遠隔医療ですべての人が利用できる医療サービスを実現した 5 つの方法
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 7 月 14 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
全米医学アカデミーの討議論文によれば、人々の健康状態の 8 割以上が、健康の社会的決定要因(SDoH)に左右されていると言います。これをさらに細かく見ていくと、要因の半分は教育、雇用、所得、家族、社会的支援、コミュニティの治安、大気質、水質、住居の手に入りやすさ、交通機関の利便性など、社会経済的および物理的な環境要因です。SDoH は医療サービスの利用のしやすさや質に影響するだけでなく、医療サービスの受けやすさが人によって異なる原因の一つにもなっています。
包括的な医療サービスをより多くの人々に効率的に提供するために、医療機関はテクノロジーを活用して対面とオンラインを併用しながら診療や治療を行っていくことになると Google は考えています。
この記事では、あらゆる人に医療サービスを提供するために Amwell 社と Google Cloud が総合的な診療モデルの一環として試した 5 つの遠隔医療の方法をご紹介します。(画像 URL)
距離が治療を受ける障害ではなくなる
860 万人のアメリカ人が、最も近い病院から 30 分以上離れた場所に住んでいます。病院までの車での移動時間が長いと、治療を受けることをためらったり、定期的な通院が難しくなったりする場合があります。一方で、全米で 92% のアメリカ人が、自宅の有線ブロードバンドを使えるか、モバイル ブロードバンドにアクセスできます。簡単な操作で受けられるオンライン診療は、距離のような診療を受ける障害を取り除くことができるのです。
不要な接触によるリスクを避ける
オンライン診療ならば、通院のための移動や待合室での待機、人との直接接触などで病原菌に感染するリスクを心配する必要がありません。そのため、オンライン診療は特に慢性疾患や基礎疾患を抱える患者に適しています。遠隔医療なら、病気に感染しやすい状態にある患者が、重症化するリスクを避けながら継続的に医療サービスを受けられます。患者は自宅にいながらにして、無理をせず、安全に診療を受けることができるのです。
より多くの人に専門的な治療を提供
農村部では、防げたはずの入院や死亡例の 55% が、専門的な治療を受けられないことが理由で発生しています。専門的な治療を受けるためには物理的に近い場所に住んでいる必要がある(そのため通常は都市部でしか受けられない)という制限要因を、遠隔医療で軽減できます。オンライン ソリューションにより、すべての人が場所にかかわらず、一流の専門医の診療を受けることができるのです。
時間と費用の節約
遠隔医療アプリケーションにより対面診療を拡充することで、医療機関はスケジュールの効率性を大幅に改善して収益向上を図るとともに、勤務時間の柔軟性を高めることができます。一方、患者側も交通費や子どもの保育費を節約できるとともに、診療のために仕事を離れる時間を短縮できます。加えて、1 回の通院のたびにかかると言われる 35~690 ドルの費用を節約できます。全米で 2,000 人以上の患者を対象にした COVID-19 Healthcare Coalition による調査では、回答者の 76% が移動がなくなったおかげで診療を受けられるようになったと回答し、65% が診療を受けるために仕事を休む必要がなくなったと回答しました。また、67% は直接医療機関で診療を受ける場合と比べ費用が安くなったと回答しました。
医師の負担を軽減して医師不足に対応
調査によれば、2030 年までには 10 万人以上の医師が不足すると予測されています。医師が不足する将来、遠隔医療は医療の提供方法を改善および効率化することで、より多くの人々の医療ニーズに応えることを可能にします。さらに、トリアージなどのインテリジェンス機能を遠隔医療とともにオンライン診療モデルに統合することで、医療機関における臨床医の燃え尽きを減らせます。
Amwell 社と Google Cloud は、画期的な遠隔医療ソリューションの提供を目指し、ともに取り組んでまいります。このソリューションは、より多くの患者が今までより容易に治療を受けられるようにするとともに、患者と臨床医が治療を継続する間のエクスペリエンスを改善するものです。たとえば、Google Cloud の AI 技術と NLP 技術を活用したリアルタイム字幕と翻訳サービスを Amwell 社のプラットフォームに組み込むことで、より多くの人が医療サービスを受け、意思疎通を図ることができるようになります。
EHR を統合した遠隔医療プラットフォーム、AI、医療用のトレーニングを受けた仮想エージェントなどのクラウド技術と対面診療を引き続き併用した統合ハイブリッド医療モデルの構築に取り組んでまいります。この新たな医療モデルの構築により、未来の医療現場で患者転帰が改善し、医療従事者の負担が軽減されるとともに、より多くの人々に医療サービスを提供できるようになることを、医師として楽しみにしています。
詳しくは、Becker’s Hospital Review との共同執筆によるホワイトペーパー「Healthcare’s Virtual Transformation(仮想化による医療変革))」をダウンロードしてお読みください。
1: 「Social Determinants of Health 101 for Health Care: Five Plus Five(医療のための健康の社会的決定要因の基礎: 5 つのポイントと推論」、全米医学アカデミー、2017 年 10 月
-医学博士、Google Cloud によるヘルスケアとライフ サイエンスの南北アメリカ マーケット リード Esteban López
-Amwell 社医学博士、医学ディレクター Cynthia Horner