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通信

大手モバイル通信事業者と提携して API ベースの電話番号の確認を実現

2025年3月12日
Christiaan Brand

Group Product Manager, Security & Identity

Micah Baker

Senior Product Manager, Firebase

※この投稿は米国時間 2025 年 2 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

通信サービス プロバイダ(CSP)がネットワークを収益化する際に大きな課題となるのは、デベロッパー コミュニティを効果的に巻き込むことです。これまでは API が複雑で標準化されておらず、さらにデベロッパーにとって使いやすいリソースが不足していたため、重要なネットワーク機能が十分に活用されていませんでした。そのため、CSP は自社のインフラストラクチャの可能性を最大限に引き出せずにいました。

しかし、Google のモバイル / ウェブ アプリケーション開発プラットフォームである Firebase などのプラットフォームを利用し、Open Gateway イニシアチブ(OGI)などのイニシアチブを採用すれば、標準化された API を使って革新的なアプリケーションを構築することに意欲的なデベロッパーの膨大な人材プールにアクセスできるようになります。

そこで今回ご紹介するのは、Firebase の新しい電話番号の確認サービスです。このサービスにより、300 万人以上の Firebase デベロッパーが、電話番号の取得や確認といった重要なネットワーク CSP API にアクセスできるようになります。また、Google は Deutsche Telekom、Orange、Telefónica、T-Mobile、Telenor、Verizon、Vodafone などと提携し、デベロッパーとエンドユーザーのエクスペリエンスの向上と、不正行為の軽減によるセキュリティの強化に取り組んでいます。この取り組みを通して、CSP とデベロッパーの双方に新たな収益機会を提供しています。

こうした取り組みの基盤となっているのは、OGI のビジョンです。OGI は、ネットワーク サービスを公開するグローバルで標準化された API フレームワークを通じて、デベロッパーが革新的なアプリケーションとサービスを構築できるようにするというビジョンを掲げています。Google Cloud は、この変革の一翼を担えることを誇りに思うとともに、この変革がもたらす未来に期待しています。

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従来の認証方法が抱える課題

モバイルアプリやウェブアプリのデベロッパーは、ユーザーデータを保護し、収益化を可能にして、信頼を育めるような、安全でパーソナライズされた機能的なアプリを構築する必要があります。これを実現するうえで、ユーザー認証は不可欠な要素です。しかし、SMS のワンタイム パスワード(OTP)などの従来の方法では、配信の遅延、傍受のリスク、信頼性の低い携帯電話サービスなどの制限により、ユーザーに不便が生じることがよくあります。これはユーザーの不満、登録の放棄、セキュリティ上の脆弱性につながります。さらに、不正な行為者が SMS チャネルを悪用して不正行為を行うケースも増えています。たとえば、利益を得るためにトラフィックを人為的に増大させる行為が発生しています。デベロッパーと CSP は、より安全で信頼性の高い、ユーザー フレンドリーな検証方法を必要としています。

OGI: 安全な認証のための標準化されたソリューション

OGI は GSMA や世界中の CSP の支援を受け、より協力的で革新的な通信エコシステムの土台をすでに築いています。現在、このイニシアチブでは、CSP が API を介してネットワーク機能を公開するための標準化されたフレームワークを提供しています。そのため、デベロッパーは、ユーザーが利用しているモバイル通信事業者を問わず、ユーザーの安全な本人確認といったコア ネットワーク機能に、一貫性のある予測可能な方法でアクセスできます。Google は、Firebase のデベロッパー エコシステムをより広範な OGI に接続することで、長年の課題(複雑な API、同意モデル、断片化された請求エクスペリエンスなど)を解消できるよう支援しています。

ユーザー、デベロッパー、CSP のいずれにもメリットを提供

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Firebase の認証に対する標準化されたアプローチには、次のような多くのメリットがあります。

