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スタートアップ & SMB

BCW は Google Cloud で分散型技術をどのように使用しているか

2023年5月8日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 31 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: 今回のブログは、BCW グループが設立した Arkhia による、ブロックチェーンと DLT の開発者向けに Infrastructure as a Service(IaaS)と Web3 のバックエンド ソリューションを提供する取り組みを紹介します。このブログ投稿は、全 3 回のうちの第 1 回目です。


Web3 ベンチャー スタジオの BCW は、既存プロダクトの統合や Web3 分野への進出を希望するクライアント企業にサービスを提供する、エンタープライズ コンサルティング企業です。全 3 回にわたるブログシリーズの第 1 回目は、BCW のプロダクトが Google Cloud で分散型技術をどのように使用しているのかを見ていきます。

BCW は、コンサルティング、技術、市場進出を含むサポート サービスを企業に提供します。そうすることで、新規参入企業が直面する高度な要求に対応し、お客様の早期かつ継続的な成功を実現しています。

Arkhia と Hedera のネットワーク

本シリーズで最初に概説するプロダクトである Arkhia は、Hedera のネットワーク インフラストラクチャに重点を置いています。Hedera は、ここ数か月で Web3 開発者の流入が過去最多の状態になっており、Arkhia はインフラストラクチャと API ソリューションで対応する態勢を整えています。

少なくとも 15 年間、Web2 分野では従来の CRUD や中央データ ストレージのアプリケーションが支配的でした。こうしたアプリケーションは十分に機能し、遅い硬直的なサーバー構造に代わって、明らかに大きな改善となりました。しかし Web3 の台頭により、アセット、コンピューティング、セキュリティの新しいパラダイムが生じ、新しい形のヒューマン インタラクションが生まれました。新しいパラダイムと同様に、ハードウェア需要の増大、比較的新しいプロトコルやコードベースによる信頼性ニーズの増大、定義やアクセス ポイントの一貫性の欠如など、導入を阻害する新たなハードルが出現しています。

Arkhia はこうした課題を軽減するために、分散型台帳技術(DLT)の基盤となるインフラストラクチャへのアクセスを希望する Web3 の開発者と企業向けに、ゲートウェイとワークベンチを提供しています。たとえば Arkhia の Workbench ツールを使用すると、Hedera ミラーノードのデータスキーマをすぐに確認できます。また Watchtower ツールを使用すると、HTTP2 を HTTP1 に自動変換することで、WebSocket を通じて Hedera Consensus Service(HCS)に登録できます。これはハイエンドの開発目標に欠かせない機能です。Arkhia はさらに、HCS gRPC、REST API、JSON RPC Relay を通じたストリーミング、サブスクリプション、クエリなど、API を強化しています。

Arkhia が提供するサービスの基本的な側面は、Google Cloud プロダクトを使用して、Web3 の原則を損なうことなく大規模な構築を行えるようにすることです。Arkhia はプロダクトのプロセスやサービスの選択と Google Cloud テクノロジーを組み合わせることで、Web2 分野で成功した原則を、この新しい分散型インタラクション モデルに適用できるようになりました。

Google Cloud のデータサービスを活用する

BigQuery、Dataflow、Airflow などの Google Cloud の堅牢かつ幅広いデータサービスと、Cloud Load Balancing や Cloud Storage などの主要なインフラストラクチャ サービスにより、Arkhia は、DLT をデータレイクに変換する、高スケールで広範囲にわたるアプリケーションを構築できました。これにより、分析の要素と参加によるモニタリングの両方が融合し、社内向けおよび社外向け戦略の要求を満たすことが可能となります。

カスタマー ジャーニーを見てみると、DLT の優れたユースケースは、堅実なデータ戦略の中にあることがわかります。データ戦略やブロックチェーン戦略をどのように適用するかを考える際は、特定のユースケースに対するクライアントのニーズを考慮する必要があります。デザイン思考のフレームワークに精通していれば、この最初のステップは簡単でしょう。その戦略にデータがどれだけ当てはまるかを判断する必要がある、という点が最も重要です。

顧客について考えるとき、データを社外態勢か社内態勢かという観点で考える傾向があります。社外態勢では、クライアントの取り組みやビジネスを発展させるために、カスタマー サクセスやマーケティング活動に関する意思決定を行う際、データを積極的に利用します。社内態勢では、デジタル トランスフォーメーション、規制遵守、最適化のプロセスに対応するためにデータを利用します。

DLT 態勢の構築も同様です。社外的には、決済レール、送金サービス、取引所(DEX と CEX の両方)、プルーフオブリザーブ システムなど、枚挙にいとまがないほど、プロダクトやサービスのコア コンポーネントとしてブロックチェーンが利用されていることをお客様が認識し始めています。

