「生成 AI は、あらゆる仕事との関わり方を大きく変えるでしょう」Accenture、エンタープライズ CTO 談

Google Cloud Japan Team
AI が次の産業革命になるかどうかはともかく、AI 活用の準備が整っている企業に対して多くの革命的なオプションを提示できることは明らかです。
※この投稿は米国時間 2024 年 2 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
100 年前に市場で最も人気があった仕事は、製造や電気関連の急成長産業でした。米国では農業が依然として最も盛んな分野であり、また、営業職への需要は常に高いものでした。
しかし、もし 1923 年当時に雇用主や労働者に対してナレッジ ワーカーについてどう思うか尋ねたとしたら、彼らはポカンとして困惑したことでしょう。
現在、ナレッジワーク(主に「情報の認知処理」を伴う仕事)は最も一般的な職業の一つとなっています(営業職の需要は高いままです)。この 100 年で多くのことが変わりました。そして、生成 AI の急成長により、再び多くのことが変わろうとしています。
Accenture でエンタープライズ アーキテクチャ部門グローバル IT 担当マネージング ディレクターを務める Merim Becirovic 氏は、Google Cloud との最近のインタビューで次のように述べています。「世界は変わります。産業革命とその影響について考えてみましょう。もしあなたが 100 年前にタイムトラベルして、誰かに『オフィスで座って仕事をするナレッジ ワーカーと呼ばれる人たちがいるんだ』と言ったとしたら、皆から頭がおかしいんじゃないかと思われるでしょう。そのような転換点が、昨今の生成 AI の現状だと私は思います。一般にはまだ理解が追いついていませんが、私たちがこれまで行ってきたことは大きく変わるでしょう。なぜなら、これまでのナレッジワークの多くは、機械ではできなかったが故に生まれたものだからです。」
Becirovic 氏のような人々は、コンピュータが仕事の本質を変えたように、生成 AI が私たちの働き方に進化を強いると考えています。データ入力から、プログラミングの方法、コンテンツの作成、カスタマー サービスなどに至るまで、コンピュータとの新しい形のインタラクションは、私たちの仕事への取り組み方を変えるでしょう。
「生成 AI は、人間が将来的にこのような仕事とどのように関わっていくかを大きく変えるでしょう」と Becirovic 氏は言います。「ナレッジ ワーカーのコンセプトは拡大され、まったく異なるものになるでしょう。AI は引き続き、あなたの質問に対する答えを提供するだけです。しかし、人間がクエリや機能を大きく異なる方法で構造化することで、実際にその結果を変え、強化し、より迅速に情報を取得し、さまざまなものを見つけられるようになります。これは、かなりすごいことだと思います。私はこれが次の産業革命になると確信しています。」
Google Cloud と Becirovic 氏との対談では、生成 AI の影響と可能性、クラウド コンピューティングの利点について話し合いました。会話の抄録をご覧ください。

