API 管理

API ファーストとは。ビジネス価値を創造する 5 つの機会

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※この投稿は米国時間 2020 年 9 月 4 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

先日、Oxford Economics の協力を得て CIO 調査を実施したところ、調査結果に際立ったポイントがいくつか含まれていました。大半の企業は API ファーストの戦略を使用しており、このコンセプトに特に力を注いでいる企業は、ビジネス パートナーシップによるイノベーションの加速や価値の上昇を報告していたのです。

それにもかかわらず、この調査は API を未だに統合ファーストの観点でとらえている企業が、少数とはいえ確かに存在することを示していました。こうした考え方は組織にとって、現在特に重要なビジネス チャンスの多くを遠ざけ、将来訪れる可能性のある新たなチャンスに対応する能力を妨げるおそれがあります。

API ファーストであるとは、API には多くのユースケースがあり、さまざまなビジネス チャンスを実現できる可能性があると予想することを意味します。統合ファーストであるとは、多くの場合、思考を特定の統合プロジェクトの範囲内に限定し、将来的な使用を考慮せずに、API を 1 度限りのものとして作成することを意味します。

統合ファーストから API ファーストへの考え方の移行は企業文化の変革をもたらす可能性がありますが、移行が完了すると、企業は効率、スピード、成長、復元力、将来の保証に対する大きなチャンスを利用できるようになります。今回は API ファーストの考え方によってもたらされる 5 つの大きなチャンスと、それらを現実のものにするためのヒントをご紹介します。

1. 優れた費用対効果

1 度限りの API 統合プロジェクトとは対照的に、一貫性を持って作成、共有、文書化、管理された API は、内部サービスへのアクセスと再利用を確実に行えるようにします。このため、レガシー IT を特徴づけるカスタマイズ統合プロジェクトや重複作業の多くを排除できます。

こうした API により、基盤となるサービスに存在する複雑さがすべて抽象化され、セルフサービスのデベロッパー ポータルを通じて大規模な利用が可能になるとともに、デベロッパーは最新のデジタル エクスペリエンスやアプリケーションの開発に必要なデジタル アセットに簡単にアクセスできるようになります。同時に、適切に管理された API を使用することで、IT 管理者は引き続き企業のデジタル アセットの使用方法を制御、可視化することができます。

さらに API は単独でデプロイ可能です。つまり開発チームは、より小規模で自律的なグループで作業し、それぞれのペースで行動できます。このことは、アプリケーションがモノリシックに構築されていた従来のモデルとは大きく異なります。従来のモデルでは、機能が大量に絡み合い、依存関係が非常に多かったため、デベロッパー全員の作業が拘束されていました。

2. 市場投入までの時間を短縮する

こうした効率性はすべて、API ファーストの開発によって、企業がより迅速かつ効率的にアプリケーションをリリースし、パートナーシップを構築できることを意味しており、Google Cloud の多くのお客様がそれを証明していらっしゃいます。たとえば、Nationwide Insurance は、API ファーストのアプローチを導入して自社マイクロサービスを共有可能かつ再利用可能にしたのち、開発サイクルを 3 か月からわずか数日に短縮しました。

同様に、インドネシアの大手銀行 Bank BRI は、API を使用してパートナーシップを築くうえでの技術的な複雑さを排除し、共同イノベーションの機会を増やすことができました。同行はセルフサービス API ポータルを介してパートナーがデジタル アセットを利用できるようにすることで、パートナーのオンボーディング時間を 6 か月から 1 時間未満に短縮しました。

3. 新たなビジネスモデルや収益機会を開拓する

Bank BRI の事例が示すように、API は社内デベロッパーの効率を高めるだけでなく、貴重なデータや機能をサードパーティと共有することで、企業の新しいビジネスモデルや収益機会の開拓に役立ちます。Oxford Economics の調査によると、外部パートナーシップの促進を目的とした API の使用に最も投資した企業は年間収益が 6.7% 増加したのに対し、それ以外の企業は 4.9% の増加にとどまりました。

すべての企業は、貴重なデータや機能をシステム内に取り込んでいます。そして Bank BRI の事例のように、それらのデータは非常に貴重なため、利用する第三者は喜んで料金を支払ってくれる場合があります。AccuWeatherPitney Bowes をはじめとする Google Cloud のお客様も同様の API 収益化戦略を推進しています。

