Google Cloud とともに 24/7 カーボンフリー電力の実現を目指す Iron Mountain
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 11 月 8 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年に Google は、2030 年までに全世界で 24/7 カーボンフリー電力(CFE)を基盤に事業を運営するという、Google 史上で最も大胆なクリーン エネルギー目標を発表しました。これは具体的には、データセンターやオフィスといった世界中の拠点からのあらゆる電力需要を、事業展開するすべての地域において毎日、毎時間、カーボンフリー エネルギー供給でまかなうことを目指すというものです。
このたび、Google の CFE インサイト ソリューションの最初のフェーズを Google Cloud Marketplace を通して提供することとなりました。この FlexiDAO の CFE Suite をお客様独自の 24/7 の取り組みの第一歩としてぜひご利用ください。
これまでにこのような目標を達成した企業はなく、達成を目指す取り組みの過程で多くの重要な疑問や課題が生じました。現在のカーボンフリー エネルギーの割合はどのようにすれば測定できるか、特に、データを容易に入手できない地域ではどうすればよいか。脱炭素化を促進するために、エネルギー ポートフォリオをどのように最適化するか。最適化のためにどのような種類のクリーン エネルギー取引を実現する必要があるか。また、そうした種類の取引は、事業運営を行っている市場で利用可能か。
24/7 カーボンフリー電力の目標を定めた後、Google は大きな進歩を遂げているとともに、達成までのロードマップの策定においても多くのことを学んでいます。それでも、世界中の電力網の脱炭素化には、Google だけではなく他の多くの企業が 24/7 カーボンフリーで事業を行うことが必要です。今後、より多くの企業が賛同し独自の 24/7 目標を設定するとき、Google Cloud Marketplace を通じた CFE Suite の提供は、24/7 カーボンフリーの取り組みを始める企業に Google が学び得たことを共有する手段となるでしょう。
Iron Mountain と 24/7 カーボンフリー インサイト提供の始まり
2021 年、革新的なデータ ストレージ、データセンター インフラストラクチャ、アセット ライフサイクル管理、情報管理サービスにおけるグローバル リーダーである Iron Mountain は、「2040 年までに 24 時間 365 日 100% 再生可能エネルギーでまかなうこと」を目指すと発表しました。しかし、Iron Mountain はこの目標に向かって進み始めたとき、Google が 24/7 カーボンフリー電力戦略を立てて導入したときと同じ疑問の多くに直面しました。
Iron Mountain から支援の要請があったことから、Google は同社とともにカーボンフリー インサイト ソリューションの開発を開始しました。そして、企業が各自の 24/7 の目標達成を目指し、変化し続ける規制に応じて将来を見据えたエネルギー運用を実現していく際の手引きとなるように、Google が得た学びや分析情報を活用して、効率化されたエンドツーエンドのプロセスを作成しました。
このソリューションでは、地域と時間ごとに過去とリアルタイムのデータを利用できるため、お客様は既存の CFE スコア(特定地域の電力網の消費電力のうち CFE でまかなわれている 1 時間ごとの割合)とスコープ 2 の温室効果ガス排出量のベースラインを確立できます。この情報により、最適化されたエネルギー ポートフォリオのエネルギー調達費用を予測できるようになり、カーボンフリー エネルギー取引の計画と実施につなげることができます。

ソリューションの仕組みと進むべき方向
このソリューションには次のような 3 つのフェーズがあります。
- ベースラインの確立: Google は、Google Cloud Ready Sustainability パートナーである FlexiDAO と連携して、1 時間ごとの電力生産量と消費量のデータを収集して BigQuery に取り込み、お客様の現在の 24/7 CFE スコアのベースラインを把握します。分析には、RE100 やスコープ 2 の温室効果ガス排出量といったパフォーマンス指標に対する調達シナリオのモデリングと評価が含まれます。これにより Iron Mountain と同じように、お客様は温室効果ガス排出量を測定、追跡して、ギャップや機会が存在する場所を把握できるようになります。
- 最適化モデル: 次にデータは、もう一つの Google Cloud Ready Sustainability パートナーである LevelTen Energy に送信され、ここでは同社の自動分析プラットフォームを使用した 24 時間 365 日の経済分析とポートフォリオ最適化モデルが実行されます。このプラットフォームは Google Cloud テクノロジーが活用したもので、4,500 件を超える電力購入契約の料金設定に基づいています。LevelTen の Procurement Roadmap Report(調達ロードマップ レポート)には、任意の割合目標(最大 100%)のさまざまな CFE シナリオを実現するための再生利用可能エネルギー容量の最適な組み合わせが示され、今後の潜在的プロジェクトによる環境や財務への影響が明らかにされます。
- エネルギー データ クラウド: この分析結果は BigQuery に戻され、お客様はそれを広範なビジネス機能に組み込むことができます。FlexiDAO のインベントリ モニタリング サービスは、効率化された ESG レポート作成、クリーン エネルギー調達、エネルギー ポートフォリオ管理を実現します。
Iron Mountain はこのソリューションを同社の英国データセンターの分析に利用し、風力、太陽光、蓄電池で合計約 100 MW を調達することによって CFE スコアを 90% にまで上げられることを確認しました。Iron Mountain は、事業運営を行っている他の地域も評価し、今後のクリーン エネルギー購入機会を探し、数年にわたり CFE 利用の進行状況のモニタリングを続けていく予定です。
Google は、カーボンフリー インサイト スイートを Google Cloud のすべてのお客様に提供することで、24/7 カーボンフリーでの事業運営と電力網の脱炭素化の加速という志を同じくする企業を、より多くサポートしていきたいと考えています。
-データおよびソフトウェア気候変動ソリューション リード Savannah Goodman
-サステナビリティ カスタマー エンジニア Charlotte Hutchinson