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データ分析

Google Cloud のスマート分析でフリート管理がより簡単に

2020年8月26日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 8 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

 編集者注: このブログでは、Google Cloud Next ‘20: OnAir で紹介された、今すぐお試し可能なスマート分析プラットフォームのデモについて詳しく説明しています。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックが現在も続く中、消費者の購買行動が変化しているため、企業は新しい期待に応えるために、輸送と物流の管理方法を変える必要があります。大型トラックを管理するフリート管理者は、最新のテクノロジーをどのように活用すれば、ビジネスを最適化できるのでしょうか。この質問の答えを見つけるために、Google はシミュレーション センサーデータと Google Cloud のスマート分析プラットフォームを使用してデモを作成しました。

カナダに拠点を置く Geotab 社は、全世界の商用フリート車両に関するデータドリブンな分析情報を提供しています。同社は、エンジン速度から周囲の気温、運転や気象条件に至るまで、世界中の 200 万台を超える車両からの豊富なデータを処理しており、これらの車両には、Geotab のテレマティクス ソリューションのほか、さまざまな統合センサーやアプリが搭載されています。

これらすべてのデータがリアルタイムでストリーミングされるため、トラックのフリート管理者はデータを使用して車両の状態を予測したり運転手の安全を監視したりするだけでなく、これらの情報すべてをリアルタイムで追跡できます。リアルタイムのデータにより、ユーザーは事後対応ではなく、事象の発生時または発生前に積極的に対応することが可能です。

こうしたビジネス上の課題の解決方法を Google Cloud のスマート分析を使用して実証するために、1 日に約 2,500 万件の走行イベントを生成する 7,500 台のトラックのライブのシミュレーション環境を作成しました。デモ用に構築された生成データは、Geotab の実際のセンサーやアプリと統合されたかのように処理される可能性のある一部のデータをシミュレートしています(Geotab は Google Cloud を使用してスケーリングされた環境を実行しますが、ここで使用されているデータと環境はシミュレーションです)。

以下は、Google Cloud で Pub/Sub、Dataflow、BigQuery、Looker を使用してデモ用に作成されたダッシュボードの様子です。さまざまな地点間で輸送を行うシミュレーション トラックが表示されています。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/matrux-blog-demo.max-2200x2200.jpg

これを作成するにあたって、まずは米国の 150 の地域にわたってトラック 7,500 台のシミュレーション フリートを生成し、各フリートに数秒ごとにデータを出力するシミュレーション センサーを搭載しました。このデータには、GPS の位置情報、現在の速度、バッテリーの状態といった車両のテレマティクス データに加え、各地域、走行距離、運転手に関する情報も含まれます。

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過去 78 日間に収集された 20 億行を超えるテレマティクス データを示す BigQuery テーブル

こうした一定のデータフローを Google Cloud に取り込むために、Pub/Sub と Dataflow を使用して、すべての受信センサーデータを自動的に解析して BigQuery に読み込みました(トラック 1 台につき 1 つのセンサーを想定)。1 日に 100 万件以上の走行に関するデータポイントが BigQuery に保存されるため、アナリストは SQL を使用して膨大な量のデータを数秒ですばやく分析できます。

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BigQuery は 5.7 秒で 103.2 GB のデータを照会し、特定の日における 130 万回の走行ごとに、記録された最高運転速度を計算

次に関心のあるトピックは予測分析でした。BigQuery にストリーミングされるデータにより、運転手の安全や車両の状態に関する問題を予測するアルゴリズムを作成できます。スケジュールされたクエリを使用し、最近の走行における運転状況に基づいて、各運転手の安全スコアを確立しました(走行時の加速レベルや曲がり角のステアリングなどのデータポイントを使用)。結果が「低い」場合、フリート管理者は運転手の次の走行前になんらかの対策を行うことができます。

さらに、エンジン センサーデータ(バッテリーの状態)に基づいて、車両が正常な状態であることを確認するために、走行するごとに車両の状態を更新しました。これは、フリート管理の課題の一つである予測メンテナンスの改善に役立てるために、すべての走行の開始時にも計算されます。BigQuery には BigQuery ML による機械学習機能が備わっているため、SQL で予測モデルを作成して、需要を見込んだり、運転に危険な状況を予測することができます。

フリート管理データの可視化

こうしたデータが利用可能になったところで、フリート オペレーターがとるべき行動を適切に伝えるにはどうすればよいでしょうか。BigQuery は、視覚的な分析をすぐに使えるように、Looker などのビジネス インテリジェンス ツールとネイティブに統合します。そのため、Looker を使用してダッシュボードを作成し、次のようなわかりやすく実用的な分析情報の一部を表示しました。 

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/matrux-blog-looker.max-2200x2200.jpg
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Looker を使用すると、アナリストは信頼できる唯一の情報源のデータモデルを作成し、SQL を使用してそこに指標を定義できます。共有のデータモデルを導入することで、ビジネス ユーザーは Looker を使用してデータに関する新しい質問をしたり、レポートを作成したりでき、その際、技術リソースを必要とすることなく、一貫性のある指標を確保できます。たとえばフリート管理の場合、アナリストは LookML で厳しい加速スコアを定義することで、組織全体で一貫性と正確性を確保できます。Looker は、ダッシュボードとデータ探索に加え、エンドユーザーがデータのアクション(運転手に加速パターンに関するテキスト メッセージを直接送信するなど)を使用して運用ワークフローを推進できるプラットフォームも提供しています。

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Google Cloud のスマート分析プラットフォームは、フリートデータに対するエンドツーエンドのソリューションを提供するため、規模、速度、インフラストラクチャに関して悩む時間が減り、お客様に価値を提供するために一層多くの時間を費やすことができます。

インタラクティブなスマート分析プラットフォームの詳細なデモをご覧ください


技術サポートを提供してデモに貢献してくれた Zack Akil、Matt Olivo、Leigha Jarett に感謝します。 

Eric Schmidt, Developer Advocate
Polong Lin, Developer Advocate

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