランザクションを 1 秒間で処理できるものと確信しています。FLUIDEFI は現在、新たに 4 つの分散型取引所とブロックチェーンを統合しています。これにより、FLUIDEFI を利用する機関投資家は、分散型金融に安全に分散投資することが可能となります。
AlloyDB とともに前進する
FLUIDEFI のサービスには、大量のデータをリアルタイムで処理できる高性能なデータベースが必要です。AlloyDB は FLUIDEFI の成功に不可欠です。AlloyDB では、膨大な量のデータの保存と処理、複雑なクエリの実行、投資家やトレーダーが情報に基づいた意思決定を行うために役立つインサイトのリアルタイム生成が可能です。AlloyDB は、高可用性、スケーラビリティ、セキュリティといった高度な機能を備えており、データ処理と分析に対する FLUIDEFI のニーズを支えるのに最適です。FLUIDEFI にとって AlloyDB は、急成長する DeFi 市場で大きなシェアを獲得するという FLUIDEFI のビジョンの達成に不可欠なツールとなっています。
-FLUIDEFI、最高技術責任者兼共同創業者 Louis Sirico 氏