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AI & 機械学習

Vertex AI Search and Conversation の一般提供を開始

2023年9月8日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 8 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

生成 AI がその計り知れない可能性を発揮するには、広くアクセス可能であり、さまざまなサービスに簡単に統合できる必要があります。そのため、Google はこのたび Vertex AI Search and Conversation の一般提供を開始し、生成検索やチャット アプリケーションを作成する複雑さを抽象化できるようにしています。これらのプロダクトにより、ML の専門知識がほとんどない開発者であっても、わずか数時間でインテリジェントなアプリを構築し、デプロイできるようになります。

Vertex AI Search and Conversation は、Generative AI App Builder 上のエンタープライズ検索と Generative AI App Builder 上の対話型 AI としてそれぞれ今年初めにプレビュー版が公開され、企業データを生成基盤モデルや対話型 AI、情報検索技術と組み合わせるためのシンプルなオーケストレーション レイヤを提供しています。

企業の開発者は、生成 AI アプリの構築に何か月もの時間を費やすことなく、データを素早く取り込み、カスタマイズを加え、数回クリックするだけで、顧客と対話し、指定された構造化および非構造化データソースと企業ウェブサイトの事実に基づいて質問に答えることができる検索エンジンや chatbot を構築できます。この機能により、生成アプリのプロトタイプを迅速に作成できるため、企業は食事の注文から銀行業務支援、カスタマー サービスに至るまで、さまざまなユースケースを追求できます。

一般提供の開始に加え、本日、新たに導入される機能についてもお伝えします。これらの新機能により、開発者はユーザーが自然言語を通じて重要な情報を見つけられるだけでなく、ユーザーに代わってアクションを実行できる、さらに魅力的なアプリを構築できるようになります。新機能は次のとおりです。

  • マルチターン検索は対話をやり直すことなくフォローアップの質問への回答をサポートします。会話と検索の要約により、検索結果やチャットの会話に簡潔な要約を提供します。また、開発者が人間に指示を与えるのと同じように、自然言語で特定のクエリに対するプロンプトと応答を事前にプログラムできるツールもあります。

  • Vertex AI Extensions はリアルタイムで情報を取得し、Google や Datastax、MongoDB、Redis などのサードパーティ アプリケーション全体でユーザーに代わって動作することができます。また、Vertex AI Data Connectors は、企業や Salesforce、Confluence、JIRA などのサードパーティ アプリケーションからデータを取り込み、生成アプリケーションを一般的に使用されているエンタープライズ システムに接続するのに役立ちます。

  • グラウンディングは、生成出力を企業データに根付かせることで、生成 AI 検索と会話型アプリケーションの信頼性を高めることができます。組織は、このデータを基盤モデルのトレーニング データで補うかどうかを柔軟に決めることができます。また、引用などの便利な機能を使用して、返される結果の品質に対するユーザーの信頼を高めることができます。

Vertex AI Search and Conversation の機能を詳しく見てみましょう。

Vertex AI を使用してパーソナライズされた魅力的な生成アプリを構築する

Vertex AI Search は、組織が基盤モデルを活用し Google 検索品質のマルチモーダル、マルチターン検索アプリケーションを構築することを可能にします。これには、企業データのみによる出力の根拠づけや企業データを使用した基盤モデルの初期トレーニングの補完を行う機能が含まれます。情報が適切なユーザーにのみ表示されるようにするエンタープライズ アクセス制御や、結果に対する信頼性を高め、結果をより有用なものにするための引用、関連性スコア、要約などの機能も間もなくサポートされる予定です。

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Vertex AI Search を使用すると、Google の生成検索エクスペリエンスと同様の、パーソナライズされた没入型の検索エクスペリエンスを顧客や従業員に提供できます。

より複雑なユースケースを持つ組織は、LLM エンベディングとベクトル検索を組み合わせることで、セマンティック検索、パーソナライズされたレコメンデーション、チャット、マルチモーダル検索など、幅広い生成 AI アプリを強化できます。ベクトル検索は、組織に使いやすいベクトル類似度検索ソリューションへのアクセスを提供します。このソリューションは、Google が Google 検索や YouTube などの主要なサービスを大規模に強化するために使用しているのと同じテクノロジーです。

Vertex AI Conversation は、音声とテキストの両方をサポートする基盤モデルを活用した、人間らしい自然な発話をする chatbot や voicebot の作成を容易にします。これを使用すると、開発者は数回クリックするだけで、ウェブサイトやドキュメントのコレクションに基づいて chatbot を構築できます。さらにカスタマイズが必要な場合、Vertex AI により開発者は決定論的なワークフローと生成出力の組み合わせが可能になり、ルールベースのプロセスと動的 AI を組み合わせて、ユーザーが AI エージェントに、たとえば予約や購入を行うプロンプトを出せるトランザクション機能を含んだ、魅力的でありながら信頼性の高いアプリを構築できます。組織は、ウェブサイト、ドキュメント、よくある質問、メール、エージェントの会話履歴からさまざまなデータを使用してチャットを調整でき、対話の要約、引用、その他のデータを生成して、AI アプリと人間のエージェント間の引き継ぎを容易にできます。

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Vertex AI Conversation のハンドブック機能(プレビュー版)を使用すると、人間のエージェントにタスクの処理方法を指示するのと同じように、自然言語を使用して、voicebot や chatbot にさせたい応答やトランザクションを定義できます。

