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サステナビリティ

クリーン エネルギーの購入をよりスマートに

2023年9月28日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

地球の温暖化を 1.5℃ 未満に抑えるためには、電力網におけるクリーン エネルギーの利用を促進させることが急務です。また、24/7 カーボンフリー電力(CFE)の目標を設定する組織が増えるにつれ、クリーン エネルギー取引において幅広い購入者と販売者に対応する必要があります。

今年になってから、Google は LevelTen と共同開発した新しいアプローチを導入し、クリーン エネルギーの電力購入契約(PPA)の手配と締結にかかるタイムラインを約 80% 短縮しました。以下に、このアプローチの詳細とその仕組みについて説明するとともに、新たな基準になると思われるものの開発プロセスの舞台裏を紹介します。

効果の高いクリーン エネルギー取引のための 4 つの要素

Google と LevelTen は共同で、クリーン エネルギー取引がどのように行われるかを再考し、昨今の市場動向により適合するプロセスの開発に着手しました。Google のエネルギー調達の専門知識と、LevelTen が提供する取引の自動化機能を融合させた結果、容易性透明性信頼性効率性を意識したエンドツーエンドのプロセスが完成しました。

  • 容易性: PPA の手配と締結は、購入者と販売者の双方にとって容易であるべきです。購入業務に関する両社の豊富な実務経験に加えて、チームメンバーの多くが、クリーン エネルギーの開発と販売においてキャリアを積んでおり、購入者と販売者の双方が使いたくなるようなプラットフォームを作ることが重要であることを認識していました。
  • 透明性: 従来の提案依頼書(RFP)では、共有される詳細情報が限られていたため、情報の不均衡が生じ、結果的に交渉時間が長くなる原因となっていました。この新しいプロセスでは、やり取りする頻度が軽減され、双方がより良い情報をより早い段階で共有することで、より早く答えを導き出すことができます。
  • 信頼性: ほぼすべての RFP タイムラインが予定どおりには進まず、何か月もずれることもあります。販売者が RFP の提出期限を守ったとしても、通常は、購入者側で社内手続きのために意思決定が遅れます。これは誰にとっても生産的なことではないため、共有したタイムラインを双方がコミットして厳守することが重要な改善点となります。

効率性: プロジェクトの選定に何か月も費やした後、契約の確認にさらに数か月を費やすことがあります。過去に同じ販売者と何度も取引したことがあったとしても、すべての PPA において同じ条件について何度もやり取りする必要があります。その多くは、業界標準として現在定着しているものです。しかし、取引のリスクや経済性に関する重要な条件は、実際にはほんのわずかです。新しいプロセスでは、購入者と販売者が、プロジェクトごとに異なる条件を交渉できる余地を残しつつ、それ以外の条件を標準化します。同時に、クリックスルーの UI を介して取引を自動化することで、メールによるスプレッドシートや校正のやり取りを排除します。

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インテリジェント PPA の構造

新しいプロセスの中心となるのは、PPA そのものです。Google は、全世界で合計約 10 ギガワットに及ぶ 80 以上の契約を独自に分析し、一般的な交渉条件に関する LevelTen のインサイトとこの学習結果を組み合わせました。そして、販売者と、私たちのような購入者の双方における各条件の重要性を評価しました。

その後、LevelTen と協力して標準的な PPA 条件の見直しと編集を行い、それぞれのリスクの重要度を評価したうえで、双方が受け入れられるバランスの取れた条件を算出しました。また、「販売者が選択する」コンセプトと組み合わせることで、販売者が商取引の主要な条件について契約をカスタマイズできるようにし、販売者独自のニーズに基づいてサービスの提供価格を設定できるようにしました。

PPA が購入者と販売者の双方の意思を表明するものであることを確認するために、私たちは徹底的に自分自身をチェックしました。北米とヨーロッパのさまざまな販売者グループを招いたフォーマルなフィードバック セッションにおいて、LevelTen と共同でこのアプローチと PPA を紹介したところ、販売者から書面によるフィードバックが寄せられたので、アプローチのリリース前にそれらを反映しました。

このようなフィードバック ループの結果、PPA が改良されるにつれ、最終契約に向けての変更が徐々に少なくなることを期待しています。今後も、販売者との 1 対 1 の電話や対面でのミーティングを継続し、プロセスと PPA 契約の両方を改良し、リスクバランスを保ちながら、進化する市場に合わせたものにしていきます。

より効率的なクリーン エネルギーの購入を、今すぐ

クリーン エネルギーを売買するエコシステムを進化させるという私たちのビジョンは、着手してからまだ日が浅いものの、すでに具体化しつつあります。あらゆる規模の事業者からの関心が高まっており、この新しいプロセスを使用した初期の RFP と比較して、最新の RFP には約 8 倍のオファーが寄せられました。さらに、販売者には予備選考と最終選考の両方を予定どおり設け、新規契約はこれまで以上に迅速な締結が可能になりました。

購入者と大手デベロッパーは、すでにそのメリットを実感しています。透明性と信頼性が向上したことで、プロジェクトに資本を投入する際に必要な保証が得られ、販売者は早期に費用を確定できるようになっています。また、効率性が向上したことで、販売者は PPA 交渉に費やす時間を削減でき、将来のクリーン エネルギー プロジェクトに優先して時間を割くことができています。そしてこのたび、LevelTen は、北米およびヨーロッパのクリーン エネルギー購入者に対して、独自にカスタマイズした PPA の作成を可能にするアプローチである、LevelTen Energy's Accelerated Process™(LEAP)の提供を開始しました。

EDP Renewables のヨーロッパおよび中南米担当 COO である Duarte Bello 氏は、次のように述べています。「LEAP による PPA の確定は、従来の PPA 手配よりも格段に迅速でした。現在の市場の不確実性を軽減し、RFP の段階から PPA 署名までの準備を数週間で整えられることは、当社にとって大きなメリットでした。より多くのプロジェクトに対してより短時間で PPA を確定できるようになったことで、クリーン エネルギー プロジェクトのポートフォリオをより迅速に構築できるようになりました。」

新しいプロセスは、契約オプションの標準化に向けた重要な一歩です。Google と LevelTen は共同で、クリーン エネルギー取引を合理化し、よりアクセスしやすくすることで、あらゆる規模の購入者と販売者のさらなる参加を促していきます。電力網の脱炭素化を加速させるうえで、すでに一刻の猶予も許されないのです。

-データセンター エネルギー部門グローバル責任者 Amanda Peterson Corio

-データセンター エネルギー部門シニアリード Donna Calderon

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