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アプリケーション開発

開発者とオペレーター向けにアプリケーション中心の AI を活用したクラウドを実現

2025年4月28日
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Brad Calder

VP & GM, Google Cloud Platform

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※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

本日は、アプリケーション ライフサイクルのあらゆる段階でクラウド開発者やオペレーターを支援する新しい AI 機能をご紹介します。具体的には以下のとおりです。

  • アプリケーションをクラウド エクスペリエンスの中心に据え、従来のクラウドモデルにおけるインフラストラクチャの複雑さを抽象化します。インフラストラクチャ レベルではなく、アプリケーション レベルで設計、観察、保護、最適化を行えるようになります。 

  • Gemini Code Assist と Gemini Cloud Assist の新機能により、アプリケーション開発ライフサイクルのあらゆる場面で AI アシスタンスを利用できるようになります。IDE での開発タスクをオフロードするために、複雑なワークフロー用に設計されたエージェントなど、新しいエージェントを導入します。また、管理と運用のタスクにも AI を活用し、アプリケーションのライフサイクル全体をよりスマートで生産的なものにしています。

アプリケーション中心の新しいクラウド エクスペリエンス

アプリケーションは、現代のビジネスの牽引役を担う存在です。しかし、従来のリソース中心のクラウドモデルでは、アプリケーションの設計、デプロイ、管理に膨大な複雑さが伴うため、開発者はビジネス要件をインフラストラクチャの詳細に反映せざるを得ず、アプリケーションの全体的な目的とパフォーマンス目標が見えにくくなってしまいます。また、アプリケーション コンポーネントが多くのシステムやダッシュボードに分散しているため、パフォーマンスの追跡、費用の把握、問題のトラブルシューティングが困難になっています。Google のアプリケーション中心のアプローチは、多くの新しいサービスや拡張機能により、こうした課題の解決を支援します。

App Design Center とは

現在プレビュー版が公開されている Google Cloud の新しいサービス、Application Design Center は、プラットフォーム管理者と開発者が、クラウド アプリケーションの設計、デプロイ、進化を効率化すると同時に、そのクラウド アプリケーションを安全で信頼性が高く、ベスト プラクティスに沿ったものにするのをサポートするサービスです。Application Design Center では、API や gcloud コマンドライン インターフェースだけでなく、キャンバス スタイルの視覚的なアプローチでアプリケーション テンプレートを設計、変更できます。また、デプロイ用のアプリケーション テンプレートの構成や、infrastructure as code のインライン表示、チームメイトとの共同設計も可能です。アプリケーションのデプロイは App Hub に自動的に登録されるため、運用やトラブルシューティングが容易です。

Cloud Hub でアプリケーションの可視性と管理を統合

新しい Cloud Hub サービスは、アプリケーション環境全体の中央コマンドセンターとして機能し、お客様がアプリケーションやワークロードにとって最も重要な作業に集中できるようにします。デプロイ、健全性とトラブルシューティング、リソースの最適化、メンテナンス、割り当てと予約、サポートケースに関する分析情報が提供されるため、アプリケーションの重要な側面を管理しやすくなります。この統合ビューにより、管理が簡素化され、問題解決が早まります。Cloud Hub は現在公開プレビュー版であり、Google Cloud コンソールのすべてのユーザーにご利用いただけます。こちらからぜひ Cloud Hub をお試しください。

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Cloud Hub は、Google Cloud 上のアプリケーション環境の統合ビューを実現します。

App Hub とアプリ中心のオブザーバビリティの拡大

App Hub は、アプリケーションを相互接続されたサービスまたはワークロードとしてモデル化し、アプリケーション中心のビューを提供します。現在、Google Kubernetes Engine(GKE)、Cloud Run、Cloud SQL、AlloyDB など、20 以上の Google Cloud プロダクトとのインテグレーションが行われており、アプリケーション中心のエクスペリエンスの基盤を強化しています。今後もこの取り組みをさらに拡大していく予定です。

