Google Cloud Data Heroes シリーズ: Google Cloud パートナーである Direcly のエクアドル系アメリカ人創設者、Francisco 氏のインタビュー
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2022 年 6 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud Data Heroes は、Google のデータ分析ツールを駆使して素晴らしい結果を生み出す日常のヒーローたちの物語をお伝えするシリーズです。優れたスーパーヒーローの物語と同様に、Google Cloud データヒーローの誕生秘話、データのカオスからデータドリブンな環境に移行した方法、現在取り組んでいるプロジェクトと課題、コミュニティにどう還元しているかについて探ります。
今月は、Francisco 氏をお迎えしました。Francisco 氏はテキサス州オースティンを拠点としていますが、マイアミ、メキシコシティ、コロンビアのボゴタでも頻繁に活動しています。また、米国とラテンアメリカに事業の拠点を置く Direcly の創設者であり、同社は、Google マーケティング プラットフォームおよび Google Cloud コンサルティング / セールスのパートナーです。
Francisco 氏はエクアドルのキトで生まれ、13 歳のときにフロリダ州マイアミで父親と一緒に暮らすために米国にやって来ました。セントトーマス大学でマーケティングを学び、数学のスキルで統計学と微積分学のティーチング アシスタントとしての仕事に就きました。卒業後のプロとしてのキャリアは、国内の大手広告代理店数社で始まり、最終的にアドテック分野に転向しました。2016 年に、起業家の世界に足を踏み入れ、Direcly を創設しました。同社は、Google マーケティング プラットフォームおよび Google Cloud コンサルティング / セールスのパートナーであり、ビジネス上の課題の解決に革新的な技術ソリューションを使用することにひたむきに取り組んでいます。数々の困難にもかかわらず、また創設時より外部からの資金援助なしで、Direcly は Google Cloud および Google マーケティング プラットフォーム パートナーの選抜グループの一員となりました。Francisco 氏のストーリーは、Forbes Ecuador の記事でも取り上げられました。
オフィス外では、コミックの愛読者およびコレクターで、ゴルファー、そして冒険アドベンチャー小説の読者でもあります。好きなコミックは『The Amazing Spider-Man #252』、好きな小説は『ホビットの冒険』です。最高のゴルファーではありませんが、プロのようにカートに乗れるそうです。
クラウド、テクノロジー、データ分野との出会いについて教えてください。キャリアの中でこの分野を追求した理由は何ですか?
マーケティング / 広告分野でキャリアをスタートしましたが、テクノロジー / データの分野の果たす重要な役割を目の当たりにして、すぐに惹かれました。いつもテクノロジーとその進化の速さに魅了されてきました。数学とテクノロジーのスキルは、最終的にいい組み合わせになりました。
趣味で Hadoop、Spark、MySQL などのオープン ソース ソリューションを学び始め、キャリアを通して自分の役割の中でそれらを活用してきました。広告代理店で勤務した後、アドテック業界に転向しました。そこでは、クラウド ソリューションにより、需要側、データ管理、供給側のプラットフォームなどのアドテック ソリューションがどのように強化されているか初めて教わりました。
同じことを毎日繰り返すと飽きやすいタイプなので、常に進化しているデータ / テクノロジーのキャリアを追求しました。結果として、それが自分に進化を促しました。何かをゼロから始めて、ゆっくりとスキルをマスターしていく感覚が好きなんです。
どのコース、学習、学位、または認定資格が、その分野での進歩と成功に役立ちましたか?2022 年に成功するために、データ実務者が焦点を当てるべきデータスキルや能力は何であるとお考えですか?また、その理由は何ですか?
