Google Cloud Platform

株式会社インフォステラの導入事例:注目の宇宙通信ベンチャーが、Google Cloud Platform を選んだ理由は、マネージドな Kubernetes 環境、ハイ パフォーマンス、そしてグローバル ネットワーク

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宇宙というフロンティアを舞台に、これまでにない画期的な事業を展開している日本発の宇宙通信ベンチャー、インフォステラ。人工衛星ビジネスの常識を大きく変えると話題の注目サービス「StellarStation」のバックエンドに GCP が採用された理由を、同サービスの開発を主導してきた 3 人のエンジニアに語っていただきます。

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利用している Google Cloud Platform サービス

Google Kubernetes EngineCloud SQLGoogle Cloud StorageCloud Pub/SubGoogle Cloud Load BalancingCloud IoT CoreGoogle BigQuery など

写真左から

  • Head of Platform Engineering 星 竜一氏
  • Chief Architect アヌラグ アグラワル氏(ラグさん)
  • Head of Ground Systems Engineering アンドリュー ヤング氏

株式会社インフォステラ

2016 年に創業された、宇宙通信ベンチャー。人工衛星との通信を行う地上局共有プラットフォーム「StellarStation」のほか、世界中の衛星運用者とメーカー、大学、サービス提供者を繋ぐ EC プラットフォーム「Makesat」など、人類が宇宙空間をより有意義に活用できるようにするためのサービスを開発・提供している。現在の従業員数は 22 名(2018 年 12 月現在)。


人工衛星の利活用拡大を担う画期的サービスに GCP を採用

現在、地球の上空には約 4,400 機(2017 年時点)もの人工衛星が飛び回っており、日々、さまざまな情報を地上に送信しています。天気予報などに使われる気象衛星はその代表例。最近の事例では、衛星のカメラで撮影した駐車場の利用状況から顧客来店動向を予測するといった試みが話題になりました。今後、人工衛星と連携する IoT デバイスなど、人工衛星の利活用・ビジネス化はますます加速していくとみられています。

そして、こうした人工衛星の運用に欠かせないのが地上のインフラ。人工衛星の運用には、衛星が取得した情報を受信したり、衛星に新たな指示を送信するための地上側設備(地上局)が必要です。しかし、小規模な会社がそれを独自に用意するのは簡単なことではありません。結果、これまでは、既存の地上局と個別に契約し、設備を間借りするというやり方が一般的でした。

なお、人工衛星は地球周回軌道を高速に回り続けるため、地上局との通信が行えるのは、衛星がその上空を通過するわずかな時間(10 分程度)のみ。したがって、頻繁に通信を行いたい場合は、地球上のさまざまな場所にアンテナを確保せねばならず、それも大きな負担となっています。

そんな中、今、業界内で注目を集めているスタート アップが、株式会社インフォステラ。同社の基幹事業である「StellarStation」は、一言でいうと、衛星通信インフラのクラウド サービス化。インフォステラは、既存の地上局運営者から、アンテナ非稼働時の利用権を引き受け、それを必要とする人工衛星運用者にオンデマンドで提供することで、必要な地上局を、必要なだけ、リーズナブルに利用できるようにしたのです。(2018 年 10 月よりサービス提供開始)

また、地上局と利用企業の間は、Google Cloud Platform(GCP)のグローバル ネットワークで接続。世界中どこからでも、必要な地域の地上局に接続し、受信した情報を引き出せるようにしました。

「GCP を StellarStation サービスのインフラに採用したのは、Google Kubernetes Engine(GKE)を使いたかったから。Kubernetes は、欲しい状態を定義しておけば、後はすべてマネージドでやってくれるのが素晴らしい。サービスをできるだけ少ない人数で開発・運用していきたいスタート アップにとって、それは非常に魅力的。事実、StellarStation は 4 人のエンジニアで開発でき、そこに専任インフラ エンジニアはいませんでした。そのうえで、何よりパフォーマンスですね。人工衛星との通信は、わずかな時間に、リアルタイムですべてのやり取りを終わらせなければならないため、多くのお客さまが、通信速度やレイテンシーを重視します。そこで本格的な開発に先駆けて速度試験を実施。ここで十分に満足できる結果を得られたことが、決定打となりました。また、コストも想定していたよりもずっと安価で助かっています。」(ラグさん)

