検索のスマート化: AI は情報の見つけ方をどう変えていくのか

Alex Rutter
Managing Director Artificial Intelligence, EMEA
AI の進化に伴い、さまざまな業界の企業において、ユーザーによる情報へのアクセスや操作方法について見直しが進められています
※この投稿は米国時間 2025 年 5 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Google Cloud Next のような大規模なイベントの中で、特に注目すべきトピックを 1 つだけ選ぶことは難しいものです。しかし、私自身と、私が話した多くのクライアントが共感したトレンドの一つは、アシスト検索への投資でした。Gemini 2.5 を活用することで、より広いコンテキスト ウィンドウをまとめることができるため、より良い結果を提供できます。Google Agentspace にも検索機能が導入されたため、従業員は Chrome の検索ボックスから直接、Agentspace の統合エンタープライズ検索、分析、合成機能にアクセスできるようになりました。これは、エージェントに検索のしやすさをもたらすもので、現在、最も有益な AI エンタープライズ アプリケーションの一つとなっています。
私が特に感銘を受けたのは、Google 検索ボックスが長年にわたって、世界中の情報を検索できる、親しみやすく、一見すると非常にシンプルなゲートウェイであったという点です。これは、Google 検索のユーザビリティや魅力の一部となっています。しかし現在では、AI が会話を通じてとても自然な方法で検索を支援してくれます。たくさんの単語を使って長い文で説明できるため、検索を絞り込んで目的のものを探しやすくなりました。さらに、マルチモーダルでもあります。つまり、Google に話しかけたり、画像をアップロードしたりして検索できるため、より多くのコンテキストを検索で指定でき、その結果としてより質の高い検索結果を得ることができます。
検索が進化していくにつれ、さまざまな業界の企業において、ユーザーによる情報へのアクセスや操作方法があらためて再考されています。このトレンドについてと、企業がアシスト検索をどのように活用できるかについて、詳しく見ていきましょう。
人と話すようにして検索する
AI を活用した検索の優れた点の一つは、より人間らしいやり取りを検索バーでできることです。振り返ってみると、私たちは皆、キーワード検索や少数のパラメータを使用していました。たとえば、「5 月のロンドンで着るジャケット」と入力していました。しかし、現在は、検索クエリに実際のコンテキストを提供する、言語学的に高度な文を使って検索できるようになりました。たとえば、「ロンドンで 4 月から 5 月にかけて着られるジャケットが欲しいです。夜でも寒くないように」と伝えることができます。実際、私たちは何かを探しているとき、人との会話でもこのように話します。
私にとって、検索クエリで最も重要なパラメータは「意図」です。これは通常、最もコンテキストが豊富な要素であり、ユーザーが求める回答に最も感情的に関連する要素でもあります。Google は 25 年にわたり、意図を理解するためにテクノロジーを活用してきました。それは、ユーザーが本当に必要としているものの核心に迫ることですが、どのように機能するのでしょうか。
構成要素: AI 検索が機能するのに必要なもの
AI を活用した検索の構成要素について考えると、3 つの要素が頭に浮かびます。1 つ目は自然言語です。これは、情報豊富で詳細なコンテキストを含む質問を使用して、人間が会話するのと同じように話しかけながらクエリを実行する機能です。堅苦しいキーワードをやめて、より流動的かつ人間的な情報の求め方へと移行することです。
2 つ目は、代替メディアを含められるようになったことです。つまり、音声や動画です。これにより、質の高い検索が可能になります。これらのメディアを使えば、私たちが見てきた世界や、関心のある特定の商品を生き生きと伝えられるかもしれません。検索クエリの一部として短い動画クリップや音声を使用できると想像してみてください。言葉だけでは不十分な場合でも、探しているものを新しい方法で見つけられるようになります。
最後の要素は、AI による概要です。これは、複数の情報の要約を作成して、理解しやすくする機能です。システムは、さまざまなソースで見つかった最適なコンテンツを統合し、できるだけシンプルに質問に答えることができます。リンクが見つかるだけでなく、直接的な回答や要約を取得できるため、時間と労力を節約でき、複雑な情報をより簡単に把握できるようになります。
当然のことながら、これらの機能は企業に大きなメリットをもたらします。
優位性を手に入れる: スマート検索をビジネスで活用する方法
AI は今後、当たり前のようにビジネス全体で活用されるようになります。組織が必要な人材の離職を食い止め、その能力を発揮させて顧客によりよいサービスを提供し、社内の効率を最大限に高められるかどうかは、特定の分野における AI の導入レベルによって決定づけられることになります。
たとえば、AI を活用した検索が最もよく見られる分野の一つは小売業界です。Google は、組織があらゆる検索クエリのコンテキストと意図を把握できるよう支援しています。これにより、顧客が検索する商品に関する画像や動画を簡単に追加できるようになります。これを AI のレコメンデーションと組み合わせて高品質な検索結果を提示できれば、コンバージョン率を高めることができます。
興味深いことに、多くの組織は AI を導入するにはデータ環境を完璧な状態にしなければならないと感じていますが、実際にはまったく逆です。多くの組織において、まずは AI を導入してみることで、進捗と効率の両面で大きな前進がみられ、抱えている大きなデータの課題に余裕を持って取り組むことができています。
今後の展望
業界が急速に進化しているため、未来を完全に予測することは難しいかもしれませんが、今後の方向性についてはいくつかの兆候が見えています。大規模言語モデルの能力、そしてそのコンテキスト ウィンドウの能力はますます拡大しています。そのため、検索に対して投げかけられる質問もますます増加しています。適切な情報を探すため、音声や動画など膨大な数のドキュメントを組み合わせるようになるでしょう。常に、適切なコンテキストを取得し、正確に意図を理解して、質問に対する適切な情報をできるだけ簡単に見つけることに重点が置かれていくでしょう。
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-AI 担当 EMEA マネージング ディレクター、Alex Rutter