コンテンツに移動
Public Sector

Google Cloud の新しい公益ソリューションが全米の家賃支援と住宅援助の取り組みを強化

2021年11月16日
https://storage.googleapis.com/gweb-cloudblog-publish/images/Google_Cloud_Government_and_Education_Summ.max-1800x1800.png
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 11 月 3 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

パンデミックの爆発的拡大が収まって回復へと向かいつつある中、地方自治体もその戦略を変えています。具体的には、数十億ドルの補助金とサービスが、最も支援を必要としている人々に確実に届くようにするための戦略です。これには、困っている家族への住宅援助、地方の公共事業がサービスの運用を継続するための財政的支援、不動産物件を維持できるだけの資金が家主にあることの確認も含まれます。

現在、米国の 3,000 を超える郡が緊急時の財政予備費を家賃支援と住宅援助に充てようと取り組んでいます。けれども残念ながら、多くの郡では、必要なペースに追いついていけない時間のかかるシステムと古いテクノロジーがこの取り組みの負担となっています。実際のところ、2021 年 9 月の時点で、家賃支援と住宅援助を目的に支給された連邦政府の補助金の 460 億ドルのうち、支援を必要としている人々に届いたのはわずか 77 億ドルにすぎません。

こうした状況の中、本日自信をもって発表するのが、Google Cloud の新しい家賃支援および住宅援助のための公益ソリューションです。Google は地方自治体および非営利団体と連携し、Google のテクノロジーを活用して、優れたユーザー エクスペリエンスを実現し、高速で効率性に優れ、アカウンタビリティに対応したサービスの提供を開始しました。

新たな課題と進化する市民のニーズに対処

Google Cloud の公益ソリューションは、州政府と地方自治体にとって最も重要ながらも解決が非常に難しい社会福祉の課題に、最新型のオンライン ソフトウェアを使って対処するツールと機能からなる新しいスイートです。公益ソリューションには家賃支援および住宅援助を対象としたものだけでなく、失業者向けの技能再教育と職探しのためのモジュール、市民とのオンラインおよびコールセンターでのコミュニケーションの改善、不正検出と申請の検証、高度な分析と機械学習を活用した市民の感情の評価と政策の成果の予測も含まれています。

切実に必要とされる連邦政府の補助金をすばやく分配できるよう、ハミルトン郡を支援

オハイオ州ハミルトン郡を主要な例として挙げましょう。オハイオ州で人口が 3 番目に多いハミルトン郡では、820,000 世帯がシンシナティとその近郊で暮らしています。都市社会と農村社会が混在し、人々が従事している業種も、金融サービス、ヘルスケア、教育、農業など、多岐にわたります。これらの区分全体にわたる人々が COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって大きな打撃を受け、職とソーシャル ライフラインを失いました。

昨年 12 月に連邦政府が緊急賃貸支援プログラム(ERAP)で 460 億ドルの補助金拠出を認可した際、オハイオ州には 7 億 7,500 万ドルが割り当てられました。そのうち、ハミルトン郡に割り当てられたのは約 1,500 万ドルです。連邦政府の補助金が撤回されないよう、ハミルトン郡は週あたり 500,000 ドルの補助金を承認し、分配する必要がありました。郡の職員はわずか数か月で、補助金の受給資格の保証、政策の更新、コミュニティ パートナーシップの構築、補助金分配の管理、不正の回避に対処するとともに、補助金のすべてが確実に文書化されるようにしなければなりませんでした。それには、申請者と家主がオンラインで登録し、補助金の受給資格があるかどうかを調べる必要があります。パートナー、関係者、地方議員も、このプロセス全体にわたって最新情報を把握する必要があります。

ハミルトン郡は当初、かつてからの需要を満たすテクノロジー システムを使って有利な立場でプロセスを開始しました。けれどもスケーラビリティとプラットフォームの安定性の課題に直面し、このシステムでは ERAP プログラム管理の需要を満たしきれなくなりました。

