CourseMatix を利用したコンピュータ サイエンス教育の再構築
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 3 月 10 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
世界のソフトウェアへの依存度が高まり続けるなか、企業はアプリケーションの構築と保守に必要な開発者の確保に苦労しています。IDC によると、世界的に不足するソフトウェア開発者の数は、2021 年に 140 万人に達し、その数は 2025 年には 400 万人に膨らむと予測されています。
ソフトウェア開発スキルを持つ人材不足を解消するための大きな出発点となるのが、高等教育です。Spokane Community College という教育機関では、教師の時間を節約すると同時に、ソフトウェア開発と IT 教育を適切に組み合わせることにより、生徒の学習効果を高め、より多くの生徒に学習機会を提供するという進化を実現しています。
最新の IT 教育プラットフォームの構築
コンピュータ サイエンス教育を改善し、指導する生徒数を増やすための最初の一歩として、Spokane Community College は、教師がより効率的に教育プロセスを管理できるプラットフォームを必要としていました。そこで登場したのが CourseMatix です。
教育プラットフォームである CourseMatix は、自動採点、課題追跡、テストなどの必要なツール、プラットフォーム、フレームワークを提供し、教師の時間を節約して、生徒の学習効率を高めます。
CourseMatix は全体がマイクロサービスで構成されており、生徒ごとに固有の専用環境を構築して運用しているため、コンピューティング需要が大きくなります。このプラットフォームは、コンピュータ サイエンスの教授がさまざまなコースワークを指導できるよう幅広い技術に対応しているため、もともと複雑です。そのため、従来のインフラストラクチャで稼働させると、スケーラビリティ、信頼性、稼働時間に問題が生じていました。
CourseMatix の最高経営責任者である Aleks Korn 氏は、次のように語っています。「当社は、インフラを管理する必要をなくし、プラットフォームに完全に集中できるようにしたいと考えていました。そこで、Google Cloud パートナーである CDW に依頼して、IT 環境をどのように簡素化、改善できるかを検討してもらいました。その結果、Google Kubernetes Engine(GKE)への移行がすぐに決定したのです。」
GKE は、CourseMatix に水平方向と垂直方向の自動スケーリングを可能にし、費用とダウンタイムを最小限に抑え、管理と保守の必要性を排除しました。これにより、CourseMatix は可能な限り低い料金でプラットフォームのリーチを拡大すると同時に、少規模なチームを維持できるようになりました。CDW は、CourseMatix による GKE への移行の決定を支援し、その移行を管理し、ストレージ ソリューションに関するガイダンスを提供しました。
CourseMatix は、(ソフトウェア開発課題の規模から)データ ストレージのボリューム要件が高く、課題が失われないよう完全な信頼性を確保する必要があるため、NetApp との連携も選択しました。NetApp Cloud Volumes Service for Google Cloud の高い拡張性、信頼性、使いやすい機能は、GKE を完全に補完します。こうして、Spokane Community College の米国でのサービス提供開始に向け、プラットフォームの準備が整いました。
ソフトウェア開発教育の変革
Spokane Community College は、教授陣が抱えている課題、特に時間管理に関する課題を解決するためのソリューションを必要としていました。
Spokane Community College でソフトウェア開発の教授を務める Bret Dickey 氏はこう語っています。「ソフトウェア開発の各課題の採点に 1 時間かかることもあります。生徒が 100 人いれば、そうした課題の採点を返すのに数週間かかります。CourseMatix ではすぐにフィードバックされるので、教授にとっても生徒にとっても大きな変化となっています。」
現在、生徒たちはソース管理を使用し、ブランチを作成して課題を完成させ、ブランチをマージしてパイプラインでアプリケーションを実行するサーバーに push するなど、実際のツールを使って課題を完成させ、提出しています。
「現実の世界の考え方を活用して指導方法と成果を高めるなど、全体的により良い指導ができるようになりました」と Dickey 氏は語っています。
また、CourseMatix はコースワークに必要なさまざまなプログラミング言語やソフトウェア パッケージのスキルを向上させるためのツールも用意しており、それぞれ独自のツールを使用するサーバーサイド フレームワークやクライアントサイド言語を Spokane Community College が管理できるよう支援しています。
「生徒はクラウドベースのコーディング環境にアクセスすれば、課題に必要なツールをすべて利用できます」と、同じく Spokane Community College でソフトウェア開発の教授を務める Karmen Blake 氏は言います。「CourseMatix 内にツールを一元管理するシステムがあることは時間の大きな節約となり、生徒はプロのソフトウェア開発者としてのキャリア開発に向けた学習や演習により多くの時間を割くことができます。」
Karmen 氏と Dickey 氏は、CourseMatix を利用したことにより、指導能力と生徒の学習能力が著しく向上したと感じています。たとえば、このプラットフォームでは、生徒が問題を解こうとした回数に応じて自動的にヒントを表示したり、異なるエラー メッセージを表示したりするため、課題の難易度を適切に調整して生徒一人ひとりをサポートすることができます。
また、クラウドベースのプラットフォームである CourseMatix は、幅広い社会経済的背景を持つ生徒がコンピュータ サイエンスを学べるよう支援します。
Karmen 氏は次のように話しています。「ノートパソコンでインターネットにアクセスできれば、課題の取り組みに必要なものをすべて利用できます。クラウドベースの CourseMatix サービスのおかげで、コンピュータ サイエンス プログラムの全生徒の学習効率と公平性が向上しています。」
生徒はよりスムーズに学習できるうえ、採点にかかる膨大な時間を節約できるため、Spokane Community College はソフトウェア開発クラスの受講者数を増やしやすい状況になっています。
「採点の自動化と課題処理の最適化が実現したことで、より多くの生徒を受け入れ、より多くのクラスを教えることができるようになりました。ほんの 2 年前には、このような結果を想像することはできませんでした。すべて CourseMatix のおかげです」と、Dickey 氏は語っています。
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