社内的には、部門間のコストを削減したり、CRM または従業員インセンティブ アプリケーションを作成したりするメカニズムとして組織で利用する、高性能なアプリケーションを求めている顧客が多くなってきています。この社外と社内の境界線は、当初はプライベート チェーンとパブリック チェーンの間に引かれることが多いという点に留意する必要があります。Arkhia の柔軟なツールセットにより、Google Cloud が業務から切り離せないものになることで、クライアントはこうした境界線を曖昧にしてスタックを削減できます。

Arkhia は、Hedera 独自のサービスレイヤへのアクセスを生み出すことで、両方の態勢を同時に満たします。HCS、Hedera Token Service(HTS)、ミラーノード レイヤなど、すぐに使える主要な Hedera Hashgraph サービスに関するツールのワークベンチを構築することで、データとトランザクションへのアクセスポイントが統合されます。また、技術チームが DLT という新しい分野に踏み出す際に、効果的な技術や戦略を構築できます。

Arkhia のチームは Google Cloud を活用して、DLT における初期のコードやライブラリから生じる課題を軽減し、プロダクトを構築できる安定したプラットフォームを作成しています。

Google Cloud と Arkhia のコラボレーションでは、クラウド技術の遍在性に対する懸念にも対処しています。つまり、Bitcoin、Ethereum などのオープン レッジャーにおけるメッセージ交換の増加や、表面上サポートされている匿名性の恩恵についてなどです。Hedera の場合、データシステムにおける重要なインフラストラクチャの管理を既知の事業者が行うという点が一定の現実的な歯止めとなっています。

BigQuery、Billing、Pub-Sub の各サービスは、Arkhia チームが Node as a Service の提供、高スケールの JSON-RPC デプロイメント、独立した補助的なサービスについて調査する際の基盤となります。これはビルドの迅速化、開発者による Hedera サービスの構成、アプリケーション レベルでの柔軟性の向上を可能にします。

BigQuery により ETL イニシアチブやデータの取り込みを通じて Web3 分野の可能性が広がり、Arkhia のユーザーは、DLT エコシステムに典型的な高ストレージ集約型パラダイムに関係なく、着実に取り組みを進めることができます。経営管理の面では、BigQuery によって、分散型アプリ(dApp)などのサービスを対象にブロックチェーン データをほぼリアルタイムでストリーミングして利用する機会が得られることから、高コストなインフラストラクチャのオーバーヘッドが不要になります。あらゆる種類のデータに対するリアルタイム解析によってすべてが行われるため、社内外の分析情報が増え、向上します。

DLT IaaS 分野を担当する Arkhia のビジネス マネージャーの場合、Cloud Billing を使用することで多くのことを改善できます。サービス、費用、コンピューティング / ストレージ単位で詳細に請求を管理し、現状維持だけでなくさらなる成長を実現するための重要な役割を果たすことが可能になります。Arkhia は Google Cloud の高度な機能を使用して、規模と費用を適切に管理しています。

API と Pub/Sub による包括的なサービス スイート

Google Cloud には、組み込み機能を対象とした API と Pub/Sub による包括的なサービス スイートがあります。POC によるクイックスタートを実現し、Web 3 でのイノベーションのペースに沿った迅速な構築と反復を可能にします。社内ネットワークの高度化により、Pub/Sub ツールを BigQuery や Google Kubernetes Engine などのサービスと容易に統合して、リアルタイム ブロックチェーン データに関する開発時間やツールを削減できます。時間や精度が重要なデータに関して高い可用性、セキュリティ、パフォーマンスを必要とするクライアントにとって、Google Cloud の Pub/Sub によるデータシステムとクライアント間のデータ ストリーミング パフォーマンスの向上は魅力的です。

Google Cloud のコンピューティングとサービスにより、Arkhia のようなプラットフォームは、急速に変化するブロックチェーン環境においてスケーラブルかつ安定したインフラストラクチャを迅速に構築できます。多くの企業が、Web3 機能をサポートする環境面でサステナブルなツールに業務を移行する中、Google Cloud は、インフラ開発者が分散化の理念を維持できるよう支援します。

最後に、Google Cloud のサステナビリティへの取り組みにより、Arkhia は、Hedera プロトコルのキュレーターが確立したコアバリューやベンチマークに反することなく、カーボン ニュートラルな分散型サービスに参加できています。

データ戦略、実践、能力の原則を組み合わせていく中で、Google Cloud のサービスは、Arkhia のシステムにとって重要な位置を占めるツールであると考えています。Arkhia と Google Cloud は、エンドツーエンドで、DLT とブロックチェーンの固有の課題に取り組む開発者をサポートしながら、クライアントやお客様のために分散型サービスを構築することを目指しています。


- Arkhia 技術責任者 Daniel Costa 氏
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