ソブリン AI の新時代を切り開く: Google Distributed Cloud の最新イノベーション
Muninder Sambi
VP, Product Management & Supply Chain, Google Distributed Cloud
※この投稿は米国時間 2026 年 10 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
企業におけるエージェント システムは、試験運用から本番環境への移行が急速に進んでいます。しかし、データ主権、防衛、インテリジェンス、重要インフラに関する厳格な規制が適用される組織では、機密データをパブリック クラウドに送信することは多くの場合、選択肢になりません。かといって、切断された境界内に独自の AI スタックを構築するには、数か月を要することもあります。フロンティア モデル、強化されたセキュリティ、高いパフォーマンスが不可欠で、最も機密性の高いデータが存在する場所に直接デプロイすることが求められます。
Google Distributed Cloud(GDC)エアギャップの最新のイノベーションは、こうした課題に苦慮している組織にとって大きな飛躍であり、もはやこのようなトレードオフを強いられることはありません。Gemini を使用したエンタープライズ検索機能、オープン ウェイト モデルのサポート、すぐに使える ISV アプリケーション、次世代のアクセラレーション インフラストラクチャ、新しいパートナーのサポートがすべて、主権のあるエアギャップ環境に直接デプロイできるようになりました。
ここでは、ソブリン AI とエンタープライズ検索、次世代インフラストラクチャ、成長を続ける ISV パートナー エコシステムという 3 つの柱にわたってリリースされる主な機能の概要をご紹介します。
GDC 技術スタック: インフラストラクチャ、フロンティア モデル、データ、アプリケーション
GDC の技術スタックは、基盤モデルとオープンモデルの柔軟性、直感的ですぐに使えるユーザー エクスペリエンス、高性能なデータ処理を組み合わせることで、孤立したインフラストラクチャを最新のエージェント イノベーション プラットフォームに変革します。


GDC のアーキテクチャと機能の概要
では、GDC のイノベーションをご紹介しましょう。
- Gemini on GDC エンタープライズ検索: エアギャップのある環境では、アナリストやナレッジ ワーカーが、区分化されたドキュメント、傍受した音声、センサー動画を手作業で選別するのに貴重な時間を費やしています。エージェント システムはこれらのプロセスを効率化できますが、そのような機能を構築するには、多くの場合、数か月にわたるカスタム開発が必要です。Gemini on GDCのエンタープライズ検索機能(プレビュー版)により、組織はすぐに使える会話型インターフェースを利用できるため、膨大なデータ リポジトリに対してほぼ瞬時にクエリ、プロンプト、要約を実行できます。テキストのみのオープンソースの代替手段とは異なり、このマネージド アーキテクチャは、Gemini エンベディング モデルを介してネイティブなマルチモダリティ サポートを提供し、テキスト、音声、動画の各モダリティに対して高スループットのスケーリングと低レイテンシの推論パフォーマンスを組み合わせています。組み込みの検索拡張生成(RAG)により、インデックス作成とインタラクションが主権境界内に厳密に維持されるため、セキュリティを犠牲にすることなく分析情報を迅速に取得できます。
- フロンティア モデルとオープン ウェイト モデルの拡張: Google Cloud は、Gemini のようなフロンティア モデルをエアギャップ デプロイメントに導入した最初のハイパースケーラーの一つです。GDC エアギャップで一般提供が開始された Gemini 3.5 Flash は、超低レイテンシの推論、マルチモーダル理解、長いコンテキストの処理を、エアギャップの境界内で完全に実現します。これにより、ユーザーはレポートから画像、録音まで、大量の現場情報を迅速に処理できます。また、Gemma や Mistral などの主要なオープンモデルのサポートも開始されます。これにより、アーキテクチャとワークロードの選択肢が広がり、管理された同じプラットフォーム上で各ワークロードに適切なモデルを柔軟に適合させることができます。
GDC を支える次世代 IaaS
最新のエージェント システムとメモリを大量に消費するエンタープライズ ワークロードを同じインフラストラクチャで実行するには、妥協のない基盤が必要です。GDC エアギャップは、コンピューティングからネットワーキング、セキュリティにわたって新しい高度な Infrastructure as a Service(IaaS)スタックを備えており、AI ワークロードと従来のワークロードを並行して実行し、必要なパフォーマンスと保護を実現できます。
