TVer

TVer: 日本最大級の動画配信プラットフォームを支える広告基盤を Google Cloud で内製化

Google Cloud 導入の効果
  • Cloud Bigtable と Memorystore を活用し、1 日あたり数億件の広告リクエストをミリ秒単位の低遅延で処理

  • Google Kubernetes Engine により柔軟なコンピュート キャパシティを確保し、秒間数十万件のリクエストに対応

  • 広告配信基盤を BigQuery と同じ環境に統合することで、クラウド間の膨大なアウトバウンド データ転送コストを削減

  • Google Cloud Consulting と連携し、稼働中の広告配信システムをダウンタイムなしで移行完了

TVer は Google Cloud 上で広告サーバーを内製化することにより、日本最大級の配信プラットフォームを拡大。システム移行時のダウンタイムなしで、月間 6 億 5,000 万回再生を誇るサービス基盤を実現しました。

民放公式テレビ配信サービス「TVer」は、2025 年に10 周年を迎え 、月間再生 6.5 億回、累計 9,000 万 DL 超の巨大プラットフォームへ成長しました 。同社はこの成長を支えるべく広告サーバーの内製化を決断 。GKE や Bigtable を活用し 、1 日あたり億単位のリクエストを低遅延で処理する新基盤を構築しました 。株式会社TVer(以下、TVer)大野 祐輔 氏と髙品純大氏に、内製化の舞台裏と Google Cloud 選定理由を伺いました。

事業成長を加速させるため、ビジネスの心臓部である広告サーバーの内製化を決断

TVer の広告事業は、サービスの利用者数増加に伴い、非常に大きな規模へと拡大しています。これまで広告配信は外部の配信プラットフォームを利用してきましたが、さらなる機能開発のスピードアップと、配信技術に関する知見を社内に蓄積するため、独自の広告サーバーを構築するフェーズに移行しました。内製化を決断した理由について広告プロダクト本部長の大野氏は、こう説明します。

「TVer にとって広告配信システムは、まさにビジネスの心臓部とも言える重要な事業基盤です。これを内製化することで、新しい広告フォーマット、新機能への挑戦やデリバリー速度の改善といった一連の作業を、従来よりも高速に回せると考えました」

大野 祐輔 氏
大野 祐輔 氏

今回のプロジェクトにおける最優先事項は、ビジネスクリティカルなシステムに相応しい「高い可用性」「低レイテンシなパフォーマンス」「スケーラビリティ」の 3 点でした。1 日に数億件という膨大な広告リクエストを遅滞なく処理し、トラフィックが急増しても事業成長を阻害しない強固なインフラが求められたのです。

TVer が Google Cloud を選んだ最大の理由について、システム開発を担当しているプロダクト開発部の髙品氏は、「データの取り回しの良さとコスト効率」が最も重要だったと説明します。

「内製化以前から、広告ログの分析・集計基盤は BigQuery で構築していました。もし広告配信基盤を他のクラウドに構築した場合、毎日発生する億単位の広告ログをクラウド間で転送する必要があり、膨大なアウトバウンド コストが発生します。また、事業価値の高いデータを転送時のトラブルで失うリスクも避けたいと考えました。BigQuery という強力なデータ基盤と同じ場所に配信サーバーを置くことが、コストとリスクの両面で最適だったのです。また、開発言語として Go を採用したいという現場のニーズと、Google Cloud との親和性の高さも、エンジニアチームにとって大きな後押しとなりました。」

髙品 純大 氏
髙品 純大 氏
BigQuery という強力なデータ基盤と同じ場所に配信サーバーを置くことが、コストとリスクの両面で最適だったのです。また、開発言語として Go を採用したいという現場のニーズと、Google Cloud との親和性の高さも、エンジニアチームにとって大きな後押しとなりました。

髙品 純大 氏

株式会社TVer
広告プロダクト本部 プロダクト開発部

GKE と、Memorystore、Bigtable の適材適所な併用。技術的難題を突破した PSO の支援

構築された新システムは、GKE Standard をコンピューティング基盤とし、データベースには要件に応じて Memorystore for Redis Cluster(以下 MRC)と Bigtable を使い分ける構成を採用しました。