さらに、2 つの新機能により、アプリケーション中心のオブザーバビリティ機能を強化しています。1 つ目は、公開プレビュー版の Application Monitoring です。Application Monitoring は、アプリケーション コンテキストによるテレメトリー(ログ、指標、トレース)の自動タグ付け、アプリケーション対応アラート、すぐに使えるアプリケーション ダッシュボードをサポートします。2 つ目は、Cost Explorer です。これを導入することで、アプリケーションの詳細な費用や使用率の指標を可視化し、効率化の機会を特定できるようにします。Cost Explorer は現在、限定公開プレビュー版です。こちらから登録してお試しください。

AI を活用したアプリケーションの開発と管理

Gemini Code Assist と Cloud Assist では、アプリケーション開発を迅速化し、ソフトウェア開発ライフサイクル全体にわたるクラウド運用の効率化を支援することに重点を置いています。

Gemini Code Assist: デベロッパーの生産性を向上

Gemini Code Assist はすでに、Android Studio、Firebase Studio、JetBrains、VS Code といったおなじみのコードエディタで AI アシスタントとして機能しています。本日は、Code Assist がソフトウェア エンジニアの皆様を支援する新しい方法を 3 つご紹介します。

  • 自然言語リクエストによるリクエストを複数のステップとファイルで構成されるソリューションに変換できるエージェント

  • Code Assist を外部サービス、パートナー事業者、さらには他のエージェントに簡単に接続できる新しいツール

  • コーディング機能が強化され、個人向け Gemini Code Assist で利用可能になった Gemini 2.5

Gemini Code Assist エージェント

先日、Sundar Pichai 氏が、Google のコードの 25% は AI が記述していることを発表しました。Google Cloud のお客様も同様の傾向にあり、Renault Group の Ampere、Broadcom、CGI、CME Group、PayPal、Wipro は、コードの記述とアプリケーションの開発に Code Assist を使用しています。実際、シカゴ マーカンタイル取引所を運営する CME Group は、Code Assist により、同社の開発者のほとんどが 1 か月あたり 10.5 時間以上の生産性向上を実現していると述べています。

アプリケーションを本番環境に移行するには、コーディング以外にもさまざまなタスクが必要です。そのため、ソフトウェア開発ライフサイクル全体のタスクへの取り組みに役立つよう設計された Gemini Code Assist エージェントを使用して、優れた新機能をすぐにご利用いただけるようにしています。

Gemini Code Assist のエージェントは、開発者がよく行うさまざまなタスクの実行を支援できるようになりました。以下に例を示します。

  1. 新しいソフトウェアの生成: Google ドキュメントの製品仕様からアプリケーションを作成します。

  2. コードの移行: ある言語から別の言語へのコード変換と、言語 / フレームワークのバージョン間のコード変換を実行します。

  3. 新機能の実装: GitHub でユーザーに割り当てられた課題を読み、その内容に対応するコードを作成します。

  4. コードレビューの実施: コード分析を行い、品質、ベスト プラクティス、組織のスタイルに関するフィードバックを提供します。

  5. テストの生成: テストケースの作成、テストの実行、結果のレポートの作成を行います。

  6. AI テストの実施: モデルの入力と出力を評価し、コンテンツの安全性に関する潜在的な懸念事項を特定して対処します。

  7. ドキュメントの生成: リポジトリ全体の wiki スタイルのドキュメントを作成し、更新します。また、コードベース全体に関する Q&A を提供します。

エージェントがバックグラウンドで作業している場合、どのタスクが進行中で、何が完了しているかを把握できることが重要です。そこで、Google Cloud は Gemini Code Assist のカンバンボードを作成しました。このボードでは、Google のエージェントとのやり取りや、Gemini がタスク完了のために作成した作業計画の確認、さまざまなジョブやリクエストの進捗状況の追跡が可能です。

Gemini Code Assist ツール

IDE で Gemini Code Assist を使って真に効率的に作業するには、外部ソースのコンテキストに簡単にアクセスできることが必要です。そこで、現在プレビュー版として提供されている Gemini Code Assist ツールを開発しました。これらは、Gemini Code Assist のチャット内からアクセスできる、あらかじめ用意された接続機能で、Google アプリや、Atlassian、Sentry、Snyk といったパートナーの業界をリードするツールからの情報取得に役立ちます。

