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アプリケーション モダナイゼーション

Eventarc Advanced で複雑なイベント処理を大規模に簡素化

2025年9月25日
Vidya Nagarajan Raman

Director of Product Management

Raj Duraisamy

Product Manager

※この投稿は米国時間 2025 年 8 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

最新のアプリケーション開発では、スケールアップだけに投資するだけでは十分でなく、簡素化と一元的なガバナンスにも投資する必要があります。これはメッセージのルーティング以上の意味を持ちます。つまり、リアルタイムで情報の流れをインテリジェントにフィルタリング、変換、管理し、複雑さをすべて 1 か所で解消できる、シンプルで統合されたメッセージング プラットフォームが必要になります。

このたび、Eventarc Advanced の一般提供を開始しました。これは、リアルタイムのフィルタリング、変換、管理、デリバリーを 1 か所に集約することで、単純なルーティングを超えた、複雑なマルチソースのイベント ドリブン アーキテクチャに対応する統合されたサーバーレスのイベント プラットフォームです。

複雑性に対処するための Eventarc の進化

Eventarc Advanced は Eventarc Standard の進化版であり、イベント処理のニーズを簡素化する統合パターンをすぐに利用できます。

Eventarc Advanced では以下のことが可能です。

  • Publish API を使用して既存のサービスを統合し、Google Cloud イベントを活用して高度なイベント ドリブン アプリケーションを構築します。

  • メッセージ単位のきめ細かいアクセス制御をサポートし、サービス間のメッセージ フローを集中管理、保護、監視します。

  • インテリジェントにルーティング: 柔軟なメッセージ条件に基づいて、メッセージを適切な宛先にルーティングします。

  • 変換: 複数のペイロード形式をサポートし、イベント属性を変換する機能が組み込まれているため、イベントをリアルタイムで変換します。

  • HTTP バインディングを使用して Google Cloud サービスに公開します。

Eventarc Advanced を使用すると、高度なイベント システムを構築できます。一方、Eventarc Standard は、Google Cloud イベントを含むシンプルな 1 対 1 のイベント処理のニーズに最適です(比較)。

Eventarc Advanced の主な技術的特徴は次のとおりです。

  • Publish API を使用して、CloudEvents 形式でカスタム メッセージとサードパーティ メッセージを取り込みます(詳細)。

  • メッセージバス: イベント ドリブン アーキテクチャの中枢神経系として機能し、オブザーバビリティ、セキュリティ、管理を一元化します。メッセージバスは Envoy をベースとしており、Cloud Load Balancer と Cloud Service Mesh のポリシー エンジンを使用します。

    • 既存のシステムは、中央のメッセージバスにメッセージをパブリッシュできます。このメッセージバスは、柔軟な基準に基づいて適切なコンシューマーにインテリジェントにルーティングできます。メッセージバスは、イベント管理を簡素化し、運用上のオーバーヘッドを削減します。

    • 一元化されたモニタリング、ロギング、トレース機能により、メッセージ フローに関する分析情報を得ることができます。ログは Cloud Logging でキャプチャされ、イベント処理とエラーに関する詳細な情報が提供されます。

  • すぐに使用できるイベント メディエーション機能により、ソースまたは宛先サービスを変更せずにメッセージをその場で適応させ、複数のペイロード形式(Avro、JSON、Protobuf)のサポートとイベント属性を変換する組み込み機能を通じてさまざまなイベントを処理できます。

    • Eventarc Advanced は、信頼性の高いイベント配信と一時的な障害からのスムーズな復旧を提供することで、エラー処理を組み込んでいます。

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デベロッパーとオペレーターを支援

Eventarc Advanced は、デベロッパーオペレーターの両方のニーズに対応するように設計されています。

  • デベロッパーにとっての「シンプルさ」: 複雑なイベント ルーティング ロジックではなく、アプリケーションのコア機能の構築に集中できます。Eventarc Advanced は、統合された API と一貫したエクスペリエンスを提供し、リアルタイム変換などの分離された信頼性の高いスケーラブルなサービスを構築できます。