Google Cloud アーキテクチャ

髙品氏は、データベースの選定理由について次のように解説します。

「広告配信 API に求められるミリ秒単位のレイテンシを実現するため、リレーショナル データベースではなく NoSQL を選択しました。データの整合性が重要で、超高速なレスポンスが必要なものは MRC、ストレージの容量とコスト効率を重視するものは Bigtable と、戦略的に併用しています。GKE Standard を採用したのも、秒間数十万リクエストが集中するリアルタイム配信に耐えうるキャパシティを事前に確保できる柔軟性を評価したからです。」

この複雑なアーキテクチャの実装と、本番環境の広告配信を止めずに新基盤へ移行するという難易度の高いミッションを支えたのが、Google Cloud のプロフェッショナル サービス(PSO)でした。PSO の役割の重要性を大野氏はこう振り返ります。

「PSO の支援がなければ、予定通りのローンチは不可能だったでしょう。インフラの設定にとどまらず、アプリケーションのアルゴリズムやデータ構造にまで深く踏み込んだレビューをいただいたことが、厳しい負荷試験をクリアする決定打となりました。コードレベルの改善案を迅速に提示いただけるなど、その専門性の高さとスピード感に非常に感謝しています。」

PSO の支援がなければ、予定通りのローンチは不可能だったでしょう。インフラの設定にとどまらず、アプリケーションのアルゴリズムやデータ構造にまで深く踏み込んだレビューをいただいたことが、厳しい負荷試験をクリアする決定打となりました。

大野 祐輔 氏

株式会社TVer
広告プロダクト本部 本部長

安定と革新を両立した配信基盤を武器に、さらなる視聴体験の向上を目指す

新サーバーへの移行によって、TVer の広告事業は「自分たちでコントロールできる」自由を手に入れました。現在は、システムの信頼性やパフォーマンスを損なうことがないように細心の注意を払って機能をリリースしつつも、守りに徹するだけではなく、 Google Cloud のアップデートを積極的に検証しています。

「最新世代マシンへの刷新に加え、Bigtable の継続的マテリアライズドビューによる集計効率化、さらには Memorystore for Valkey への移行など、最新技術を積極的に取り入れ、より強固な配信基盤を目指していきたいと考えています。」と髙品氏は今後の展望を明かします。

最後に大野氏は、このプロジェクトを振り返り、次のように締めくくりました。

「今回のプロジェクトを通じて、Google のサービスを支える信頼性とスケーラビリティを備えた技術を組織の資産にできたことは大きな収穫です。パブリッククラウドの選択肢が増え、相対化できるようになったことで、今後の大規模プロダクト開発に活かせる自信がつきました。TVer 広告は、これからもテクノロジーの力で、ユーザーに素晴らしい視聴体験を提供し続けていきます。そしてこのような最新でエキサイティングな業務を一緒に取り組める仲間も大募集中です。」

(事例制作: 2026 年 3 月)

インタビュイー (写真左から)
インタビュイー (写真左から)
・広告プロダクト本部 本部長 大野 祐輔 氏
・広告プロダクト本部 プロダクト開発部 髙品 純大 氏

株式会社TVer

2006 年に広告代理店および在京民放キー局の共同出資により、株式会社プレゼントキャストとして設立。2015 年に民放公式テレビ配信サービス「TVer(ティーバー)」を開始し、場所や時間に縛られない「見逃し配信」という新たな視聴習慣を国内に定着させた。2020 年の社名変更を経て、現在は在京・在阪の民放 10 社および広告代理店が参画する国内最大級の映像配信プラットフォームへと成長を遂げている。サービス開始 10 周年を迎える 2025 年には、累計アプリダウンロード数 9,000 万、月間動画再生数 6.5 億回を突破。現在は「テレビを開放して、もっとワクワクする未来を TVerと新しい世界を、一緒に。」をミッションに掲げ、リアルタイム配信やコネクテッド TV 対応を強化し、放送と通信を融合させた次世代のテレビ体験の創出を目指している。

業種: メディア、エンターテイメント

地域: 日本

利用しているサービス: GKE Standard, Bigtable, Memorystore for Redis Cluster, BigQuery, Cloud Logging, Google Cloud Consulting (PSO)

Google Cloud
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