「今が行動のとき」 - ケニア出身の Google 社員がアフリカの技術開発に賭ける理由

※この投稿は米国時間 2023 年 5 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Jack Ngare は、ケニアのナイロビを拠点とする Google Cloud CTO オフィスのテクニカル ディレクターです。ケニア出身の彼は、国外の電気通信業界で 12 年間働いたのちに帰国し、アフリカの大手金融機関と米国のテクノロジー企業に勤務しました。そして昨年、Google Cloud の世界規模の主要顧客のデジタル化とモダナイゼーションを支援することをミッションとして掲げ、同時に起業家精神にあふれるアフリカのテクノロジー文化を成長させることも目指して、Google Cloud に加わりました。

現在、どのような機会を見据えていますか？

Google Cloud で働くことで、世界トップクラスのソフトウェアおよびハードウェア エンジニアリングをお客様に提供できます。また、Google Cloud が先進国の大手銀行、小売企業、通信企業などに提供している機能をアフリカに導入できる可能性も視野に入れています。これが実現すれば、効率の向上により無駄を劇的に削減できるだけでなく、Google Cloud がアフリカのポテンシャルを高め、その創造性と意欲で人々にインスピレーションを与えることも期待できます。

アフリカの技術開発は、双方向のやり取りから成り立っています。これまで私が連携してきた世界中の Google Cloud のお客様は、似通った課題と機会を抱えています。それはたとえば、効率化の方法、データ パイプラインの最適化方法、生産的かつ費用対効果の高い AI の適用方法などの特定です。一般的な課題には、多様な視点から対処するのが一番です。過去 30 年間、私たちは中国、インド、アフリカのお客様が、従来のインフラストラクチャの維持に煩わされることなく、モバイル技術や光ファイバー技術の開発を一足飛びに進めていく様子を目の当たりにしてきました。

アフリカに関する最大の誤解は何だと思いますか？

よくある誤解は、アフリカを 1 つの場所として捉えることです。サハラ以南のアフリカには 50 近くの国があり、数百万平方マイルの土地に 10 億人以上の人々が散らばって生活しています。さまざまな文化、経済、顧客、機会が存在します。

アフリカは何かを求めているだけの場所だとみなされるべきではありません。この地域には人に与えられるものがたくさんあります。たとえば、アフリカにはテクノロジーに精通する若者がたくさんいます。多くの人が、コーディング、設計、ソーシャル メディア、AI などの分野で大手グローバル企業から単発の仕事を請け負っています。彼らは専門分野をよく理解しており、意欲にあふれています。

何から手を付けるべきか判断に困ることはありますか？

ある意味、それが最も難しいことです。ポテンシャルは非常に大きく、Google Cloud はあらゆる業界や事業規模にわたって優れたパートナーになれることを示す必要があります。アフリカ企業の 70% が中小企業です。

本業以外でも、私はさまざまな方法でアフリカにテクノロジーをもたらす活動を続けています。小学校から高校の子供たち向けのコーディング学習カリキュラムの作成に携わっているほか、高速インターネットに接続する必要がある学校のスポンサー企業を探したり、大学で講演したりしています。

最大のモチベーションは何ですか？

私の最大のモチベーションは緊急性です。チャンスは永遠に待ってくれるわけではありません。こちらからチャンスを捉え、取り組んでいく必要があります。今は特異な時代です。起業家精神は常にここアフリカにありましたが、それをより広い世界に結び付けることが困難な時代が続きました。ときには良好なネットワークに接続することさえ難しかったのです。クラウドと優れた接続性がそれを変える可能性があります。

たとえば、Google が最近委託した Africa Practice のレポートを見てみましょう。これは、Google が投資する Equiano 海底ケーブルの影響に関する報告です。それによると、このケーブルによってデータ料金が最大 5 分の 1 に削減され、接続性の向上により 160 万人の雇用が創出される可能性があると推定されています。Equiano はヨーロッパをトーゴ、ナイジェリア、ナミビア、南アフリカと（さらにはアフリカを超えて他の国々とも）結びます。これは大きな一歩です。

同時に、私たちは知識をもって迅速に行動する必要があります。2 年前、Google はアフリカにおけるビジネス開発に 10 億ドルの投資を約束し、10 月には最新情報を発表しています。内容は、この地域で初のデータセンターが建設されたこと、起業家へのサポート体制が整っていること、建物のマッピングに AI が使用されていることです。しかし、歴史を紐解けば 10 億ドルを費やしてもほとんど影響がない可能性も残されているため、行動を起こして、フォローアップしていく必要があります。

何が自信の源泉になっていますか？

私はケニアの市民であり、適切な教育と適切な機会を得ることができた幸運なアフリカ人です。今の私があるのはそのおかげです。自分自身への自信もありますが、私よりも成功できる自分のような人間が 100 人、あるいは 1,000 人いるかもしれないということに、もっと大きな確信があります。Google Cloud を利用すれば、そうした人たちにチャンスを与えられると強く信じています。うまくいけば、その成果は世界を驚かせることになるでしょう。今こそ行動のときです。

- Google Cloud コンテンツおよび編集担当チーム