  • プラットフォーム オペレーター向けの「一元化されたガバナンス」: イベント インフラストラクチャのセットアップと管理を簡素化します。プロジェクトおよびチーム全体でガバナンスを一元化し、モニタリングとロギングを行うことで、問題の特定と解決が容易になり、運用オーバーヘッドが削減されます。

Eventarc Advanced の仕組み

注文の作成、支払いの処理、商品の発送を行う注文処理システムを考えてみましょう。各アクションは「イベント」であり、複雑なシステムでは、このフローの管理が困難になることがあります。そこで役立つのが Eventarc Advanced です。アプリケーションのすべてのイベントを一元的に管理、監視、ルーティングできます。この仕組みを詳しく見ていきましょう。

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メッセージバスを設定す

Eventarc Advanced の中心となるのは、イベント ドリブン アプリケーションの中枢神経系として機能するメッセージバスです。すべてのイベントは、その発生元にかかわらず、分析とルーティングのためにメッセージバスに送信されます。この中央ハブでは、セキュリティ ポリシーを定義して、イベントを送信できるユーザーと許可されるイベントの種類を正確に制御できます。

この例では、注文関連のすべてのイベントを受信するためのメッセージバスを作成します。注文が新規作成された場合、支払いが確認された場合、ステータスが「発送済み」に変更された場合など、イベントはここに記録されます。

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イベントソースを接続する

次に、注文イベントを生成するソースを接続します。イベントソースは、イベントを生成してメッセージバスにフィードするサービスとアプリケーションです。Eventarc Advanced では、以下を含む幅広いソースをサポートしているため、これが簡単になります。

  • Google API イベント

  • Publish API を介した外部アプリまたはカスタム システム

この例では、イベントソースは Publish API を使用するカスタムサービスです。新しい注文が保存されるか、既存の注文が更新されるたびに、メッセージバスにイベントが自動的に送信されます。

パイプラインと宛先の構成

これも Eventarc Advanced の優れた点です。イベントがメッセージバスに流れ込むと、パイプラインを構成して、イベントを正しい宛先にインテリジェントにルーティングできます。これにより、イベントを正確にフィルタリング、変換、指示できます。

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上記の例では、次のように設定されています。

  • 新規注文の通知: ステータスが「新規」のイベントを検索するフィルタを設定できます。このパイプラインは、これらのイベントを通知サービスにルーティングし、通知サービスが注文確認メールをお客様に送信します。

  • 不正行為の検出: 高額な注文(例: 1,000 ドル以上)の場合、変換を適用して、分析のために専門の不正行為検出サービスにルーティングできます。
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新たな可能性を切り開く

Eventarc Advanced は、アプリケーションとワークフローに新たな可能性をもたらします。

  • 大規模なアプリケーション統合: 多数のサービスとエージェントを接続し、異なるイベント形式やスキーマ間でも、非同期で確実に通信できるようにします。

  • AI と分析のためのイベント ストリーミング: IoT デバイスや AI ワークロードからの大量のデータを、分析パイプラインにフィードする前にフィルタリングして変換することで処理します。

  • ハイブリッド クラウドとマルチクラウドのデプロイ: イベント ドリブン アーキテクチャを Google Cloud の枠を超えて拡張し、オンプレミス システムや他のクラウド プロバイダと統合します。

次のステップ

昨今のアプリケーションは、エージェント化、分散化、データドリブン化が進んでおり、効率的かつ安全なイベント オーケストレーションの必要性がこれまで以上に高まっています。データパスにカスタムコードを挿入する Service Extensions のネイティブ サポートと、Model Armor、Eventarc Advanced のメッセージバスなどのサービスが間もなく提供される予定です。これにより、エージェント通信のセキュリティとネットワーキング制御が提供されます。

Eventarc Advanced は今すぐご利用いただけます。Eventarc Advanced の詳細については、ドキュメントをご覧ください。イベント ドリブン アーキテクチャの詳細については、Google Cloud のベスト プラクティスに基づいたアーキテクチャ センターをご覧ください。イベント ドリブン アーキテクチャを次のレベルに引き上げましょう。

ー プロダクト管理担当ディレクター、Vidya Nagarajan Raman 

ー プロダクト マネージャー、Raj Duraisamy

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