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スタートアップ & SMB

AI スタートアップを立ち上げたい方のための、3 人のトップ AI スタートアップ創業者が語る 4 つの秘訣

2023年6月23日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

AI は昨今の複雑化したビジネス課題のいくつかを解決できる可能性を秘めています。これを実現するために、多くのスタートアップが AI 技術を実用的で、本番環境に対応したビジネス ソリューションに変換しようと取り組んでいます。今年の Google Cloud Startup Summit では、3 人の AI スタートアップ創業者をパネリストに迎える機会に恵まれ、テクノロジーとビジネス変革の中心で企業を立ち上げる際の準備、継続、成功について、知見に満ちた教訓を語っていただきました。

学んだ教訓: AI スタートアップ創業者からの重要な知見

Jasper の CEO Dave Rogenmoser 氏、Snorkel AI の共同創業者 Paroma Varma 氏、Glean の CEO で共同創業者である Arvind Jain 氏をパネルにお招きしました。3 人とも企業を立ち上げる過程を経験されており、それを裏付ける苦労の末に得た知見をお持ちです。

AI がビジネスを革新する触媒として、その潜在能力を加速度的に発揮していることは、すでに非常に明確になっています。この 3 人の AI ビジネスのパイオニアたちとの対談では、「日進月歩の環境の中で、生き残り、成長できるスタートアップを立ち上げるには、何が必要か?」という 1 つの包括的な問いに何度も立ち返りました。対談を終えるまでに、AI スタートアップの創業者たちは、4 つの重要な知見に言及していました。

1. 顧客に寄り添い続けることで、地に足をつける

現代の IT イノベーションの基準から見ても、AI 技術は急速に進化しています。今回の対談に登場したスタートアップ創業者のうち 2 人は、AI スタートアップは、最新の言語モデルやアルゴリズムを追い求めるのではなく、顧客の問題を解決する能力に焦点を当てることが重要であると強調しました。たとえば、Snorkel AI では、AI ソリューションを顧客の特定のニーズに合わせて調整することで成功した例として、同社が AI データセットに焦点を当てたことを Varma 氏は指摘しました。「長い目で見て、弊社は常に迅速な対応をし、お客様に寄り添い、真の価値に注目し続けることを大切にしています。テクノロジーは進化し続けますが、企業やユースケースを本当に差別化するのはデータであり、データこそが AI 開発の鍵であり続けると信じています」と同氏は述べています。

Rogenmoser 氏もまた、重要な差別化のポイントとして Jasper の顧客中心主義を挙げました。「一番間違いないのは、お客様のすぐそばで、お客様と関わり、対話することです。多くの場合、最新モデルは何か、何ができるのか、といった技術的な側面ばかりを [話の中心として] 取り上げがちです。お客様と対話し、お客様との距離を縮めている人はほとんど見かけないというのが現状です。これはチャンスだと思います」と彼は言います。

2. AI をプロダクトではなく、実現技術として位置づける

Glean の Jain 氏は、AI の変化と進化のスピードは諸刃の剣であり、驚くべき新機能への道を切り開き続ける一方で、その進化のスピードが、AI を特定のターゲット ユーザー向けのプロダクトとして位置づけることを事実上不可能にしている、と指摘しました。

Jain 氏の指摘は、AI スタートアップにとって顧客中心の考え方が重要であることを補強するものです。つまり、AI をプロダクトとしてではなく、問題解決のためのツールとして扱うということです。Jain 氏は次のようにアドバイスしました。「作ろうとしているプロダクトを、エンドツーエンドの問題として考えてみてください。お客様と一緒に作業に取り組み、お客様が行う必要があるタスクに実際に役立つワークフローを考えましょう。また、AI は完璧なプロダクトではなく、あくまでもイネーブラーとして考えましょう。」

Varma 氏は、AI 技術が Snorkel AI とその顧客にとって、どこでどのように価値を生み出すかという点において、同じ知見に触れました。「特に今、たくさんのキラキラした話題に、とても簡単に気を取られてしまいます。そのキラキラしたもの [すなわち、開発最先端の技術] では、完成までの 60% から 80% の道のりは開けるかもしれませんが、ビジネス価値を提供するところまではたどり着けません。」

「そのラスト ワンマイルは、必ずしも最も楽しい部分や最も革新的な部分ではないかもしれませんが、モデルが実際に使い物になるかどうかはそれで決まります。」

3. 自己革新のコツをマスターする

Rogenmoser 氏は、マーケティングとコピー ライティングのバックグラウンドがいかにして AI を受け入れるきっかけになったかを説明しました。その正確な理由は、AI が自分の専門分野を破壊する方向に向かっていることが明らかであり、新たなチャンスをつかむためには適応と進化が必然だったからでした。

AI を活用したソリューションに取り組むスタートアップにとって、自己革新を実行する能力、言い換えれば、予期せぬ機会を追求し、革新的な新しい技術に適応するために、時には根本的に異なる方向に転換できる能力は大きな優位性である、と Rogenmoser 氏は述べ、「Jasper はおそらく今後 2 年間でさえ、さらに数回の自己革新が必要になってくるでしょう。これは、とんでもないことです。かつて企業は、50 年に 1 度か 2 度、そんなことをしたものですが、今では毎年必要かもしれません。しかし、私たちは顧客主導でありたいと思っていますし、お客様が私たちを新しいユースケースに引き込んでくれることを望んでいます」と付け加えました。

4. プロセスを楽しむこと、楽しい時間を過ごすこと、驚きを忘れないこと

AI スタートアップを立ち上げ、成長させることは、チャレンジに満ちた大きな仕事であり、何といっても長期的な成功が保証されていません。この 3 人の起業家にとって、AI 技術を軸とした企業の立ち上げは、好きでしている仕事なのです。それは、歴史が作られる過程を最前列で見ることができるためです。

「プロセスを楽しむことが大切です。立ち上げは、いつでも非常に楽しかったし、毎日、十分な期間、続けていれば、おそらくうまくいくだろうと思いながら、楽しいと思えることをしようとしてきました」と Rogenmoser 氏は述べました。

Jain 氏は、AI がこれほどダイナミックかつ変革的な力として台頭していく様子を目の当たりにして、いかに驚くべきことであったかを思い起こしながら、Rogenmoser 氏の発言を支持し、次のように述べました。「5 年後に何が変わり、どのようなペースで物事が進んでいるのかを理解するのは、本当に難しいことです。現時点では、AI が今後どのような状況になるのか、来年のことでさえ予測するのは困難です。わかっているのは、これから起こることを活用できるよう、アジリティを維持し、準備を整えておく必要があるということだけです。なぜなら、異例の事態が起ころうとしているからです。」

対談の全内容は、Google Cloud Startup Summit に登録すると、「創業者のアドバイス: 革新的 AI スタートアップを構築するために必要なこと」をオンデマンドでご覧いただけます。3 人の創業者の知恵をさらにお聞きください。


- Google Cloud、営業担当マネージング ディレクター Darren Mowry
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