Arpeely: Google Cloud 上の ML ベースの需要創出プラットフォームでデジタル広告を変革
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
Arpeely は、世界で最も先進的な広告テクノロジーを開発してきました。当社の ML メディア買付プラットフォームと「Win-Win」ビジネスモデルにより、お客様は、精度良く、安心感をもって、最小限のオーバーヘッドで、熱烈なユーザーを自社サービスに呼び込むことができます。
リアルタイム入札は、ミリ秒単位で広告のインプレッションを売買する動的で複雑なプロセスです。広告主または広告主の代理を務めるアドテク企業は、ユーザーがアプリやウェブサイトを開くたびに、ミリ秒以内にリアルタイム オークションで広告スペースに入札し、最も高い入札者が自社の広告を表示する機会を獲得します。ここで登場するのが Arpeely です。高度なアルゴリズム、革新的な UX、ファネルを活用して入札プロセスを最適化し、広告主のパフォーマンスを最大限に高めます。
Arpeely は、市場で優れたパフォーマンスを発揮し、購買意欲が高く、リピーターになりやすいユーザーを獲得するために、従来の競合他社が通常使用していないさまざまなシグナルを使用しています。たとえば、モバイルアプリの広告では、リアルタイムの状況とユーザーのコンテキストに基づいて、ユーザーが数週間以内にアプリ内購入を行う可能性を予測しています。
広告自体に関しては、単純なバナーの時代は終わりました。今日の広告は、ユーザーを魅了して引き込む「ちょっとしたプロダクト」です。当社では業界標準を超えた幅広い広告フォーマットを採用しています。当社の広告には、没入型の動画、説得力のあるメッセージ、ミニゲームやミニアプリなどのインタラクティブな体験、あるいはそのすべてを複合的に組み合わせたものがあります。Arpeely は、ロジックとインタラクティビティを統合することにより、メインのアクティビティを離れることなくユーザーがシームレスに広告コンテンツに関われるようにサポートしています。これにより、ユーザーの意図を把握できるようにもなります。
当社のビジネスモデルでは、広告主に支払いが生じない限り、当社にも報酬が支払われないことになっています。当社のアルゴリズムをもってすれば、大雑把なツールを使用する同業他社が見逃している隠れた市場機会に水のように流入できると考えています。こうした機能のおかげで、Arpeely はメディアとユーザー獲得という困難な分野における戦略的パートナーになることができます。
データ サイエンスとエンジニアリングの最先端でのイノベーション
現在、当社は 1 秒あたり数百万のインプレッションと、1 日に 10 億を超える ML 予測を処理しています。当社は、Google AdX を含む世界最大級の 7 つのリアルタイム入札取引所と直接接続しています。また、当社は有望なスタートアップから S&P トップ 20 に入る企業に至るまで、クライアントと緊密に連携しています。
私たちは日々、さまざまな面で複雑なエンジニアリングとデータの課題に取り組んでいます。エンジニアリング面では、すべてのリアルタイム オークションが 150 ミリ秒という厳密な時間枠の範囲内で超高速のレスポンスを受けられるようにしています。データ面では、オークションごとに複数の ML 予測を行い、日々、数 TB のデータを取り込んでいます。ユーザー サービスの面では、読み込み速度のわずかな変動でさえビジネスに劇的な影響を与えることから、地域とデバイスのロングテールにわたって A/B テスト済みのアセットを提供しています。
当社は当初から、技術スタックの構築に関しては単独では不可能であることを知っていました。利用可能なプラットフォームを見ると、特に当社のユースケースにおいては、Google Cloud が、簡単に管理、使用、スケールできる堅牢なアーキテクチャを備えていることは明らかでした。また、当社の事業分野において重要となる信頼性と機能の完全性も備えていました。
仕組み
当社は Google Kubernetes Engine(GKE)を基盤として、主要な入札フローを処理する複数のサービスを実行しています。大規模に実行するサービスには Golang を利用し、開発速度、コミュニティ、読みやすさを優先する場合には Python を利用します。こうしたサービスはすべて非常に高いスケールに達する可能性がありますが、GKE で自動的に管理およびモニタリングされます。これらのサービスと当社の Redis(Google Cloud パートナー)クラスタ間の通信は、Google Cloud の強固なネットワーク インフラストラクチャ上でミリ秒未満のレイテンシで行われ、インプレッションごとに複雑なリアルタイム ロジックの実行を可能にします。
実際の入札に取り組んだところ、分析とモデルのトレーニングのためにデータを BigQuery にストリーミングするという課題が残りました。そこで、Cloud Pub/Sub、Memorystore、Cloud Storage を組み合わせて利用することで、費用面で妥協することなく、ほぼリアルタイムで 1 日あたり数 TB を取り込むことができるメカニズムを作成しています。Arpeely のような企業が速いペースでテストとイテレーションを行うには、リアルタイム データの利用が不可欠です。
BigQuery は当社の運用分析向けのデータ ウェアハウスであり、当社のビジネスに不可欠な要素です。当社はこれを、大規模なコンピューティングのための倉庫として、また、本番環境、データ、ML の再トレーニングを完結させる運用能力の両方で使用しています。2 人または 3 人のチームであれば、最小限のメンテナンスでペタバイト単位の大規模な管理が可能です。
これらに加えて、アドテク業界の目的に特に適した最先端の社内モデル パイプラインを構築しました。これにより、オンザフライのキャリブレーション、柔軟な変換ステップ、著しく不均衡なデータセットのサンプリング、重みの調整、A/B テスト済みのモデルの展開など、複雑なソリューションを効果的にデプロイできるようになります。
Google Cloud は、私たちの日々の積み重ねやルーチンに深く組み込まれている、いくつかの非常に便利な組み込みプロダクトへのエントリ ポイントも提供しています。その中には、Operations Suite(旧名 Stackdriver)、Cloud Profiler、Cloud Storage、Cloud CDN、Cloud SQL、Memorystore、Cloud Scheduler、Error Reporting などが含まれます。
こうしたテクノロジーに加えて、人も関与します。Google の熟練したカスタマー サクセス チームは、技術的な専門知識とビジネス感覚を独自に組み合わせて、戦略的な広告主として機能し、私たちが知りえなかった扉を開きます。
広告の未来に通じた扉を開く
Google Cloud で標準化することで、イノベーションと成長にリソースを集中させることができます。ビジネス ソリューションを調査したり、異種テクノロジーの統合に時間を投資したりする代わりに、必要に応じて幅広い Google Cloud ツールを活用できます。そのため、優れた技術基盤を確立し、将来のビジネスの成長に備えることが重要です。
Google Cloud により、インフラストラクチャではなくイノベーションにリソースを集中できるようになります。つまり、クライアントと価値の高いユーザーをマッチングし、収益を拡大する方法を見つけることに、さらに取り組めるようになっています。オンライン広告は 20 年以上前から存在しており、Google 自体が開拓したものですが、Google Cloud は、市場を革新し、現在および将来のお客様により高いレベルの価値を提供する推進力を与えてくれます。
Google Cloud がスタートアップをサポートする方法については、こちらのページでプログラムの詳細をご確認ください。また、こちらから更新情報の配信にご登録いただいた方には、コミュニティ活動、デジタル イベント、スペシャル オファーなどの情報をお届けします。
Google Cloud Marketplace の Redis リスティングをご確認ください。この機能をお試しいただき、ぜひご感想をお聞かせください。
Arpeely、共同創業者 / チーフ アーキテクト Daniel Sirota 氏