Google の基盤モデルとユーザー フレンドリーなデベロッパー ツールの力を活用して、組織は次のことが可能になります。

  • 顧客と従業員向けに没入型でパーソナライズされたエクスペリエンスを構築し、これまで何時間もかかっていたタスクを素早い検索や会話による探索に変えます。コンテキストに沿った適切な情報の表示から、アクションの実行、画像の生成、引用の記録、おすすめの作成まで、アプリはユーザー入力に自然に応答することができ、同時に組織が声調、会話フロー、データアクセスなどを制御できるようにします。

  • データのチャンク化、エンベディングの生成、インデックスや会話型ディシジョン ツリーの管理の必要性を排除します。代わりに、開発者は、コーディングをほとんどまたはまったく行わずに、ML の経験がなくても、簡単なオーケストレーション インターフェースを活用してアプリを迅速に構築できます。

  • グラウンディング、アプリケーションの動作、およびデータの制御を維持するのに役立ちます。開発者は、出力を企業データに基づかせることで、出力の関連性を高め、幻覚を減らすことができます。また、アプリがコネクタ経由でアクセスできるデータや、アプリがユーザーに代わって実行できるアクションを制御することもできます。組織は、データの安全性を保つためのアクセス制御や、HIPAA、DRZ、CMEK といったさまざまなコンプライアンス標準のサポートを享受できます。データは企業独自の Google Cloud インスタンスに保存され、Google がこのデータにアクセスしたり、モデルのトレーニングに使用したりすることはありません。

生成 AI を使用した検索と会話のユースケースの改善は、組織が推進している最も広く適用可能な生成 AI プロジェクトの一つであり、Vertex AI Search and Conversation を使用することで、デプロイまでの時間と価値創出までの時間を大幅に短縮できます。アーリー アドプターはすでに成功を収めています。

  • Six Flags の最高デジタル責任者である Omar Omran 氏は、Google Cloud とのコラボレーションと Vertex AI Conversation の使用による変革の可能性を強調しました。「このパートナーシップは、当社の戦略的方向性における非常に大きな飛躍を意味し、Six Flags の技術力強化の新時代を切り開くものです。Google Cloud のテクノロジーを活用することで、私たちはパークの運営を強化するだけでなく、他に類を見ないパーソナライズされたゲスト エクスペリエンスの創出にも取り組んでいます。運営におけるアジリティと応答性のレベルを高め、ゲストへのサービス方法を再定義し、遊園地業界に新たなベンチマークを打ち立てていきます。」

  • インド最大の B2B ポータルの一つである TradeIndia.com のテクノロジー担当シニア バイス プレジデント Harsh Kumar Sarohi 氏は次のように述べています。「Google Cloud の Vertex AI Search を使用することで、検索の離脱率を 50% 低減し、既存ユーザーのエンゲージメントを 6% 向上させることができました。また、Vertex AI Search の分析機能を活用し、クエリなしの上位検索結果などの指標を使用して、現在のポートフォリオのギャップを把握しています。」

  • コンタクト センター ソリューション テクノロジーの大手プロバイダである C1 は、顧客と従業員をサポートするために Vertex AI Conversation を使用しています。同社のエージェント支援ボット、C1 Auto Pilot は、リアルタイムでの顧客対応の提案、クロスセルとアップセルの機会、感情分析、通話インサイトによる自動要約を提供することで、エージェントがカスタマー エクスペリエンスを向上させるのに役立ちます。C1 の CTO である Mark Langanki 氏は次のように述べています。「C1 Auto Pilot ソリューションの全体的な目標は、エージェントが顧客とより生産的で魅力的な会話を行うために必要な情報を提供することで、エージェントがメモ取りやリサーチなどの事務作業に費やさなければならない時間を削減し、エージェントがより優れたカスタマー エクスペリエンスを提供できるよう支援をすることです。エージェントに顧客固有の付加価値情報を提供することで、電話対応時間が短縮されるのを私たちは実際に見てきました。これからもエージェントのエクスペリエンスと顧客満足度の両方において全体的な改善が継続されることを期待しています。」

  • C1 の AI オートメーション シニア ディレクターである Dan Burgin 氏は、Vertex AI Conversation を使用した構築の際立っている点は、その時間の短さと容易さである、と言います。「Vertex AI Conversation を使用することで、クライアントやエンドユーザーのデータを保護しながら、いかに迅速に chatbot を構築しデプロイできるかに非常に感銘を受けました。また、現在当社は、イントラネット サイトで人事に関するよくある質問にタイムリーかつ安全に回答できる、生成 AI を活用した chatbot を自社の従業員向けにデプロイするための最終テスト段階に入っています。」

構築を開始する

検索と会話のユースケースは、組織が生成 AI テクノロジーの経験を素早く積み、そこから恩恵を得るための明確な機会を提供します。より多くのお客様が Vertex AI Search and Conversation を活用し、それぞれの顧客、従業員のエクスペリエンスが向上するのを楽しみにしています。詳細については、プロダクト ページをご覧ください。また、Next ’23 での Vertex AI Search および Conversation に関するセッションもご覧ください。

これらのプロダクトは、AI のニーズや専門知識のレベルを問わず、さまざまな組織にサービスを提供するという Google の目標の一側面にすぎません。お客様が ML エンジニアまたはデータ サイエンティストで、カスタマイズされたアプリケーションの構築を検討されている場合は、Model Garden、基盤モデル、チューニング オプションを備えた Vertex AI のアップデートおよび Colab Enterprise に関するニュースをご覧ください。


- ML、システム、クラウド AI 担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Amin Vahdat
- Cloud AI および業種別ソリューション担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Burak Gokturk

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