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デベロッパー

AI を強化: プロダクション レディな推論のブループリントとしての GKE 推論リファレンス アーキテクチャ

2025年8月29日
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Aaron Rueth

Cloud Solutions Architect

Mofi Rahman

Google Cloud Advocate, Google Kubernetes Engine

※この投稿は米国時間 2025 年 8 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

AI の時代が到来し、あらゆる組織がイノベーションの推進、プロダクトの強化、まったく新しいユーザー エクスペリエンスの創出に向けて、強力なモデルのデプロイを急いでいます。しかし、テスト環境でトレーニングしたモデルを、スケーラブルで費用対効果の高い本番環境グレードの推論サービスに移行するには、エンジニアリング上の大きな課題があります。この過程には、インフラストラクチャ、ネットワーキング、セキュリティ、およびすべての Ops(MLOps、LLMOps、DevOps など)に関する深い専門知識が必要なのです。

本日は、これを大幅に簡素化するフレームワークをご紹介します。Google は、Google Kubernetes Engine(GKE)に推論ワークロードをデプロイするための包括的でプロダクション レディなブループリントである、GKE 推論リファレンス アーキテクチャを発表します。

これは単なるガイドではありません。GKE を推論に最大限に活用するためにそのまま使用できる、明確な方針に基づく自動的・実用的なフレームワークです。

強固な基盤: GKE ベース プラットフォーム

走り始めるには、まず地面を整えることです。このリファレンス アーキテクチャは、GKE ベース プラットフォーム上に構築されています。これは、GKE 上のあらゆる高速ワークロードに合理化された安全な環境を提供する、コアとなる基盤レイヤと考えることができます。

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Infrastructure as Code(IaC)の原則に基づき、Terraform を使用して構築されたこのベース プラットフォームは、以下のような特長を備えた堅牢な基盤として機能します。

  • 自動化された再現可能なデプロイ: インフラストラクチャ全体をコードとして定義し、一貫性とバージョン管理を実現します。

  • 組み込みのスケーラビリティと高可用性: 自動スケーリングをネイティブにサポートする、障害時の復元力に優れた構成を実現します。

  • セキュリティのベスト プラクティス: プライベート クラスタ、Shielded GKE Nodes、安全なアーティファクト管理などの重要なセキュリティ対策が最初から実装されています。

  • 統合されたオブザーバビリティ: Google Cloud Observability にシームレスに接続し、インフラストラクチャとアプリケーションを詳細に可視化します。
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この標準化されたベースを出発点とすることで、安全でスケーラブルかつ管理しやすい基盤を活用して短期間で本番環境への移行を実現できます。

推論に最適化されたプラットフォームのメリット

GKE 推論リファレンス アーキテクチャは、ベース プラットフォームが提供する基盤の上に構築される特殊な高性能エンジンです。ML モデルのサービングにおける独特の課題を解決するために、特別に調整された拡張機能ともいえます。

AI 推論ワークロードに Google の高速化プラットフォームを使用するメリットは次のとおりです。

1. パフォーマンスと費用を主軸とした最適化

推論では、レイテンシ、スループット、費用のバランスを取る必要があり、このアーキテクチャはそのバランスを最適化するように調整されています。

  • インテリジェントなアクセラレータの使用: GPU と TPU の使用を合理化し、カスタム コンピューティング クラスを活用することによって Pod が適切なハードウェアに確実に配置されるようにします。ノード自動プロビジョニング(NAP)を使用すると、クラスタは適切なリソースを必要に応じて自動的にプロビジョニングします。

  • よりスマートなスケーリング: 基本的な CPU とメモリのスケーリングを超えて、Horizontal Pod Autoscaler(HPA)によるモデルのスケーリングを可能にする、カスタム指標アダプタが統合されています。スケーリングは、秒間クエリ数(QPS)やレイテンシなどの実際の推論指標に基づいて行われるため、発生する料金は使用分のみです。
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  • モデルの読み込みの高速化: モデルが大きいほどコンテナ イメージも大きくなりますが、GKE の Container File System API とイメージ ストリーミング、Cloud Storage FUSE を活用することで、Pod の起動時間が大幅に短縮されています。モデルデータがバックグラウンドでストリーミングされる間にコンテナを起動できるため、コールド スタートのレイテンシが最小限に抑えられます。

2. あらゆる推論パターンに対応するスケーラビリティ

このアーキテクチャは、リアルタイムの不正検出、分析のバッチ処理、大規模な最先端モデルのサービングなど、あらゆる処理に対応できるように設計されており、次の推論のフレームワークを提供します。

  • リアルタイム(オンライン)推論: インタラクティブなアプリケーション用の低レイテンシの応答を優先します。

  • バッチ(オフライン)推論: 時間的制約の厳しくないタスクのために、大量のデータを効率的に処理します。

  • ストリーミング推論: Pub/Sub などのソースからデータを受け取ると同時に、順次処理していきます。

クラスタ オートスケーラーや Gateway API などの GKE 機能を利用して、大量のリクエストをスムーズに処理できる高度で柔軟かつ強力なトラフィック管理を実現しています。

3. 複雑なモデルの運用の簡素化

このアーキテクチャには、最新の AI モデル、特に LLM のサービングの複雑さを抽象化する機能が組み込まれています。量子化(INT8/INT4)、テンソル並列処理とパイプライン並列処理、KV キャッシュの最適化(ページング アテンションやフラッシュ アテンション)といった、高度なモデル最適化手法のガイダンスと統合手段が含まれています。

さらに、GKE を Autopilot モードで使用すればノード管理をすべて Google に任せられるため、インフラストラクチャではなくモデルに集中できます。

今すぐお試しください

GKE での推論プラットフォームの構築にご関心をお持ちいただけましたか?GKE 推論リファレンス アーキテクチャは、Google Cloud Accelerated Platforms GitHub リポジトリで今すぐご利用いただけます。リポジトリには、Terraform コード、ドキュメント、ユースケースの例など、必要なものがすべて含まれています。

すぐに利用を開始できるよう、ComfyUI などの一般的なワークロードや汎用オンライン推論を GPU と TPU を使用してデプロイするための例も用意されています。

GKE ベース プラットフォームの堅牢な基盤と、推論リファレンス アーキテクチャによるパフォーマンスと運用の強化を組み合わせることで、AI ワークロードを自信を持って迅速かつ効率的にデプロイできます。もう一から作り始める必要はありません。GKE で未来を築きましょう。

GKE で築く AI の未来

GKE 推論リファレンス アーキテクチャは、単なるツールの集合ではありません。GKE を推論ワークロードの実行に最も適したプラットフォームにするという Google の決心を反映したものです。明確な方針に基づいたわかりやすく拡張可能なアーキテクチャを提供することで、Google は、お客様が AI への移行を加速し、革新的なアイデアを実現できるよう支援します。

GKE 推論リファレンス アーキテクチャを元に構築されるイノベーションを楽しみにしています。ぜひ、フィードバックやご意見を GitHub リポジトリからお寄せください。

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-クラウド ソリューション アーキテクト Aaron Rueth

-Google Kubernetes Engine、Google Cloud アドボケイト Mofi Rahman

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