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データ分析

Built with BigQuery: BigQuery 上に構築される CDP の新時代

2023年9月13日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: この投稿は、Built with BigQuery を活用したパートナー様をご紹介するシリーズの一部です。

ほぼすべての業種において、あらゆる規模の組織が Google BigQuery に保存されているファースト パーティ データの計り知れない価値に気づいています。運用からマーケティング、パーソナライズされたエクスペリエンスの提供に至るまで、ファースト パーティ データは、サードパーティ Cookie から急速に脱却しながら進化している広告の世界で成功するための鍵を握っています。

従来、マーケティング チームと広告チームは主にパッケージ化された顧客データ プラットフォーム(CDP)を利用して顧客データの収集、保存、モデリングを行い、そのデータをダウンストリームのツールにプッシュしてきました。しかし、AI レイクハウスと Google BigQuery の台頭により、CDP でデータの収集、モデリング、保存を行う個別のプロセスは冗長となりました。企業に、複数の信頼できる情報源を使用して業務を行う可能性が生まれたのです。マーケティング チームは CDP を利用し、その他の部門は BigQuery に存在する豊富なデータを活用できます。

ここで Hightouch が登場します。これは、組織が BigQuery データを最大限に活用できるよう支援する、データ有効活用のためのプラットフォームです。Hightouch と BigQuery の統合により、企業はデータへの既存の投資とデータ ウェアハウスの堅牢な機能を活用して、コンポーズ可能な顧客データ プラットフォームを構築できます。Hightouch と BigQuery を使用してオーディエンスを構築し、200 を超えるツールおよびリンク先とデータを同期できます。この融合により、データアセットの可能性を最大限に引き出しつつすべてのビジネス ユースケースに対応する、統合された多目的のプラットフォームを構築できます。

このブログ投稿では、コンポーズ可能な CDP の概念を深く掘り下げ、その利点を説明します。そして、BigQuery と Hightouch で構築されたコンポーズ可能な CDP を使用してデータの真の可能性を引き出すための実践的なガイダンスを提供します。

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BigQuery で構築されたコンポーズ可能な CDP のユースケース

ユースケース 1: Customer 360 を構築する

データチームは BigQuery で直接 Customer 360 を構築でき、企業はすべてのチャネル、デバイス、メディア(オフラインのインタラクションを含む)にわたる顧客の完全なエンゲージメントを把握できます。この 360 度のプロファイルは、効果的な分析、パーソナライズ、優れたカスタマー エクスペリエンスの基礎になります。

Hightouch が提供する Customer 360 ツールキットを使用すると、組織はコードや複雑な SQL を記述しなくても、BigQuery で複数の ID およびエンティティ解決モデルを直接作成できます。

ユースケース 2: リバース ETL でデータを有効活用する

データチームは、リバース ETL によって CRM、ESP、広告プラットフォームなどのダウンストリームのビジネスツールにデータを同期できます。

これらのツールが使用される部門では、このデータを活用してより良い結果を生み出し、全員が BigQuery の信頼できるデータに基づいて業務を遂行できます。この機能セットにより、データチームは 1 回限りのパイプラインの構築と維持、API との統合、アドホックな CSV の他のビジネスチームへの配布といった手動の作業の手間を軽減できます。

ユースケース 3: チャネルをまたいだパーソナライズを推進する

マーケティング担当者は、顧客へのアウトリーチの内容をパーソナライズすることで、より良い成果を達成できます。

企業がプッシュ通知、SMS、メール、モバイル、ウェブを通じて、パーソナライズされた関連性の高いエクスペリエンスを提供すると、ライフサイクル マーケティングの効果が向上します。これには、組織はまず顧客情報を収集して保存し、それに基づいて予測をモデリングした後、データと分析情報を各種のツールとマーケティング チャネルに供給する必要があります。

ユースケース 4: 広告費用対効果(ROAS)を改善し、広告の効率を高める

マーケティング担当者は、顧客データを広告プラットフォームに同期することで、キャンペーンの効率を改善できます。

ターゲットから除外したい顧客(すでに登録済みの顧客など)からなる抑制対象のオーディエンスを作成して無駄な広告支出を抑えたり、現在の顧客ベースを基にして類似オーディエンスを作成し、獲得したい新規顧客を明らかにしたりすることが可能です。また、コンバージョン データをこれらのプラットフォームに供給して、自動化キャンペーンを最適化することもできます。こうした効率的な広告配信はすべて、BigQuery から広告関連のシステムにデータを簡単に同期できる機能によって実現します。

