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データ分析

BigQuery と Gemini モデルを使用したマーケティング キャンペーンの作成

2024年6月7日
Adam Paternostro

Technical Lead Demos, Google Cloud

Firat Tekiner

Product Management

※この投稿は米国時間 2024 年 5 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

マーケティング キャンペーンの作成は、複雑で時間のかかるプロセスになることが多々あります。企業は、顧客のニーズと関連性が高く、パーソナライズされたリアルタイムのキャンペーンを作成して、売り上げを最大化することを目指しています。そのためには、リアルタイムのデータ分析、セグメンテーション、キャンペーンの迅速な作成と実施を行うことが必要です。それによって高いレベルのアジリティとパーソナライズを達成することで、企業は大きな競争上の優位性を獲得できます。

マーケティング キャンペーンの成功に常に欠かせないのが、創造性とデータに基づく分析情報です。生成 AI によってこれら 2 つの要素の強化が進んでおり、生成 AI の進歩がマーケティング キャンペーンの作成に革新をもたらす可能性があります。生成 AI は、リアルタイムのデータを活用することで、ターゲットを絞ったメール、ソーシャル メディア広告、ウェブサイト コンテンツなどのパーソナライズされたコンテンツを、状況と利用可能な画像に応じて大規模に生成します。これは、マーケティング担当者が手動のプロセスによる制約を受け、自由に使えるクリエイティブ リソースが限られている現状とは対照的です。

従来のマーケティング手法も場面によっては有効ですが、今日の状況では膨大な量のコンテンツが必要とされるため、よりスマートなアプローチが求められます。生成 AI を活用することで、マーケティング チームがこれまで不可能であったレベルのパーソナライズを用いてキャンペーンを迅速かつ効率的に開始し、エンゲージメント、コンバージョン、顧客満足度を高めることができます。

このブログでは、データチームとマーケティング チームが BigQuery のマルチモーダル大規模言語モデル(LLM)の力を活用して、より効果的でインテリジェントなマーケティングを作成、開始するためのさまざまな手順を説明します。このデモンストレーションでは、コーヒー販売業者に BigQuery 上に構築された SaaS プラットフォームを提供する架空のテクノロジー企業 Data Beans を使用します。Data Beans は、BigQuery Vertex AI のインテグレーションを活用して、Gemini Pro 1.0 Gemini Vision Pro 1.0 などの Google AI モデルを利用し、クリエイティブ ワークフローを加速させながら、カスタマイズされたキャンペーンを大規模に展開しています。

デモンストレーションの概要

このデモンストレーションでは、Gemini モデルを活用して、視覚に訴えるローカライズされたマーケティング キャンペーンを一部のコーヒー メニュー アイテムに対して作成する Data Beans のマーケティング開始プロセスの 3 つの手順がハイライトされています。最初に、Gemini モデルを使用してブレインストーミングを行い、選択したメニュー アイテムの高品質の画像を生成して、画像が元のコーヒーを正確に表していることを確認します。次に、同じモデルを使用して、各都市に合わせた現地語のマーケティング テキストを作成します。最後に、スタイル設定された HTML メール テンプレートにそのマーケティング テキストを統合し、分析と追跡のためにキャンペーン全体を BigQueryに保存します。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/image-1_rxbpRGT.max-1600x1600.png

手順 1 および 1.1: プロンプトと画像を作成する

Imagen 2 を使用して最初の画像プロンプトと関連画像を作成し、マーケティング キャンペーンを開始します。この段階ではプロンプトにすべての必要な情報を入力していないため、関連性がそれほど高くない非常に基本的な画像が生成されます。

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手順 1.2.  プロンプトを改善する

初期画像を作成したら、プロンプトの質を高めることで画像を改善することにフォーカスします。そのために、Gemini Pro 1.0 を使用して Imagen 2 の最初のプロンプトを改善します。

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手順 1.3.  LLM で生成されたプロンプトから画像を生成する

