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API 管理

API がリーチ拡大と ROI 改善を試みるコンテンツ プロデューサーを支援する仕組み

2020年12月1日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 11 月 20 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

ほんの数年の間に、私たちがコンテンツを消費する方法は劇的に変化しました。

この新しい状況で競争し、その新しい状況を支える技術的変化に適応するため、メディア スタジオをはじめとしたコンテンツ プロデューサーは、独自コンテンツを比較的にオープンなアクセスで提供することを検討する必要があります。これには、業界全体の文化的変化が必要です。

ケーブルテレビの解約、つまり「コード カッティング」は 2010 年以降大幅に増加し、さらにパンデミックによりこの傾向が加速しています。現在、米国でコードカットを行った世帯は 3,000 万を超えています。現在、米国におけるデジタル コンテンツの定期購入ユーザーは、平均 3 つ以上の有料サービスでストリーミング コンテンツを視聴しています。過去数年にわたって、米国の主要なテレビ ネットワークが 30 年をかけて制作した数を超える動画コンテンツが 30 日 の期間にストリーミング サービスにアップロードされるという状況が続いています。

増え続けるプラットフォームですぐに利用できる豊富なコンテンツがあり、また各プラットフォームは多数の異なるデバイスからアクセスできるような状況では、メディア プロバイダは、消費者が見たい動画コンテンツをすぐに探せるようにするための投資を行う必要があります。視聴者は最小限の労力でアクセスしてストリーミングできないと、すぐに自由に使える無数の選択肢の中の他の選択肢に移ってしまう可能性があります。

音声ベースのアシスタントと検索サービスが良い例です。コンテンツを探すよう促されると、これらのサービスは、アクセスが許可されている多数のサードパーティ ライブラリから最適なコンテンツを取捨選択して、円滑なユーザー エクスペリエンスを提供します。メディア企業にとって、サイロ化した閉鎖的なコンテンツ ライブラリから、デジタル エコシステムの一員に進化することが重要です。パートナーシップの機会が多数存在するため、リーチの拡大が促され、また収益の機会も増加します。さらに、これらのコミュニティの一員となることで、適切な消費者に、適切なデバイス、適切なエクスペリエンス、適切なタイミングでコンテンツを提供できるようになります。

ストリーミング ジャングルをナビゲートする

メディア業界やエンターテイメント業界に古くから存在するサイロを解体し、豊かな視聴エクスペリエンスを提供する方法を構築する必要があります。スタジオは、コンテンツをより迅速かつ安全に配信し、購入者が望むコンテキストで必要なコンテンツを提供できるように、視聴者をよりよく理解することが重要です。これらの目標を達成するには、パブリッシャーは、ダイナミックで競争の激しい環境の需要に対応するために構築されたテクノロジーを活用する必要があります。

パブリッシャーは、視聴者とのつながりを深め、コンテンツ制作の収益を最大化するため、アプリケーション プログラミング インターフェース(API)を採用することを検討すべきです。アプリケーション間の相互連携を促進する API を使用することで、パブリッシャーのコンテンツをより多くの開発者やパブリッシング パートナーが利用できるようになります。そして、その開発者やパートナーが、コンテンツを中心としてインテリジェントかつつながりのあるエクスペリエンスを構築します。

この新しいコンテンツ バリューチェーンでは、クラウド インフラストラクチャ上の API 管理ツールを活用してパートナーシップが管理されます。これにより、メディア企業は理想的な動画視聴プラットフォームから簡単に消費者につながることができます。API を使用すると、コンテンツ所有者とコンテンツ配信企業はパートナー テクノロジーを利用してソーシャル インタラクションから価値を引き出し、データと分析から得られた知見を通じてより多くの視聴者を引き付けることができます。

API の機能でおそらく最も重要となる機能は、ユーザーがあるデバイスで視聴を開始して停止し、別のデバイスに転送するような状況で、コンテンツがユーザーをフォローできるようになる、というものです。コンテンツはますますデバイスから分離されつつあります。API を使用すると、デバイスが変わってもエクスペリエンスの継続性が維持されるため、フォーム ファクタや画面サイズが異なるデバイス間でもよりシームレスなエクスペリエンスが実現します。消費者は、どのデバイスを使用してもフォローしてくれるコンテンツを期待しています。

