EdTech 企業が AI と分析で教育を変革

Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 1 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
2020 年を通して、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、事実上すべての企業や組織に予期していなかった難題を突き付けました。それには、種々の学校や大学も含まれます。教育機関に対し、パンデミックは待ったなしの変革を問答無用で迫りました。わずか 2 か月足らずで 10 億人の就学者を対面学習からオンライン学習に移行させてしまいました。
そうした急なオンライン学習への移行により、多くの学校で新しいオンライン学習環境への準備ができていないことが露呈しました。また、学習の公平性における格差を広げることにもなりました。低所得世帯の学生で遠隔教育に必要なツールを利用できているのは、その内の 40% 足らずです。
オンラインにアクセスできる学生は今、魅力的で共同的なデジタル学習体験から、将来活躍できる人材となるためのスキルベースのトレーニングまで、あらゆるものを期待できます。また、学習のためのデバイス、アプリケーション、プラットフォームをすべてカバーする、24 時間年中無休のマルチチャネル技術サポートへの期待も高まっています。
このような特筆すべき時代に、教育テクノロジー企業には学術機関や学生をサポートするという点で重要な役割があります。確かにこれは現実化しつつあります。EdTech(教育工学)市場はほぼ 3 倍になり、世界の総支出は 2025 年までに 4,040 億ドルに達すると予想されています。ただし、EdTech 企業の成功は、次のような分野でどのような成果を挙げられるかにかかっています。
コンテンツと製品: どれだけ迅速に新しいコンテンツを生み出し、学習者のニーズに応えられるか。新しい製品で市場を拡大し、普及を高められるか。
パーソナライズ: 人工知能(AI)をどれほど効果的に活用し、あらゆる種類の学習者に対してパーソナライズされたエクスペリエンスを提供できるか。
信頼性とセキュリティ: 教育機関が 2005 年以降最多のデータ侵害の被害に見舞われている今、サービスの信頼性とセキュリティをどのように確保するか。
EdTech 企業がこの機会をとらえ、ビジネスを変革するために AI と分析を効果的に利用している例をいくつかご紹介します。
より優れた製品を構築する: iSchoolConnect は、関心のある学校、コース、国を学生が調べられるオンライン プラットフォームです。これにより、高等教育機関への入学が世界中の学生にとって現実的なものになっています。同社は AI サービスを活用して、大幅にコストを節約しつつ、入学に関する処理を 90% 以上高速化することで、教育機関としての運営を最適化できるよう支援しています。
新市場での立ち上げを早める: クラスルーム創造性ツール プロバイダの Book Creator は、AI API を使用してアクセシビリティを強化し、学習者のエクスペリエンスを向上させます。同社のエンジニアリング担当バイス プレジデントである Thom Leggett 氏は、次のように述べています。「機械学習、描画認識、地図埋め込みなどの専門家でなくても、幅広い機能を持つ一連のインテリジェント API を使用すれば、より豊かなエクスペリエンスをより早く簡単に提供できます。」
ビジネスを安全にスケールする: Chrome ブラウザのレコーディング拡張機能クリエイターである Screencastify は、DevOps と CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスを使用し、COVID-19 の大流行の中ユーザー数が 8 倍になるという急速な増加に、総所有コストを安定的に維持しつつ対処することができました。これらのテクノロジーにより、同社は急速な消費者需要の増加に対応してすみやかに業務を拡大し、同時に学生データのプライバシーとセキュリティの保証を予算内で実施できています。同社 CEO の James Francis 氏は次のように述べています。「より豊かでインタラクティブなカリキュラムを学生に提供するために、テクノロジーの活用を考える教育者が増えつつある中で、これはほんの始まりにすぎないと私たちは認識しています。」
パーソナライズされた学習とサポートを提供する: スマート分析と AI により、学生へのパーソナライズされたサポートとアドバイスを提供し、需要や、学習者の好みの変化を予測できます。オンライン学習プラットフォームの Mindvalley は、クラウドベースのツールを使用してユーザー アクティビティに基づいた理解と決定を行い、機械学習を活用して行動を予測しています。
Google Cloud は、こうした数多くの先進的な EdTech 企業、および Ed-Fi や Unizin などの業界をリードするコンソーシアムと提携して、よりアジャイルで費用効果の高い方法で EdTech を既存の環境に統合できるよう、教育用の共通データモデルとベスト プラクティスの標準化を進めていきます。
教育環境の急速な変化に伴って学習者の好みや期待が大幅に変化し、教育機関がその変化への適応を図ろうとするこのときに、EdTech には果たすべき大きな役割があります。誰もがどこでも学習できる環境が EdTech 企業を通じて広く実現するよう、Google はそのために必要なツールとサービスを提供し、EdTech 企業を応援します。
詳しくは、EdTechX のスポットライト セッションをご覧ください。
-Google Cloud 教育および研究担当戦略ビジネス エグゼクティブ Jesus Trujillo Gomez