ハミルトン郡職業家庭サービスでアシスタント ディレクターを務める Kevin Holt 氏は次のように述べています。「優れた人材と優れたシステムで優れた成果を出していました。けれども思うようなスピードで事が運ばず、連邦政府の補助金の撤回というリスクにさらされたのです。9 月 30 日までに 900 万ドルを分配する必要がありましたが順調には進まなかったので、スタッフの増員と同時に、より優れたツールの導入が必要になりました。スタッフを増員したほか、限りあるリソースの管理を改善し、Google Cloud との連携を活かし、パンデミックからの回復という異例の課題に対処可能なデータツールを構築しました。これにより、最終的には目標を上回る 9 億 500 万ドルを 2,778 世帯に支給できました。今は、現在割り当てられている補助金を完全に支給するとともに、2022 年に割り当てられている 2,000 万ドルの補助金を最大限に活用するためのツールが整備されています。価値を付加し、人々を支援する課題に取り組むためのツールが手元に揃ったのです。」

新しいシステムを見つけ出してインストールし、スタッフをトレーニングするのに何年もかかっていたのは、つい最近までの話です。2020 年、市民の需要と家庭のニーズはまたたく間に、しかも大幅に変わりました。ハミルトン郡はこの変化に対応するために、Google Cloud の公益ソリューションに頼りました。インターネットに接続さえできれば、あらゆるワークロードに応じてスケールアップできるからです。あらゆる世帯が補助金の受給資格があるかどうかを迅速に確認して、オンラインあるいは電話でも申請できるようになりました。また、スタッフはわずか 1 日のトレーニングで、申請処理、不正検出、承認と支払いなど、そのすべてを古いシステムの半分の時間で対処できるようにもなりました。これらの公益ソリューションは処理時間を短縮するだけでなく、信頼性と安定性に優れ、緊急時に必要に応じてスケールアップできます。

Holt 氏はさらに言います。「私たちのスタッフは非常に優秀です。これらの優秀なスタッフが、さらにコミュニティのニーズに応じて成果を出すために必要なツールを使えるようになったのです。Google Cloud テクノロジー、それに Google が派遣してくれるスタッフは卓越したサービスを提供してくれています。正直なところ、私たちの問題を解決しようと、あれだけ粘り強く取り組んでくれるとは思いもよりませんでした。」

ウェスト バージニア州は申請処理を加速するとともに、不正利用者を阻止

ウェスト バージニア州では、COVID-19 が引き起こした困難な事態により家賃を延滞せざるを得ない住民が約 25,000 人います。同州には 2 億 6,000 万ドル近くの ERAP 補助金が割り当てられているものの、既存のシステムでは家賃の財政的援助を求める人々による申請件数の急増に対応しきれていませんでした。州に新しいソリューションが緊急に必要となったことから、ウェスト バージニア州住宅開発基金ではこの支援の取り組みを軌道に乗せるために、Google Cloud に頼りました。

このような状況で不可欠なのはスピードです。期限までに支援を受けられない家族は退去させられるリスクがあります。ウェスト バージニア州住宅開発基金は補助金をすばやく支給できるようにするために、Google Cloud の Document AI テクノロジーを活用して、家賃支援の申請を分析するプロセスを加速させました。さらに、Google Cloud の不正行為分析機能を頼りに、システムを欺いて利用可能な財政的支援を不正に利用しようとする不正利用者を排除しています。  

10 月の時点で、ウェスト バージニア州では約 10,000 人の人々がウェスト バージニア州山岳住民向け家賃支援の申請を行っています。家賃支援のほか、Google Cloud は住宅開発基金と連携して住宅所有者救済プログラムを実施し、ウェスト バージニア州の住宅所有者に住宅ローンの減免を提供し支援しています。

Google は行政機関がコミュニティをサポートできるよう支援する仕組みを拡大

同じく喜ばしいニュースが数多くの郡で広がっています。社会福祉機関や社会福祉団体は、前例のないこの困難な時期、人々が住居を維持できるよう支援しています。Google Cloud が全米でのこうした住居維持の取り組みをサポートできることを光栄に存じます。

毎日、Google ではより正確な情報、より迅速なサービス、そしてより優れたエクスペリエンスを求める数十億もの人々に対応しています。Google Cloud の公益ソリューションではこのアプローチを一歩進め、行政機関と市民の具体的な問題に焦点を絞り、一連のテクノロジー ソリューションによってサービスの提供者、受益者、そしてコミュニティに効果的なサービスを確実に提供できるようにします。  

住宅維持を支援する Google の取り組みの詳細を確認するため、2021 年 11 月 3~4 日に開催される年 1 回の Government & Education Summit にご参加ください。


- Google Cloud グローバル公共部門担当バイス プレジデント Mike Daniels
投稿先