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その他の IDE: Android Studio と Firebase Studio

Gemini Code Assist は、選択した IDE で直接コードを記述、変換、理解するのに役立ちます。そしてこのたび、この機能の対象範囲が拡大したことをお知らせいたします。Gemini Code Assist は Android Studio で、エンタープライズ セキュリティとプライバシー機能を備えた AI コーディング サポートを必要とするプロの開発者にご利用いただけるようになりました。

さらに、Gemini Code Assist を活用した Firebase プラットフォーム専用のエージェントを新たに 2 つリリースしました。一つは、新しい Firebase Studio 開発環境内のアプリ プロトタイピング エージェントで、アプリのアイデアを UI、バックエンド コード、AI フローを含む完全な機能を持つプロトタイプに変換します。もう一つは、Firebase App Distribution 内のアプリテスト エージェントです。これは、エンドツーエンドのテストを生成、管理、実行して、モバイルアプリを本番環境向けに準備します。どちらのエージェントも現在はプレビュー版です。

Gemini Cloud Assist: アプリケーションの運用と管理を簡素化

Gemini Cloud Assist は、Google Cloud 環境におけるアプリケーション ライフサイクル全体にわたって AI を活用した支援を提供し、開発者、DevOps チーム、クラウド管理者、SRE が、初期のインフラストラクチャ設計、デプロイ、モニタリング、トラブルシューティングから継続的な最適化まで、アプリケーションをより効果的かつ効率的に管理できるようにします。Gemini Cloud Assist は、チャット インターフェース、専用の AI ガイド付きワークフロー、そして Google Cloud プロダクト内から直接、AI による支援を提供します。コンソールとモバイルの両方で利用できます。Gemini Cloud Assist は現在公開プレビュー版であり、すべての Google Cloud ユーザーにお試しいただけます。

アプリケーションの設計

Gemini Cloud Assist は Application Design Center と統合されており、アプリケーション インフラストラクチャの設計とデプロイを迅速化します。Gemini Cloud Assist を使用して、望ましい成果を自然言語で記述することで、アプリケーション インフラストラクチャを設計できます。たとえば、Gemini Cloud Assist に「3 層の e コマース ウェブサイトを設計」または「写真を動画に変換するモバイルアプリを設計」するよう求めると、アーキテクチャ図とアプリケーション テンプレートが自動的に生成され、Gemini で繰り返し改良できます。App Design Center に直接組み込まれたデプロイ ワークフローにより、これらのアプリケーション テンプレートを Google Cloud に即座にデプロイすることもできます。さらに、これらのテンプレートを限定公開で共有されたカタログを使ってチームに配布したり、Terraform としてエクスポートして他のワークフローとの相互運用性を高めたりすることも可能です。

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Gemini Cloud Assist を使用して、自然言語でアプリケーション インフラストラクチャ設計をすばやく生成、改良

調査によるトラブルシューティング

Gemini Cloud Assist Investigations は、トラブルシューティングと問題解決を大幅に加速する、AI を活用した新しいワークフローです。クラウド環境と、包括的なデータセット(ログやエラーのパターン、構成の変更、トラブルシューティングのランブックなど)を活用することで、根本原因をすばやく特定し、緩和策を提示します。

この Investigations のフローには、検出されたエラー、影響を受けたリソース、ユーザーが提供した症状が含まれており、これらを基に Gemini Cloud Assist が生成した観察結果と調査結果の要約が提供されます。Investigations は、エラーやログエントリから直接起動することも、各コンソール ページの右上隅にある調査アイコンから起動することもできます。起動後は、チャットで特定の調査に関する質問をしたり、修正を繰り返したりできます。さらに、Gemini Cloud Assist は、調査ケースを Google サポートに簡単に引き継ぐことが可能です。Google サポートは、お客様の同意を得たうえで、調査結果を活用して人間による継続的なサポートを提供できます。Gemini Cloud Assist Investigations は現在、限定公開プレビュー版です。お試しいただくには、こちらからご登録ください。