- 次世代の高性能エージェント インフラストラクチャ: NVIDIA Blackwell Ultra アーキテクチャを採用した NVIDIA HGX B300 システムが、GDC エアギャップで一般提供されました。これにより、Gemini やオープンモデル、そしてそれらを基盤とするエージェントを本番環境規模で提供するためのコンピューティングを、ローカル環境で利用できるようになります。VM あたりのネットワーク帯域幅が最大 32 Gbps になった VM ネットワーキング(25 Gbps から増加)と組み合わせることで、GPU へのデータ転送が高速化され、推論パイプラインにおけるボトルネックが軽減されます。
- 復元力のあるエンタープライズ グレードのネットワーキング: フルマネージドの Cloud DNS が GDC で一般提供されたことで、プラットフォーム チームは、使い慣れた Kubernetes API やコマンドラインで DNS レコードを管理できるようになりました。エアギャップ内にデプロイ、パッチ適用、メンテナンスを行うサードパーティの DNS インフラストラクチャは必要ありません。また、ハードウェア オフロードされた IPsec 暗号化により、最大 100 Gbps でノード間トラフィックを保護し、アプリケーションから CPU を消費することなく、転送中の暗号化要件を満たすことが可能になります。
- Elastic を活用した SecOps の実現: エージェント ワークロードが拡大するにつれ、分散環境を保護するためにマシンスピードのセキュリティが求められます。Elastic Security との緊密なインテグレーションにより、Google は GDC エアギャップでの脅威の検出と対応(SIEM と EDR)をモダナイズしています。Elastic Security と GDC エアギャップを組み合わせることで、ケース管理の自動化、行動分析、エージェント駆動型のテレメトリ相関分析が可能となり、平均対応時間(MTTR)を短縮できます。
ソブリン ISV パートナー エコシステムの拡大
インフラストラクチャだけでなく、チームがすでに使い慣れているデータ プラットフォーム、デベロッパー ツール、コラボレーション アプリもミッション達成に欠かせない要素です。そのため、Google は、使い慣れたツールをそのまま使用して AI を導入できるように、GDC でネイティブに実行できるソフトウェアを増やしています。このたび、GDC パートナーを拡充するため、Teradata、Solo.io、Mattermost などの独立系ソフトウェア ベンダー(ISV)をマーケットプレイスに迎えました。
- Teradata は、業界標準のエンタープライズ データ分析とウェアハウス インテリジェンスを分散エッジに拡張します。これにより、複雑な分析パイプラインをローカル AI 推論のすぐ隣で実行し、データを境界外に移動することなく、得られた分析情報に基づいて行動できます。
「規制が厳しく、エアギャップ環境を抱える企業は、生成 AI がもたらす変革力を活用したいと考えていますが、データのプライバシーや分析の厳密性を犠牲にすることはできません。Teradata を Google Distributed Cloud に導入することで、共通のお客様は、データが存在するその場所で複雑な分析ワークロードと AI 推論を実行できるようになります。Google Cloud とともに、ソブリン クラウド インフラストラクチャとエンタープライズ グレードのインテリジェンスの間にある障壁を取り除いていきます。」- Teradata、最高製品責任者、Sumeet Arora 氏
- Solo.io は、API 管理、サービス メッシュ、kagent や agentgateway などのエージェント ネットワーキングをソブリンのデプロイにおいて提供します。これにより、分離されたクラスタ間でマイクロサービスや AI エージェントを安全に接続して管理できます。これには、各エージェントがアクセスできるツールや他のエージェントも含まれます。
- Mattermost は、防衛および公共部門のチームに安全なコラボレーションとミッション クリティカルな運用ワークフローを提供します。これにより、GDC でローカルに実行されるモデルを使用した AI を活用した要約や翻訳など、エアギャップ内で完全にリアルタイムで調整することが可能になります。
ソブリン クラウドの未来を築く
これらの機能を活用すれば、ソブリンが AI 活用に向けた取り組みの足かせとなることはもうありません。GDC は、Gemini とオープンウェイト モデル、マルチモーダル エンタープライズ検索、高性能インフラストラクチャ、組み込みのセキュリティ、成長を続ける ISV エコシステムを、エアギャップ境界内に統合することで、コンプライアンス、セキュリティ、制御を維持しながら、極めて機密性の高いデータを行動につながるインサイトに変換できるようにします。
使ってみる
- Gemini on GDC のエンタープライズ検索に関する技術解説をご覧ください。
- GDC エアギャップのドキュメントをご覧ください。
- デモの日程調整は GDC 担当者にご相談ください。
- Google Distributed Cloud、プロダクト管理およびサプライ チェーン担当バイス プレジデント、Muninder Sambi