ソリューション

BigQuery で構築された Hightouch のコンポーズ可能な CDP を使用すると、組織はデータ ウェアハウスを通じて顧客データを保存、モデリングし、有効に活用できます。GorgiasPrestashopChalhoub などの企業は、Hightouch を使用して BigQuery データを有効活用することで、大きな収益とコスト削減を達成しました。

Hightouch は BigQuery 上に直接構築され、データチームとマーケティング担当者にノーコード ツールのスイートを提供します。数分間でデータ同期を自動化し、有効活用に向けてオーディエンス コホートの構築と管理を行えます。このアーキテクチャの注目すべき機能と利点は次のとおりです。

1. リバース ETL - データチームとマーケティング チームは、ビジュアル エディタまたは SQL や dbt などの言語を使用して、BigQuery から 200 を超えるダウンストリームのツールにデータを同期できます。

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2. Customer Studio - マーケティング担当者は、オーディエンスの構築、カスタム特性の追加、テストの実行、パフォーマンスの分析、オムニチャネル キャンペーンの実施、すべてのオーディエンス キャンペーンの調整を簡単に行えます。

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3. Customer 360 ツールキット- データチームは、Hightouch のネイティブ ID 解決、スキーマ編成、ウェアハウス強化機能を使用して、BigQuery データを整理し、準備できます。

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4. パーソナライズ API - チームはフルマネージド API を使用してリアルタイムでデータにアクセスし、カスタマー エクスペリエンスのパーソナライズを強化できます。

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5. マッチ ブースター - マーケティング担当者は、サードパーティ データを使用して Facebook や Google 広告などの広告のリンク先へのオーディエンス同期を強化し、マッチ率を高めることができます。これにより、既存顧客の抑制や類似オーディエンスの構築などのユースケースで各プラットフォームのユーザーリーチ率が向上し、最終的に ROAS が改善されます。

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ソリューション アーキテクチャ

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任意のソースから BigQuery にデータを収集する

どこで顧客データを収集しても、BigQuery に直接追加できます。Google アナリティクスなどのイベント収集ソリューションは、BigQuery にデータをストリーミングできます。Fivetran などの ETL / ELT ソリューションは、組織が利用しているその他すべてのデータを読み込むことができます。

組織全体にわたる信頼できる唯一の情報源

Google Cloud は、すべての顧客データを 1 か所に集約するためのさまざまなツールを提供します。Google Cloud Storage は、スケーラブルで耐久性のあるオブジェクト ストレージ ソリューションであり、企業は一元化された場所にデータを保存して管理できます。BigQuery は、SQL クエリ、組み込みの ML モデル、データ可視化ツールを使用してデータを分析するための統合プラットフォームであり、企業は大量のデータを迅速かつ簡単に分析できます。これにより、組織全体にわたる信頼できる唯一の情報源が提供され、部門や場所に関係なく、すべてのチームが同じデータにアクセスできるようになります。Hightouch はこのデータを別の場所に改めて保存するのではなく、BigQuery から組織が使用する他のツールに直接同期します。

データとコンピューティングを簡単かつ迅速にモデリングする

Google Cloud では、Compute Engine、Google Kubernetes Engine、App Engine などのいくつかのコンピューティング オプションが提供され、企業はスケーラブルかつ効率的な方法でアプリケーションとワークロードを実行できます。また、AutoML や TensorFlow などの Google Cloud の AI ツールと ML ツールを使用すると、専門知識がなくてもカスタムモデルを構築してデプロイできるため、これまでより簡単かつ迅速にモデリングとコンピューティングを行えます。

統合ダッシュボードでインフラストラクチャをモニタリングする

Google Cloud のオペレーション スイートでは、クラウド サービスのモニタリングと管理を行える統合ダッシュボードが提供されます。これにより、企業はアプリケーションとインフラストラクチャをリアルタイムでモニタリングし、アラートを設定し、問題のトラブルシューティングを行うことができます。また、組織全体の包括的なビューが提供され、問題の特定と解決が容易になります。