また、収益化に加えて、API を外部ユーザーと共有することで、ある企業のサービスをパートナーの顧客に公開し、API の背後にあるデジタル アセットを利用してニュースアプリを構築するイノベーターの輪を広げることができます。API が収益化されていなくても、ユースケースの中から特に人気のあるものが出現すれば、現在の新しいユースケースや将来の新しい収益機会につながる可能性があります。AccuWeather の CTO である Chris Patty 氏は、どんなデベロッパーでも次にヒットするサービスを構築できると述べています。同社は、気象データにアクセスできるフル機能の有料バージョンの API だけでなく、より基本的な無料バージョンも提供しています。

4. データを有効にし、ビジネス プロセスにインテリジェンスを投入する

API は、企業が社内チーム間やサードパーティと貴重なデジタル アセットを共有しやすくするだけでなく、企業がデジタル アセットを外部 API に接続し、クラウドで実行される機械学習サービスなどの待ち望んでいた機能を実現できるようにします。

たとえば、企業はデータサーバー上にサーバーを設置しているものの、機械学習の専門知識はほとんどないことがあります。ただし、データを API の背後に置いてサードパーティの機械学習サービスに接続することで、こうした組織は社内の機械学習能力をゆっくりと育てながらでも、最先端の分析情報を得ることができます。同様に、API をレガシー システムの前に置くことで、レガシー システムをクラウドに簡単に移行し、クラウドネイティブ サービスに接続できます。

最新のデジタル ビジネス プロセスとエクスペリエンスは大部分が複数の企業のソフトウェアで構成されており、API を使用してある組織のデータや機能を別の組織のデータや機能とつなぎ合わせて、新たなエクスペリエンスや効率を生み出しています。このエコシステム中心のアプローチは、多くの場合、企業がコア コンピテンシーのデジタル化に集中しながら、それらのコンピテンシーの市場投入に必要な他の多くの部分について技術パートナーに頼れることを意味します。

5. 復元性と将来性を向上させる

API は貴重なデータや機能を再利用し、さまざまなユースケースで他の API と組み合わせることができるため、IT システムにモジュール化やコンポーザビリティをもたらし、復元性と将来性を生み出すことができます。

たとえば、パートナーが廃業した場合でも、そのパートナーの API を別のパートナーの API に交換するぐらいで、パートナーの入れ替えるために何か月にもおよぶ複雑かつ困難な統合計画を実施する必要はありません。同様に、タッチファーストのモバイル エクスペリエンス機能の多くに音声インターフェースを介してアクセスしたいというお客様からの要望が高まった場合でも、対応のために全面的な改修は必要はありません。音声インターフェースを動かす API をタッチ インターフェースの下にある API と接続すればよいのです。

適切なテクノロジー実現手段によって企業による API の高度な活用をサポート

API ファーストの戦略は、API をミドルウェアとしてではなく、デベロッパーに力を与え、パートナーシップ構築を可能にし、イノベーションを加速するソフトウェア製品として扱います。このことは、API が作成後に忘れ去られることの多い統合ファーストの運用とは大きく異なります。

API を持つことは方程式の一部にすぎません。企業が貴重なデジタル アセットを外部ユーザーと共有する場合は、API 管理ツールで以下を行う必要があります。

  • 認証や認可などのセキュリティ保護を適用する

  • 悪意のある攻撃からアセットを保護する

  • デジタル サービスをモニタリングして可用性と高パフォーマンスを確保する

  • アセットの使用状況を測定、追跡する

API ゲートウェイはビジネスが共有する API を保護、管理するにあたっての良い出発点です。ただし、より高度な機能を利用するには、フルライフサイクル API 管理プラットフォームが必要な場合があります。このプラットフォームは、基本的なゲートウェイ機能だけでなく、ライフサイクル管理ツール、セルフサービス ポータルで API プロダクトとして API を利用できるようにするメカニズム、より詳細なセキュリティ保護、収益化オプション、企業が API の利用状況を把握するために役立つ詳細な使用状況分析、そして API の不正利用防止と API オペレーションの豊富な機能も提供するものです。

適切なツールを導入することで、API で卓越したビジネス チャンスを開拓できます。これこそが、すべての企業が API ファーストを希望する理由です。


-Google Cloud デジタル エンゲージメント リード Chris Hood

-Google Cloud プロダクト管理ディレクター Bala Kasiviswanathan