ブロック ストレージのパフォーマンスの計画と管理を飛躍的に簡素化する方法
Yeonsoo Kim
Product Manager, Google
Ben Gitenstein
Group Product Manager, Google
※この投稿は米国時間 2024 年 8 月 23 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今年に入ってから Advanced Capacity の Hyperdisk ストレージ プールの一般提供を開始したことをお知らせしました。これは、ブロック ストレージ容量の管理を簡素化し、総所有コスト(TCO)を削減するものです。このたび、このイノベーションが、Advanced Performance の Hyperdisk ストレージ プールを通じてブロック ストレージのパフォーマンスでもご利用いただけるようになりました。アプリケーションがデータの読み取りと書き込みを行う際に Hyperdisk ストレージ プールが動的に割り当てる全体の IOPS とスループットをプロビジョニングできます。これにより、リソース使用率を引き上げ、パフォーマンスの計画と管理を飛躍的に簡素化できます。
Advanced Performance ストレージ プールは Google Cloud コンソールからご利用可能です。Advanced Performance ストレージ プールは、Google Cloud のブロック ストレージ サービスの Hyperdisk ファミリーに属するものです。詳細については、こちらをご覧ください。
課題: 適切な量のパフォーマンス リソースのプロビジョニング
ブロック ストレージのパフォーマンス リソースをすべて活用しつつ、ワークロードの正常な実行に必要なリソースを確保するようバランスを取るのに苦労しているという声がお客様から寄せられていました。この課題の根本原因は、「ピークの合計」問題とも呼ばれます。ワークロードのパフォーマンスが損なわれないようにするために、お客様はこれまでに把握している最高のパフォーマンスに合わせてブロック ストレージをプロビジョニングします。ただし、ほとんどの場合、ディスクの消費量はそのパフォーマンスよりも大幅に少なくなります。つまり、ディスクは慢性的にパフォーマンス使用率の低い状態になってしまいます。この現象をグラフ化したものが下の図です。
Advanced Performance ストレージ プールを使用して TCO を 40~50% 削減
この問題を解決するため、Hyperdisk ストレージ プール向けの Advanced Performance を構築しました。Advanced Performance ストレージ プールを使用すれば、ワークロードの正常な実行と高いパフォーマンス使用率のどちらかを優先させる必要がなくなります。また、Advanced Performance の Hyperdisk ストレージ プールを使用すると、必要に応じて、全体のパフォーマンスをプロビジョニングし、ストレージ プールがプール内のディスクにリソースをインテリジェントに分散します。さらに、ディスクの動作を変更する必要はないため、アプリケーションを通常どおり実行できます。これで、アプリケーションの正常な実行やリソースの効率を犠牲にすることなく、パフォーマンス ニーズの計画を簡素化し、TCO を削減することが可能になりました。
Advanced Performance の Hyperdisk ストレージ プールを使用することで、どのようにして TCO を削減できるか、ワークロードの例を見てみましょう。まず、ピーク時に 25,000 IOPS を必要とする(例: すべてのユーザーが同時にログイン)が、安定時には 10,000 IOPS のみ必要となるエンタープライズ アプリケーション スイートと、ピーク時に 75,000 IOPS を必要とする(例: 四半期レポートの作成期間)が、安定時には 35,000 IOPS のみ必要となるデータベース ワークロードの 2 つの例を示します。安定時のパフォーマンスは、プロビジョニングされたパフォーマンスのほぼ半分になるため、プール外では、これらのワークロードは 40~45% のパフォーマンス使用率で実行されます。Advanced Performance の Hyperdisk ストレージ プールの動的リソース割り当てにより、これらのワークロードを使用率約 80% で実行できるので、パフォーマンス リソースを大幅に削減してプロビジョニングすることが可能になり、TCO を 40~55% 削減できます。このとき、ワークロードを変更する必要はありません。
ブロック ストレージ パフォーマンスの簡素化と計画
Advanced Performance のストレージ プールは、パフォーマンス リソースのプロビジョニングにおいて基礎となるイノベーションです。これまでは、インフラストラクチャ管理者は、パフォーマンスを最適化して使用率の低下を許容するか、効率を最適化してアプリケーション エラーのリスクを取るかのどちらかの選択を迫られていました。これは、各ボリュームのパフォーマンスを能動的に管理し、負荷の高い管理トイルを受け入れる必要があることを意味しています。
Hyperdisk Advanced Performance ストレージ プールにより、ブロック ストレージのパフォーマンス管理が簡単になります。Advanced Performance ストレージ プールのディスク IOPS とスループットは「シン プロビジョニング」です。言い換えると、ディスクレベルでプロビジョニングした際のパフォーマンスはリソースを消費せず、最大で 5 倍の IOPS とスループットでプール内のディスクにプロビジョニングできます。これにより、デプロイの計画が簡単になり(各ディスクのパフォーマンスのニーズを正確に予測する必要がなくなるため)、高い効率を実現します(各ディスクに割り当てられた IOPS とスループットを能動的に管理する必要がなくなるため)。ディスクが求めることが多い高いパフォーマンスを、必要なディスクを作成するだけで実現し、Advanced Performance ストレージ プールによって必要なときにリソースを割り当てることができます。
REWE など、いち早くAdvanced Performance ストレージ プールを導入したお客様は、このサービスの価値をすでに実感されています。
「REWE では、デプロイを計画するときにアプリケーションのパフォーマンスの急増を予測する必要があり、大きな課題となっていました。また、ストレージ リソースのパフォーマンス使用率を能動的に管理するのはさらに困難でした。Advanced Performance ストレージ プールにより、両方の悩みが解決しました。Advanced Performance ストレージ プールにより、TCO とトイルを削減できることを嬉しく思います。」- REWE、インフラストラクチャ マネージャー Jan Rundshagen 氏
使ってみる
Hyperdisk Advanced Performance ストレージ プールは、Hyperdisk ストレージ プールの作成と同じワークフローですぐに利用を開始していただけます。Google Cloud コンソール にログインし、Compute Engine の [ストレージ] に移動します。次に、ストレージ プールを作成し、そのボリューム タイプ([バランス] または [スループット])として [高パフォーマンス] を選択し、プールに必要な合計容量とパフォーマンスを設定します。これで、プールに新しい Hyperdisk ボリュームを作成する準備は完了です。既存のストレージ プールと同様にプールの容量を共有できるだけでなく、リソース全体で動的にパフォーマンスも共有できるようになります。
Advanced Performance ストレージ プールは、アプリケーションのパフォーマンス効率を管理および実現する方法を飛躍的に向上させます。Hyperdisk Advanced Performance ストレージ プールは、すでにそれぞれのリージョンとゾーンでリリースが始まっています。ぜひこの機会に Google Cloud コンソールから Advanced Performance ストレージ プールの利用をお始めください。Advanced Performance ストレージ プールを作成、使用、管理する方法の詳細については、こちらのドキュメントをご覧ください。