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Public Sector

クラウド テクノロジーで景気回復を支援する方法

2021年4月8日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 3 月 30 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)救済資金の迅速な給付を促進する

アメリカ人は、パンデミックの終わりが見えているとの期待感を高めています。新しい COVID-19 救済資金が州と地方の予算に計上されることで、コミュニティに影響をもたらし、成長基盤を構築するための絶好の機会が生まれます。予算が計上されれば、政府機関のリーダーたちは、支援を必要とする住民の手にこの資金を迅速に届ける必要があります。

このような新しいリソースは、社会的セーフティ ネットの強化、地域経済の活性化、重要な行政サービスの提供方法における長年の不平等の解消といった課題の解決に向けた基盤を構築できる、一世代に一度の機会をもたらします。多くの場合、こうした重要なリソースの管理と提供をサポートするのは古いレガシー システムで、容易な更新や迅速なアップデートが困難です。幸いなことに、クラウド テクノロジーが急速に展開したことで、州政府や地方自治体は、コミュニティに重要なサービスを提供するためのアジャイルな最新の基盤を構築できるようになりました。

家賃、住宅ローン、公共料金、水道代の救済策を支援する

2021 年の American Rescue Plan Act(米国の救済計画法案)では、家賃、住宅ローン、公共料金、水道代の救済策に 370 億ドル以上が費やされる予定です。これは以前、2020 年 12 月に家賃と公共料金の救済に割り当てられた 250 億ドルに追加される補正予算です。住宅ローンと水道代の救済は新たに計画されたプログラムで、家賃と公共料金の救済要件は、新しい COVID-19 救済法案が実施されるたびに更新されます。州政府と地方自治体は、前例のない速度と規模で進化する対策プログラムを、どうすれば迅速に管理し、効率化できるでしょうか?

パンデミックが始まって以来、Google Cloud は、政府機関が新しい経済的支援プログラムを管理するためのサービス ポータルやモジュールの迅速な立ち上げに協力してきました。Google はローコードまたはノーコードのプラットフォームを活用した迅速なアプリケーション開発ソリューションにより、Google Cloud およびパートナーがミッション クリティカルな機能を、数か月ではなく数日から数週間で実装できるようにしました。たとえば、議会が Pandemic Unemployment Assistance(パンデミック失業支援)を承認したとき、ニューヨーク州労働省はこの新プログラムへの申請を受け付けることができず、既存のアーキテクチャも需要に合わせたスケーリングができない状態でした。そこで、Google Cloud は数日のうちに申請受付用の公開ポータルを実装し、その後数週間にわたって重要な機能を追加していきました。その結果、ニューヨーク州労働省は何百万人もの失業者にサービスを提供することができました。

Cloud AI で失業扶助を支援する

3 月上旬の時点で、週あたりの失業扶助申請件数が 70 万を超える状態が連続 51 週となっていました。米国の歴史において、1 週間で 70 万件の申請があったことは一度もありません。ましてや 51 週間連続というのも初めてのことです。地域住民への失業手当の給付や、困窮する個人や家族の支援のために、公的援助がこれほど重要になったことはありません。州や地方当局は、クラウドベースの人工知能と機械学習(AI / ML)を活用して、このような重要なサービスを提供するという重大な課題を克服しました。たとえば、イリノイ州は Google Cloud Contact Center AI を実装し、数週間のうちに 100 万人以上の失業手当の申請を可能にしました。ウィスコンシン州の労働力開発局は、予測分析と包括的なデータモデルを使用して、590,095 人分の申請未処理を解消し、困窮している同州の住民に 46 億 8,000 万ドル以上の失業手当を給付しました。2021 年に入り、Pandemic Unemployment Assistance(パンデミック失業支援)の申請および受け取りについて新たな書類要件が設定されましたが、AI / ML は数百万にのぼる書類の検証処理を自動化するうえで重要な役割を果たしています。失業保険申請窓口が手動で行っていた文書処理を自動化し、職員がより複雑な問題に集中できるようになりました。

求職者の就労を支援する

American Rescue Plan(米国の救済計画)は、パンデミックの最中に職を失った人々への失業保険給付を拡大しています。雇用主と求職者の両方の支援にテクノロジーを利用できます。特に急回復を見せている業界では、AI と機械学習の活用により求職者のスキルと求人をマッチングできます。Google の仮想キャリア センターなどのソリューションは、検索と照合機能の強化、オンラインでの面接と就職説明会、オンラインでのジョブ トレーニングとコーチングで求職者と雇用主を支援します。また、テクノロジーを活用すれば、回復の兆しを見せている業界と依然として苦戦を強いられている業界について、政策立案者に詳細なデータを提供できます。データに基づいてリソースをより適切な場所に割り当て、個々のコミュニティの回復を加速できます。

景気回復を促進するツールとしてのデータ

Google の政府系機関パートナー様には、既存のデータと新しいデータの収集機能を有効活用することをおすすめしています。コミュニティ データを分析することで、経済的支援プログラムの管理者は、複数のプログラムに登録している市民にサービスの格差や重複がないかを把握できます。最初の難局を乗り切れば、ここで得られたデータを活用して政策立案者が今後のコミュニティのニーズを予測できるようになります。たとえば、猶予期間を付与する家主の数と、連邦政府の給付が尽きるとすぐに立ち退きを通知する家主の数について、コミュニティ リーダーが情報を持っていれば、どのような追加リソースが必要かがわかります。

こうした分析情報は、小売業、サービス業、観光業だけでなく、COVID-19 のあおりをまともに受けやすい中小企業を支援するための政策立案にも役立ちます。コミュニティが再開して復旧が進めば、回復に向かっている市民や業界と苦しい状況にある業界についてのデータを政府機関に提供できるため、より迅速な回復を支援する政策とリソースを展開できます。Google Cloud の BigQuery やその他のデータ分析ツールは、既存のシステムや他のクラウド プロバイダと簡単に統合でき、豊富なデータ分析、シナリオ分析、人工知能機能を活用して、各コミュニティ、各家族、そして個人と子供のために回復を加速させるような戦略、運用、戦術活動に情報を提供します。

詳細については、Center for Digital Government と Google Cloud のオンデマンド ウェブセミナー、An Agile Approach to Economic Recovery(景気回復のためのアジャイルなアプローチ)をご覧ください。このセミナーでは、社会的セーフティ ネット プログラムのさらなる変革に向けた準備と、COVID-19 救援資金の管理方法について議論しています。

-Google Cloud 州政府・地方自治体関連および公共政策担当 Leah Popoff

-Google Cloud グローバル公共部門戦略ビジネス エグゼクティブ Denise Winkler
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