数学、微積分学、統計学での基盤が役立ちました。自分のペースで学び、オープン ソース ソリューションの知識を得ることがプラスになりました。Google の好きなところは、まず始めて、実力をつけ、スキルを習得するためのリソースと情報が豊富に揃っていることです。Coursera は、Google Cloud に慣れ、認定資格の準備をするのに最適な環境です。Qwiklabs のクエストは、気に入った学習方法の一つと言えます。Google Cloud ソリューションを使うということがどういうことか、実際に作業をして、じかに体験する必要があるからです。最後に、Google Cloud の内部ドキュメントにアクセスして、すべてのユースケースを読み、理解することに時間を費やすだけでも、大きな違いが出ると思います。
適切なスキルを習得したい方には、基礎から始めることをおすすめします。Google Cloud をいきなり始める前に、Python、SQL、データ、およびいくつかの一般的なオープンソースについて十分に理解している必要があります。そこからまず基礎を学び、次に Labs で実践することで、Google Cloud をマスターし始めます。専門的な資格を取得することは、かなり難しい挑戦となり得ますが、一度取得すれば、見返りが期待できます。可能であれば、ご自身が情熱を注いでいる業界の実際のアプリケーションを学ぶことで、データの専門知識に新たな一面を加えられます。
私は幸運にも Google Cloud Certified Professional Data Engineer に認定されました。また、Looker、Google アナリティクス、タグ マネージャー、ディスプレイ&ビデオ 360、キャンペーン マネージャー 360、検索広告 360、および Google 広告の認定資格を持っています。現在は、Google Cloud Machine Learning Engineer 認定資格の取得にも取り組んでいます。データ アプリケーションを分析およびマーケティングと組み合わせることが役立つことは、私のキャリアを通じて証明されています。究極のスキルとは、特定のトピックにおける知識や能力ではなく、複雑な課題を解決するために多種多様な能力や見解を持てることです。
Francisco 氏は、間違いなくこの分野のソートリーダーですね。Google Cloud に惹かれた理由は何ですか?Google Cloud で学んだことをコミュニティにどう還元していますか?
Google Cloud のソリューションは高度に分散化されているため、企業は Google のような組織が社内で使用しているリソースと同じものを自社のビジネスニーズに合わせて使用できます。Google は分析 / マーケティング分野で明らかにリーダーであり、可能性とアプリケーションは無限です。Google マーケティング プラットフォーム パートナーとして、Google が提供するさまざまなアドテック スタックを活用して取り組み、Google Cloud と GMP を統合して、破壊的な成果とソリューションを実現することは、まさにエキサイティングです。
自分自身をとても幸運だと思っています。発展途上国から来て、教育とキャリアの両方の観点から驚くような機会を与えてもらいました。特にラテンアメリカ系や米国のヒスパニック系の人たちに、教えることと機会を作り出すという形で恩返しをしたいと常に考えていました。2018 年以来、フロリダ国際大学の Honors College と Google と提携して、業界に関連するコースを作成してきました。名誉なことに、カリキュラムを共同で作成し、さまざまなトピックについて教えています。Google マーケティング プラットフォームにかなり重点を置いた Marketing for the 21st Century という授業を取り入れました。その成功を受けて、2020 年には、Google Cloud の主要コンポーネントをカリキュラムに組み込んだ Analytics for the 21st Century を取り入れました。生徒は、Rob Milks(データ分析スペシャリスト)や Carlos Augusto(カスタマー エンジニア)などの Google 社員から学べて幸運でもあります。
Google Cloud のデータ プロダクトで行った好きなプロジェクトを 1 つか 2 つ教えてください。
これまでで好きなプロジェクトは、Royal Caribbean International(RCI)と Roar Media と一緒に行った仕事です。さかのぼること 2018 年に、断片化されたアドテック スタックから Google マーケティング プラットフォーム内の統合されたものに RCI の取り組みを移行できました。さらに、すべての有料マーケティング チャネルにまたがるアトリビューションを一元化できました。キャプチャしていた膨大な量のデータ(17 以上の市場)に対応するには、このプロセスの次のステップで Google Cloud ソリューションを活用することが、きわめて理にかなったことでした。すべてのデータソースをウェアハウスに一元化し、ビジネス インテリジェンスをビジネス ユニット全体にデプロイしました。