エンタープライズ IT における生成 AI の課題と例
Accenture のお客様が生成 AI で解決しようとしている最大の課題について教えてください。
Merim Becirovic 氏: Accenture の規模と当社の存在を考慮すると、生成 AI は間違いなく、誰もが関心を示す大規模な市場変化となるでしょう。私たちは、エンタープライズ IT 組織として、こうしたサービスを実現する最前線に立っており、こうした機能を利用することで、どのようにして当社で働くすべての従業員の日常をより効率的にするかを考えています。
これは、今あるデータを新しいモデルに統合することで、従業員がより早く情報を入手し、より効果的に顧客業務を遂行できるように支援することを意味します。私たちはさまざまな側面において、世界中で多くのことを試験的に実施しています。開発者とどのように連携するか。実際にどのようにコードにアクセスするのか。AI を使用してどのようにコードを書くのか。自社のナレッジベースをどのように従業員に提供するのか。ユーザーは実際に Accenture のリソースをどのように検索するのか。このようなことの多くが現在進行中であり、それこそが私たちが初期段階の今、取り組んでいることです。
生成 AI が Accenture の従業員の日常生活にどのように役立つのか、実例を教えてください。
Becirovic 氏: 生成 AI が開発者に取って代わり、誰でも開発者になれるという話を聞いたことがあります。私はまだそうは思っていません。私は、経験豊富な開発者がより円滑に開発できるようになると思っています。なぜなら、これらのツールや機能によって、これまでよりもはるかに迅速に物事にアクセスできるようになるからです。あるサービスに接続する場合や、API を呼び出す場合、その方法を調べる必要があるかもしれません。一方、AI を使用すれば、何をしようとしているのかを入力するだけで、そのためのコードが表示されます。経験豊富な開発者、つまりプロの開発者は、タスク遂行の能力とスピードが高まり、これまで以上に速く、はるかに生産的になり得るでしょう。
では、人間が AI に取って代わられることはないのでしょうか。
Becirovic 氏: 人間が AI に取って代わられることはありません。人間は AI によって大幅に強化されるでしょう。
Accenture は、他の企業による生成 AI の導入をどのように支援していますか。
Becirovic 氏: 私がこのエンタープライズ IT 組織の一員として大変誇りを持っているのは、私たち自身を最初の顧客(カスタマーゼロ)と考えていることです。すべてのお客様のために、私たちはまず自社でこれを実現しようとしています。サービスを試して、失敗して、再定義して、考慮したいと思っています。そうすることで、市場開拓の観点から他のお客様に意見を伝えることができ、私たちのストーリーや経験を共有できるようになります。
生成 AI におけるクラウドの重要性
クラウドへの移行を検討している人にとって、生成 AI の前提条件は何だと思いますか。
Becirovic 氏: 私個人の意見では、多くの企業にとって生成 AI への取り組みにおける前提条件は、クラウドへの移行を完了することです。多くの企業は、クラウドを実際に活用する方法を導き出す過程にあり、依然としてハイブリッド クラウドにとどまっています。私たちは現在、業務を完全にクラウドで行っています。Accenture はクラウドによって支えられています。クラウドへの移行を完了することは非常に重要だと思います。私がそう言う理由は、クラウドの活用によって、新たに登場する、あらゆるもの、あらゆる機能への扉が開かれるからです。生成 AI の機能も、もちろんすべてクラウド上にあります。データセンターにとどまっているわけではありません。これらのサービスはすべて、クラウドでの利用を念頭に置いてクラウド上に構築されています。したがって、組織がすでにクラウド化していることは、非常に大きな利点となるでしょう。

クラウドへの移行が遅れた場合、どのような影響がありますか。
Becirovic 氏: クラウドへの移行が遅れた場合、このような機能がクラウドで利用できるようになっている現在では、クラウドを活用する企業がより迅速に物事を進め、競争上の優位性を得ることになるでしょう。クラウドでスケーリング、PoC、構築、プロトタイプ作成が可能です。クラウドを活用してこなかった企業は、このような経験がまだありません。したがって、クラウド環境をどのようにセットアップするかという必要以上のハードルが立ちはだかります。さらに、生成 AI をどのように活用すればよいのか、ネットワークをどのように接続すればよいのか、といった多くの作業が、企業の迅速な動きを妨げます。クラウド化は、AI や生成 AI の機能を使用するためのアクセルペダルです。私たちはクラウドへの移行を完了しているため、この世界の機能を簡単に取り入れることができます。
生成 AI に関しては、これが始まりです。進歩は速いです。機能やユースケースが急速に進化して、より効果的に会社を運営する方法を提示するようになってきています。人間とのインタラクションという観点から言えば、こうしたユースケースはまだ模索中だという印象です。しかし、これから登場する新しいモデルは、私たちに別の視点を与えてくれると思います。最終的にどのような状態になるかはわかりませんが、現在とは大きく異なるものになることは確かです。非常に楽しみな時代が訪れようとしています。
冒頭の画像は、Google Cloud で Midjourney を使用して、「AI のおかげで、さまざまな職種の労働者がより効率的に働けるようになったことを 1 つの画で表す、雑誌風のフラットなイラスト」というプロンプトで作成しました。
-Google Cloud、コントリビューティング プロデューサー Sabrina Cherny