費用と使用率の最適化

Gemini Cloud Assist は、開発者や DevOps チームだけでなく、FinOps 担当者や財務チームにも、AI を活用した費用管理と費用最適化の機能を提供します。Cloud Hub の費用最適化ダッシュボードでは、開発者と DevOps チームがアプリケーションの費用と使用率に関する分析情報を取得できます。Gemini は、費用と vCPU やメモリなどの使用率のデータを関連付けることで、非効率性を特定し、パーソナライズされた推奨事項を提供します。さらに粒度の高い費用と使用率の分析を実現するため、Cost Explorer では、ヒートマップによる柔軟な可視化を提供し、単一または複数のリソースのコンピューティングとメモリの使用率を集計します。30 日間の履歴データに対応しており、プロジェクト、アプリケーション、Google Cloud プロダクト、リソースタイプでデータ全体をフィルタできます。

Cloud Billing では、過去 1 年間(2024 年 1 月~2025 年 1 月)で、Gemini Cloud Assist の費用レポートをご利用になったお客様が FinOps 作業時間の 100,000 時間以上の削減に成功しています。そして今回、Gemini Cloud Assist を拡張したことで、FinOps ハブ 2.0 により、無駄な費用に関する分析情報や費用最適化の提案といった機能も利用できるようになっています。

Google Cloud 全体への Gemini Cloud Assist のインテグレーション

Google は、Gemini Cloud Assist を Storage Insights、Cloud Observability、Firebase、データセンター、Flow Analyzer、FinOps Hub などのお気に入りの Google Cloud サービスや、セキュリティおよびコンプライアンス関連のサービスに統合することで、既存のワークフロー内で直接 AI による支援を提供しています。

これにより、チャット機能の利便性も向上しています。Gemini Cloud Assist は、アセットとその構成、システムの健全性、指標とログ、費用レポートなど、デプロイに関するコンテキストが豊富になったことで、さらに質の高いサポートを提供できるようになりました。また、BigQuery のコード生成、データベースやストレージの説明といったドメイン固有の専門的なタスクにも対応しています。

Google Cloud で今すぐアプリケーションの構築と管理を始めよう

AI を活用した新しいアプリケーション中心のクラウドにより、組織の未来を支えるアプリケーションの構築と管理が容易になります。

まずは、新しい Google デベロッパー プログラムの Enterprise ティアを限定プレビューでお試しいただけます。この新しい特典は、開発者チームやプラットフォーム チームに、Google Cloud とその AI プロダクトを安全かつ手頃な価格で試用できる機会を提供します。開発者は、1 シートあたり月額 $75 の定額料金でサンドボックス環境にアクセスして、新しいテクノロジーを試したり、概念実証を構築したり、スキルを向上させたりできます。この特典には、Gemini Code Assist Enterprise、クラウド リソースの割引、Gitlab、Harness、Jetbrains、Snyk とのインテグレーションが含まれるため、開発者はリファレンス アーキテクチャを活用して、一般的な生成 AI アプリケーション パターンを構築できます。この特典について詳しくは、こちらをご覧ください。

このブログで発表された新しいプロダクトと機能に関心のある方へ:

  • 今すぐ Google Cloud コンソールにログインして、Gemini Cloud Assist の機能を体験してください。「Opt(Alt)+ G」を押すか、Gemini ボタンをクリックして、コンソールで Gemini Cloud Assist を起動してください。機能の詳細については、こちらのウェブサイトをご覧ください。

  • 今すぐ Google Cloud コンソールの Cloud Hub にログインして、アプリケーション環境を完全に可視化しましょう。Cloud Hub の費用最適化ダッシュボードをお試しになりたい場合は、こちらからご登録ください。

  • Gemini Code Assist エージェントのプレビュー版については順番待ちリストへの登録をお願いします。

  • こちらから登録して、Gemini Cloud Assist Investigation をお試しください。

  • 個人のプロジェクトで Gemini 2.5 を使用するには、お好みの IDE に個人向け Gemini Code Assist 拡張機能をインストールしてください。

  • Firebase Studio をご確認ください。

Google Cloud Platform、バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー、Brad Calder

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