改善されたプロンプトを使用して、画像を生成します。実質的には、LLM を使用して、画像を生成するために LLM に送られるプロンプトを生成しています。

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https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/image-2_zetsqlA.max-1000x1000.png

手順 23. 画像を確認して品質管理を行う

LLM を使用して、生成された出力を確認します。それぞれの生成画像に要求した食べ物が含まれているかどうかをチェックするよう、LLM に指示します。たとえば、画像にプロンプトのコーヒーや食べ物が含まれているかどうかをチェックします。これにより、抽象的なものがあるかどうかだけでなく、画像の質を確認できます。また、画像に視覚的な魅力があるかどうかもチェックできます。これはマーケティング キャンペーンの必須条件です。

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手順 4. 画像をランク付けする

確認と品質管理が完了し、ニーズに最適な画像を選択できます。的確なプロンプトにより、Gemini Pro 1.0 を再び使用して、生成した数千件の画像を対象にこの処理を実行できます。そのために、各画像をその視覚的なインパクト、メッセージの明確さ、Data Beans ブランドとの関連性に基づいてランク付けするよう Gemini に指示します。その後、最もスコアが高い画像を選択します。

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手順 5. キャンペーン テキストを生成する

最適な画像を選択したので、最適なマーケティング テキストを生成しましょう。生成されたデータはすべて BigQuery に保存されるため、テキストは JSON 形式で生成します。プロモーションやその他の関連アイテムを含むテキストを生成します。

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Gemini Pro 1.0 を使用して、マーケティング メッセージを複数の国の現地語にローカライズする方法も確認してください。

https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/original_images/image-3.gif

手順 6. HTML メール キャンペーンを作成する

生成されたアーティファクトは、ウェブ アプリケーションの一部として表示されます。配信を簡素化するため、書式と画像が埋め込まれた HTML メールを作成する必要があります。ここでも Gemini Pro 1.0 を使用して、ここまでの手順で作成した画像とテキストに基づき、マーケティング テキストを HTML で作成します。

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まとめとリソース

クリエイティブ ワークフローに LLM が組み込まれることで、クリエイティブ分野に革命が起きています。ブレインストーミングと多数のコンテンツの生成を通じて、LLM からクリエイターにキャンペーン用の質の高い多様な画像が提供されます。また、自動的にローカライズされるテキスト生成が高速化され、大量のデータが分析されます。さらに、AI による品質チェックによって、望ましい基準を満たすコンテンツが生成されます。

LLM の創造性によって無関係な画像が生成されることがありますが、Gemini Pro Vision 1.0 の「試食テスト」機能を使用して最も魅力的な結果を選択できます。また、Gemini Pro Vision 1.0 では意思決定プロセスの洞察に富んだ説明が提供されます。Gemini Pro 1.0 は、現地語でコンテンツを生成することでユーザー エンゲージメントを拡大し、コード生成がサポートされるため HTML の知識を必要としません。

このデモンストレーションで紹介された機能を使用してテストするには、Colab Enterprise ノートブックの完全なソースコードをご覧ください。これらの新しい機能の詳細については、ドキュメントをご覧ください。また、こちらのチュートリアルを使用すると、Google の最高水準の AI モデルをデータに適用し、BigQuery からデータを移動することなく、モデルをデプロイし、ML ワークフローを運用化できます。最後に、Gemini のような高度なモデルの可能性を引き出しつつ、エンドツーエンドのデータ分析や AI アプリケーションを BigQuery から直接構築する方法について説明したこちらのデモンストレーションもご覧いただけます。ボーナスとして、デモンストレーション作成の舞台裏をご覧いただけます。


このブログ投稿の執筆には、Google 社員である Luis VelascoNavjot SinghSkander LarbiManoj Gunti が協力してくれました。多くの Google 社員の尽力によって、これらの機能が実現しています。

 

-Google Cloud、デモンストレーション担当テクニカル リード Adam Paternostro

-Google Cloud、シニア スタッフ プロダクト マネージャー Firat Tekiner

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