API によってコンテンツの制作と配信が改善される理由

昨年、ストリーミング サービスは、2005 年にテレビ業界全体が制作した数より多くの オリジナル コンテンツを制作しました。多くのメディア プロデューサーは、消費者の新しいメディア消費習慣に適応しようと、コンテンツをより多くのデバイスで利用可能にするだけでなく、より多くのコンテンツをさらに迅速に制作しているのです。

スタジオは、グローバルにコラボレーションし、優れたコンテンツを安全かつ効率的に制作できるようにするためのソリューションを模索する必要があります。コンテンツ バリュー チェーンでは、複数の制作テクノロジーと制作拠点をつなげて、アーティストと制作クルーに必要なリソースとアセットをシームレスに提供するために、API が使用されます。たとえば、ある国の撮影クルーは API を介して別の国の別のスタジオと連携し、コンテンツの撮影、エンコード、コラボレーション、共有を行っています。これらのクラウドベースの制作環境は、制作に関わる全関係者が必要としているアセットにアクセスする際に単一の接続先を提供するとともに、適切な関係者が適切なコンテキストにおいてのみアセットにアクセスできるようにします。

さらに、コンテンツの制作と配信には複雑なサプライ チェーンが必要です。API を使用すると、さまざまなコア機能(コンテンツの購入、保存、支払い、物理メディアの配達、カスタマー サービスなど)を担当する各関係者が一体となって連携し、購入者にシームレスなエクスペリエンスを提供できるようになります。スタジオは、これらのバックエンド タスクに関する戦略を見直すのではなく、サードパーティの API を活用することで、コンテンツを適切な人に迅速に提供できるようになり、最終的には、バックエンド タスクの各機能を自社で実行するよりも効率的な処理が可能になります。

パートナーの API を利用するだけでなく、経験豊富なメディア企業やエンターテイメント企業が独自の公開 API を開発することで、アセット ライブラリ、価格設定、その他の関連情報へのアクセスを安全に提供することで、コンテンツの消費を加速できます。メディア クリエイターが同じ API を使用してさまざまなサービスやデバイスタイプにコンテンツを提供できるようになるため、メディア企業やエンターテイメント企業による公開 API の開発は非常に重要です。また、公開 API により、メディア クリエイターはセキュリティ リソースをスケールしなくても、コンテンツ配信をスケールできるようになります。

また、メディア企業の API を利用することで、より優れたユーザー エクスペリエンスを提供できるようになります。購入者が動画をストリーミングするたび、そしてデベロッパーがメディア アセットを新しいアプリやデジタル エクスペリエンスに統合するたびに API が利用されるため、API の使用状況を分析することで、どこで、いつ、誰が、どのようなデバイスを使用してさまざまなメディア(従来の映画から拡張現実、その他のインタラクティブ コンテンツまで)にアクセスしているか、情報を得ることができます。

API 管理ツールですべてをまとめる

スタジオがコンテンツ バリューチェーンに迅速に適応し、コンテンツを複数のプラットフォームに配信するには、コンテンツ制作と配信を強化するクラウド環境に加えて API 管理ツールを実装することが重要です。たとえば、Google Cloud はパブリック クラウド上で Apigee を提供しています。この追加レイヤーにより、スタジオ独自の環境と、API で可能になる戦略的パートナーシップとの統合を促進できます。

API のライフサイクルは、特に複数の API を利用する場合、かなり複雑になる可能性があります。API のライフサイクルには以下が含まれます。

  • API の計画、設計、実装、テスト、公開、運用、消費、保守、バージョニング、廃止

  • API を活用するデベロッパーのコミュニティをターゲティング、マーケティング、管理するためのデベロッパー ポータルの立ち上げ

  • ランタイム管理

  • API の価値の見積もり

  • API の使用パターンを理解するための分析

Apigee などの管理レイヤーを使用すると、メディアやエンターテイメント企業がパブリック クラウドと API が提供する機能を組み合わせて、新しいデバイスやプロトコルの要件に適合できるようになる可能性が高まります。また、管理レイヤーにより次世代テクノロジーが統合され、スタジオはデジタル コンテンツの制作と配信を確実にスケール、保護、モニタリング、分析できるようになります。

-Google Cloud ビジネス プラットフォーム ストラテジー担当責任者 Chris Hood

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