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「我々のお客さまは世界各国にいらっしゃいますので、GCP がグローバルに展開されていることも我々のサービスにマッチしていました。お客さまはレイテンシーをとても気にされるので、GCP の最寄りリージョンに Kubernetes のクラスターを作れるというのは非常に大事なことなのです。先日もイギリスに新しいクラスターを追加しました。」(星さん)

さらに、StellarStation のサービスを GCP 上に展開するにあたっては、Google のセキュリティの高さも役立ったそうです。

「実は、人工衛星事業を含めた、宇宙業界全体では、パブリック クラウドをバックエンドに利用すること自体が珍しいんです。宇宙業界は極めて先進的な業界ではあるものの、ソフトウェアについてはやや保守的なところがあり、当初はインターネットにデータを流すというだけで不安がられました。その際、Google がしっかりとしたセキュリティ対策を行っていることが有効な説得材料になりました。もちろん、通信のレイヤーだけを暗号化すれば安心というわけではありません。その点、GKE なら、OS やライブラリが自動的に最新のものに更新されるなど、運用環境の安全性もしっかり担保してくれます。自前でサーバーを立てていたらこうはいかなかったでしょうね。」(星さん)

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「そのほか、Cloud Identity-Aware Proxy(Cloud IAP) を使って、G Suite と同じ情報で QA 環境や社内ツールの権限管理ができるのも便利でした。スタート アップの初期では面倒な権限管理をおざなりにしてしまいがちなんですが、GCP なら手間をかけずに設定できます。二段階認証が必須となっているのも、セキュリティ的には安心ですね。」(ラグさん)

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上図は、現在の StellarStation のシステム構成図。衛星の電波を受信できる時間帯になると、地上局上の「StarPass」がそのデータを取得し、生データも含めてすべてを Google Cloud Storage に保存、ユーザーは stellarstation.com から必要なデータを取得できます。そのうえで、衛星とのリアルタイムなやり取りを必要とするユーザーに向けてストリーミング データも提供。GKE 上に API ゲートウェイを設け、リアルタイムでの通信を可能にしています。なお、この際、サーバー間の通信は gRPC を使用。宇宙業界で求められる通信の安全性も担保しています。また、通信ログは Google BigQuery に格納し、解析などに利用しているそうです。

今後も Google プロダクトを駆使してサービスを拡充していきたい

インフォステラならではといえるのが、打ち上げたばかりの人工衛星のサポート用途。打ち上げ直後の、不安定な人工衛星を安定させるために、1 時間でも早く人工衛星と通信したいという事業者からの引き合いがあるのだといいます。

「人工衛星が不安定なのは打ち上げ直後の数週間、そのために世界中に自前でアンテナを立てるのは現実的ではありません。その点、StellarStation なら、今だけピンポイントでこのアンテナを使いたいという用途にも対応できます。共用レンタル サーバーのようなものだと思っていただけるとわかりやすいと思います。」(星さん)

最後に、StellarStation の今後の展望、ミッションについて、Google のプロダクトがどのようにお役に立てそうか聞いてみました。

「人工衛星と地上の通信にはいくつかの周波数帯を使っているのですが、現在、我々が対応しているのは通信速度約 9,600 bps という低速な UHF 帯のみ。さらなる高速化を実現できる S バンド(数 Mbps)、X バンド(数百 Mbps)に対応するのが次のミッションです。これらを実現するには、さらなるプロセッシング パワーが求められるのですが、Google Cloud Machine Learning Engine なども駆使して、何とかこれを GCP 上で実現したいと考えています。」(ヤングさん)

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「地上局と GCP の間を専用線で接続できるようにしてくれる、Dedicated Interconnect にも興味があります。それによって、少しでも通信を高速にしたいですね。そして、後はどれだけ地上局を増やしていけるかです。アンテナが多ければ多いほど、通信のチャンスが増えますから、お客さまが欲しいと思う場所すべてに展開していけるようにしていきたいです。」(星さん)

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