開始時から最大の課題は、ビジネス要件と技術要件の両方を満たすアーキテクチャを設計することでした。いくつかの異なるソースからデータを取り込んで統合し、必要に応じたデータの変換、意思決定のためのデータの可視化、機械学習を適用するための基盤の設定を可能にする最善策を検討する必要がありました。マーケティング / 分析のプラットフォームに関する深い専門知識とデータ エンジニアリングの理解を組み合わせることで、プロセスを素早く先に進め、理想的なアーキテクチャを設計および実装し、日常業務に違いをもたらす情報をエンドユーザーに提供できるようになりました。
BigQuery を一元化されたデータ ウェアハウスとして利用し、カスタムビルドのパイプラインを通じて、すべてのマーケティング ソース(有料、オーガニック、リサーチ)を統合しました。そこから、Looker 内にデータドリブンのダッシュボードを作成し、データを分散化しました。その結果、エンドユーザーは、重要な質問を調査して回答し、リアルタイムでデータドリブンなビジネス上の意思決定を行うことが可能になりました。このイニシアチブの進化により、マーケティング データを超えて、機械学習を適用できるようになりました。また、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の傾向、競合価格、SEO の最適化、ダイナミック広告のデータフィードを調べるダッシュボードを作成しました。ML の観点からは、収益面での予測モデル、混合マーケティングのモデルを作成して、機械学習を適用し、過去のデータを活用して英語の広告を 17 以上の言語に翻訳できるようにしました。
データ分析、データベース、AI / ML カテゴリの中で、好きな Google Cloud のデータ プロダクトは何ですか?仕事で特に焦点を当てているユースケースは何ですか?Google Cloud のサービスで際立っているものは何ですか?
私は、BigQuery(BQ)と Looker の大ファンです。従来のデータ ウェアハウスは、クラウドにはとても及びません。今日のデータや必要とされる高度な分析の飛躍的な成長に対応するように構築されていません。BQ により、高速でスケーラビリティと費用体効果が高く、完全に制御されたクラウド データ ウェアハウスが提供され、統合された機械学習分析と AI の実装が可能になります。
一方、Looker は、真の次世代 BI です。私たちは皆、Structured Query Language(SQL)が大好きですが、難解なクエリを記述する立場を経験したことがある方も多いと思います。いくつかのコードがどう機能するか忘れ、コラボレーションのオプションが限定され、クエリの記述方法が人それぞれで、対策についての考えを変えた場合、クエリの変更を追跡するのがどれほど難しいか知っています。私は、LookML がこのような課題をすべて解決し、SQL の再利用、制御、およびビルディング ブロックへの分離を可能にしている点が大変気に入っています。言うまでもなく、技術的知識が限られたエンドユーザーが、自分が出した条件でデータを見ることをかなり簡単にしています。
今後の展望をお聞かせください。
Direcly で行っているすべてのことに、喜びを感じています。私たちは、長い道のりを歩んできました。そして、さらに先に進むことができると楽観しています。今後の展望は、引き続き非常に聡明な人たちと連携していくことです。彼らは、革新的な技術ソリューションを使用して、他の非常に聡明な人たちが直面するビジネス上の課題を解決することに情熱を注いでいます。
今回の私の話を通して、夢を追っている人や、自分自身と愛する人たちによりよい人生をもたらすことを望んでいる人に向け、それを実行し、リスクを冒し、学び続け、努力するようにお伝えしたいです。物事がうまく進むこともあれば進まないこともありますが、粘り強く続けてください。目的地よりもそこまでの道のりのほうが重要になることに驚くと思います。そして、物事が計画どおりに進まない場合でも、あるいは多くの成功を収めている場合でも、経験してきたことすべてと、自分がどれだけ成長したかはずっと記憶に残るでしょう。
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- アソシエイト プロダクト マーケティング マネージャー Grace Yeung
- アソシエイト プロダクト マーケティング マネージャー インターン Mia Lerner