顧客のプライバシー

Google Cloud の柔軟なデータ プラットフォームは、企業がファースト パーティ顧客データ重視のアプローチを採用できるよう後押しします。Google Cloud Data Loss Prevention(DLP)や Data Catalog などのプロダクトは、企業がセンシティブ データを保護し、GDPR や CCPA などの規制を遵守するうえで役立ちます。Google Cloud には ID およびアクセス管理用のツールも用意されており、権限を持つ担当者のみが顧客データにアクセスすることが保証されます。Hightouch は BigQuery の外部にデータを保存しません。これにより、すべてのガバナンス ルールと規則が維持されます。

Hightouch のコンポーズ可能な CDP とパッケージ化された CDP の比較

BigQuery で構築された Hightouch のコンポーズ可能な顧客データ プラットフォームを使用すると、組織の全員があらゆるツールで顧客データを最大限に活用できるようになります。マーケティング チームは、統合された顧客プロファイルにアクセスしてパーソナライズを行い、BigQuery で構築されたあらゆるデータモデルを利用することができます。データチームは、セキュアな BigQuery 環境内ですべての作業を実行できます。データに対する投資は Hightouch によってダウンストリームの他のすべてのツールに渡される仕組みになっています。

パッケージ化された CDP は、データの収集、モデリング、保存、有効活用のためのオールインワンのソリューションを提供します。企業は、実装の完全性と、組み込みのデータスキーマとそれが実現するモデリングを求めて CDP を選択する場合があります。しかし、パッケージ化された CDP では、切り離されたデータ ストレージが重大な弱点になります。各種の CDP はそれぞれ個別のエンティティとして稼働し、組織全体で行われるデータ投資の恩恵を受けません。

Hightouch のコンポーズ可能な CDP を構築するアプローチには次の利点があるため、企業にとって、個別のパッケージ化された CDP を購入するよりも優れた選択肢となります。

  • データの完全性: パッケージ化された CDP は、クリックストリーム データなどの企業データの一部のみをキャプチャ / コピーします。一方、BigQuery は、顧客のすべてのインタラクションから得られるすべての企業データの信頼できる情報源となりえます。BigQuery では、組織は POS システム、データ サイエンス モデル、オフライン データなどの異種ソースからのデータを使用して Customer 360 を構築し、その顧客データをダウンストリームのツールで有効活用できます。

  • データの柔軟性: データチームは、BigQuery 内でデータをモデリングする方法を柔軟に選択できます。これらのモデルとデータ投資はすべてダウンストリームのツールに流れ込み、Hightouch によって同期されます。Hightouch の CDP は、組織の進化し続けるニーズと要求に簡単に対応できます。これに対して、パッケージ化された CDP が提供するソリューションは柔軟性に欠け、変更または再実装には多大な労力が必要になります。

  • 使いやすさ: データチームは、SQL や dbt のような既存のツールとワークフローを使用して、BigQuery と Hightouch を簡単に構成できます。技術的な知識があまりないチームでも、Hightouch のノーコード機能を使用して、ID 解決の実行、オーディエンスの構築、マルチチャネル キャンペーンの調整、ダウンストリームのツールへのデータの同期などを行うことができます。パッケージ化された CDP では、管理と利用にあたってさまざまなレベルの技術スキルが要求されます。

  • セキュリティ: BigQuery の多彩な機能を使用して、企業は自社のプライバシー ニーズを満たすセキュアなデータ ウェアハウスを構築できます。Hightouch は BigQuery のデータ ガバナンスと管理機能を利用するため、独自にデータを保存しません。パッケージ化された CDP は、それぞれのクラウド環境内にデータを保存するため、セキュリティ リスクが生じます。

連携のメリット

BigQuery 上に構築された Hightouch のコンポーズ可能な CDP は、最高水準の顧客データ アーキテクチャを組織に提供します。このアーキテクチャは、既存のデータ投資を活用して、マーケティング チームを支援し、顧客データをそれが必要とされる場所に供給します。BigQuery にデータを一度書き込むだけで、それを Hightouch によってどこでも活用できます。

- Hightouch プロダクト マーケティング マネージャー、Nate Wardwell 氏

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