  • セキュリティの強化: API を使って CSP でユーザーの本人確認を直接行うことで、不正行為や不正アクセスのリスクが大幅に減ります。

  • プライバシーの強化: オペレーティング システムで同意エクスペリエンスが管理されるため、地域の要件に沿った直感的で透明性の高いコントロールが可能です。

  • ユーザー エクスペリエンスの向上: Firebase によって確認エクスペリエンスがスムーズになり、SMS のワンタイム パスワード(OTP)などの従来の方法による煩わしさを最小限に抑えることができます。

  • アクセシビリティの向上: Firebase は Wi-Fi でもモバイル ネットワークでも機能するため、モバイル接続が不安定な地域でも信頼性の高い認証が可能です。

  • 開発の簡素化: デベロッパーは、単一の標準化された API フレームワークを通じて CSP のグローバル ネットワークにアクセスできるため、開発にかかる時間と複雑さが軽減されます。

  • CSP の新たな収益源: Firebase は、CSP がネットワーク機能を収益化し、デジタル エコシステムのキープレーヤーとなれるよう支援します。

  • 請求の簡素化: 請求は Google Cloud を通じて一元管理され、CSP は Google から支払いを受けます。

  • 数百万人のデベロッパーへのアクセス: Google が 300 万人以上のデベロッパーと築いている関係を活用することで、CSP はビジネスを迅速に拡大できます。

「サイバー脅威が増え続けるなか、ユーザーの身元の安全かつ信頼性の高い証拠を提供してくれるデジタル ID API は、安全なオンライン取引の未来を担っています。Google とのパートナーシップにより、当社はお客様に次世代の認証サービスを提供できるようになり、現在だけでなく将来にわたって比類のないサイバー セキュリティを提供するための取り組み全般を強化できます。」 - Deutsche Telekom、音声およびモバイル サービス担当バイス プレジデント、Nicholas Nikrouyan 氏

「プライバシーとセキュリティは、Telefónica のデジタル サービス開発における重要な要素です。Google との提携により、Cloud Firebase とシームレスに統合された Open Gateway の API を通じて、より安全でユーザー フレンドリーな電話番号の確認ソリューションのリリースを加速できることを嬉しく思います。」- Telefónica、最高デジタル責任者、Chema Alonso 氏

「Telenor Linx では、安全なデジタル エクスペリエンスを実現する鍵はシンプルさにあると考えています。当社の核となる接続性を基盤としたユーザー フレンドリーな本人確認ソリューションと認証ソリューションを提供することで、モバイル通信事業者がこれからもお客様の ID の保護において中心的な役割を果たせるようにします。この業界にとって、今後グローバルな開発コミュニティと連携してオープン標準を推進し、不正行為の機会を削減していくことは、自然な流れです。Google と協力し、企業と消費者の双方がサービスに安全かつシームレスにアクセスできるよう取り組んでいきます。」- Telenor Linx、CEO、Stig Waagbø 氏

「Vodafone は Google や他のモバイル通信事業者と協力して、スムーズかつ暗号的に安全な認証を実現しています。こうした取り組みが、デベロッパーを支援し、デジタル サービスの次の波を刺激する鍵になると考えています。」- Vodafone、ネットワーク API 担当ディレクター、Johanna Wood 氏

プライバシーを最優先

Google Cloud と Open Gateway イニシアチブはどちらも、ユーザーのプライバシーの保護に努めていますOGI API の設計には強固なプライバシー保護が適用されているため、ユーザーデータは安全性の高い方法で責任をもって処理されます。プライバシーに関する確立されたベスト プラクティスに沿って、ユーザーが自分のデータの管理を維持し、データ共有に対して明示的に同意します。Firebase は、ユーザーが活動している市場に関係なく、シンプルで一貫性のある統合型のユーザー エクスペリエンスを提供することで、これらの約束をさらに強固にしていきます。

自社のネットワークで Firebase の電話番号の確認を提供したいとお考えの CSP の方は、こちらからご登録ください。2025 年 3 月 3 日~6 日にバルセロナで開催される Mobile World Congress(MWC)で、Google Cloud はホール 2 のブース 2H40 に出展いたします。ぜひお立ち寄りください。

-セキュリティと ID 担当グループ プロダクト マネージャー、Christiaan Brand
-Firebase、シニア プロダクト マネージャー、Micah Baker

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