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Inside Google Cloud

バイク事故による慢性痛と向き合う、ある Google 社員が提唱する共感と公平性

2023年1月10日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2022 年 12 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Yariv Adan は世に知られる Google プロダクトの一部の開発に携わっており、数百万もの人々が複雑な人工知能(AI)を活用できるよう日々取り組んでいます。長年に及ぶ慢性痛を抱えていますが、生まれながらに精力的で好奇心にあふれた人物で、これまでの人生で立ち直る力と思いやりについて学んできました。


人工知能に携わるようになってどのくらい経ちますか?どのようなものを開発してきましたか?

大学で初めて AI に関心を抱いてから断続的に 25 年間かかわっています。20 年前は、比較的シンプルな AI モデルを使ってビジネス オペレーションの異常を検出していました。Google に入社したのは 2007 年で、当初は別の分野に携わっていましたが、2013 年から AI を専門とするようになりました。幸運にも Google アシスタント、Google レンズ、Google Duplex の開発チームの一員となり、コンピュータとの会話を当たり前に行ってきました。2022 年の初めに Google Cloud に異動となり、企業向けの会話型 AI の担当となりました。


企業向けの AI の開発と消費者向けの AI の開発はどう違いますか?

Google アシスタントと Duplex テクノロジーにかかわるようになって、人間とコンピュータのやり取りに関して社会は革新的な変化を遂げようとしていると確信しました。ただし、現時点では企業向けの方が価値もニーズも高いです。その理由はおそらく、問題や課題がより的確に定義、制約されているためでしょう。たとえば、Contact Center AI を使えば、人間の担当者を待たずに問題への回答と解決策を提供できます。これによりコストを削減し、顧客満足度を高めることができます。そのメリットは明確で測定可能です。他には、不正な動作を排除する、オンライン ゲームのコンテンツ管理といった例もあります。  


素晴らしい成果を上げてきたのですね。他に取り組んでいることはありますか?

私は 2014 年にバイクの事故に遭い、右腕がほぼ動かなくなりました。その事故が原因で神経の一部が損傷し、そのときからずっと脳が慢性痛を訴えています。難しい歯科治療や片頭痛で眠れない夜を経験されたことがあれば、それに似た感覚だと言えます。ただし、それが何年間もずっと続くという点が異なります。眠ろうとするときも、仕事中も、妻や 4 人の子供たちと旅行を楽しんでいるときですら、痛みは常にそこにあります。


どうしてそうなるのですか?

脳は、防御と安全のメカニズムとして痛みの感覚を生み出します。たとえば脚の骨を折った場合、歩けば怪我が悪化するため、歩こうとしないように痛みを発生させます。感染症にかかった場合も、痛みが発生することでそれに気づき、治療します。私の場合、痛みを発生させて制御するシステムが壊れているのです。

鎮痛薬も試しましたが役に立たず、頭がぼんやりする、記憶障害が出る、代謝が低下するなど、さまざまな副作用が発生して仕事の効率が落ちてしまいました。しかも、痛みは戻ってくるのです。2017 年に服薬を止め、痛みとともに生きるための他の方法を学びました。何年もの間、自分が楽しめることだけに取り組み、キャリアアップにはあまり力を入れていませんでした。

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妻と娘と一緒にスキーをする Yariv


その経験から何を学びましたか?

個人的に成長できた面は多々あります。特に、痛みなどの障害は幸福の対極にあるわけではないということを理解しました。誤解しないでください。慢性痛に苛立ったりストレスを感じたりすることはよくあります。ただ、どの程度痛みに自分の人生と気持ちを支配させるかは自分次第だということを学んだのです。

また、他にもいかに多くの人々が似たような困難に直面しているかも知りました。一睡もできない夜を過ごした後に仕事をしたり、体調が悪化したまま何時間も過ごしたりする人はよくいるでしょう。メモを入力する、プレゼンテーションを見るといった「シンプルな」タスクが、ひどく難しいものになります。このような人々は、副作用が仕事にどう影響するかを心配して必要な薬も飲みません。最悪なのは、彼らは自分の状況を上司や同僚に隠さなければならないと感じていることです。

心が痛むと同時に怒りを感じます。間違っています。世界保健機関によれば、世界人口の約 15% がなんらかの障害を抱えています。障害は周期的なものなので、私たちの多くが人生のどこかで 1 つは障害を抱えることになります。   


どのように対処すればよいですか?

障がい者を対象とした採用、業績管理、昇進と雇用維持、特別な対応に関する公平性は、他のグループを対象とした多様性、公平性、包括性といった類似した取り組みよりもはるかに遅れています。それを困難にしているのが、幅広い障害の種類、複雑で分裂した規制環境、自分の体調について語りたがらない人々の傾向です。

その解決には長い時間がかかりますが、誰でも今日から行動を変えることはできます。自ら学ぶことで、職場での意識と共感を高め、助け合いを促進できます。それによって、障害を抱える同僚の生活を楽にすることができるのです。このトピックを白日の下に晒し、不快に感じたり恥ずかしく思ったりせずに取り上げなければなりません。私たちの周囲には、障害を抱えながら成功を収めた人々がいます。私の障害は厳しいものですが、名誉の印だと強く信じています。

- Google Cloud コンテンツおよび編集担当チーム
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