Agent Compute Engine と拡張されたエージェント ガバナンスのご紹介

The Google Cloud infrastructure team
AGNTCon + MCPCon にて、ビジネス向け Gemini を支えるインフラストラクチャを発表
※この投稿は米国時間 2026 年 10 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
ブログ執筆者: Nirav Mehta(プロダクト管理担当バイス プレジデント)、Michael Bachman(バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー)、Kevin Hutchins(プロダクト管理担当バイス プレジデント)
Gemini を地球規模に展開した経験から、自律型エージェントを安全に実行することは、本質的にインフラストラクチャの課題であることを、身をもって学びました。シングルターン プロンプトからインタラクティブなエージェントへの移行には、実行と制御における新たなパラダイムが不可欠です。大規模な同時接続エージェント セッションに対応するため、Google はこれらの課題解決に向けて、Gemini 向けの新たなコンピューティング ソリューションおよびガバナンス ソリューションを開発しました。
このたび、AGNTCon + MCPCon において、Google は Agent Compute Engine をリリースし、これらの機能をユーザーの皆様にお届けします。Agent Compute Engine は、業務タスクを実行するエージェントとしての Gemini をすでに支えている、専用設計のコンピュート サービスです。今後数か月以内にプレビュー版の提供を開始する予定で、ハードウェア レベルで分離されたランタイム サンドボックス セキュリティを実現します。さらに、ビジネス向け Gemini のエージェント ガバナンス機能を拡張し、エージェントがどのような環境で稼働していてもサポートできるようにします。これらの機能を組み合わせることで、エージェントの実行、統制、スケーリングに必要な制御を実現できます。
Agent Compute Engine の仕組み
Agent Compute Engine は、コードの記述と実行、ツールの実行、ブラウザの操作、エンタープライズ ワークフローのオーケストレーション、そして迅速かつ大規模な反復処理といった、Google の膨大なエージェント ワークロードを処理するニーズから生まれました。従来のコンピュート プリミティブは一般的なワークロードには適しているものの、AI エージェント特有の高度に反復的な性質に合わせて最適化されているわけではありませんでした。
エージェント専用に構築された Agent Compute Engine は、すべての Gemini エージェントに独自の高性能でセキュアなコンピュータを割り当て、動的でリソースの入れ替わりが激しい Gemini セッションを強力に支えます。Agent Compute Engine は、AI エージェント独自のライフサイクル パターンに特化して最適化されており、まもなくこのサービスを使用して独自のカスタム エージェントを駆動できるようになります。主な特長は次のとおりです。
- スピードと効率性: エージェントは常に起動、一時停止、再開を繰り返すため、優れたスピード、スケーラビリティ、そして極めて高い効率性を兼ね備えたアーキテクチャが不可欠です。Agent Compute Engine は高速起動するマイクロ VM を提供するため、エージェント ループや評価スイープでインフラストラクチャの起動待ちが発生することはありません。さらに、複数のエージェントで Google ユーザーをサポートするには、物理マシンのリソースを最大限に引き出す、費用対効果の高いソリューションが不可欠です。Agent Compute Engine は、コピーオンライト メモリ共有を使用して単一のオペレーティング システム テンプレート上で複数のエージェントを実行し、高速なチェックポイントと復元によってアイドル状態のマイクロ VM を一時停止することで、これを実現しています。エージェントがツール呼び出しの実行を完了し、エージェント ループの「思考」フェーズに入ると、マイクロ VM はアイドル状態であることを通知し、ホストはマイクロ VM をアクティブ状態からアイドル状態へと移行させます。つまり、エージェントが人間や外部システムの応答を待っている間、実行中のマイクロ VM を一時停止し、スナップショットから即座に再開できます。
- セキュリティ、分離、ガバナンスの強化: エージェントがより複雑なタスクを担うようになるにつれ、信頼できないコードや敵対的なコードがサンドボックス内で実行されるリスクは常に存在します。Agent Compute Engine を Google のオフロード インフラストラクチャ プロセッシング ユニット(IPU)である Titanium 上で実行することで、信頼できない AI エージェント向けに構築された、シリコンベースの多層防御を実現します。Agent Compute Engine は、独自のゲストカーネルとルートアクセスを備えた、ハードウェア分離型の Cloud Hypervisor 境界を介して強固な隔離を実現します(Agent Compute Engine のマイクロ VM アーキテクチャとセキュリティの詳細については、技術的な解説をご覧ください)。各マイクロ VM は、有効期間の短い認証情報を使用して、エージェント独自の ID で動作します。また、すべてのマイクロ VM には暗号で検証された独自の ID が付与され、サービス認証情報はマイクロ VM 外への送信時に挿入されます。Agent Gateway と統合された Agent Compute Engine は、包括的なオブザーバビリティ、ポリシー管理、セキュリティ評価を提供します。
- 永続性とエンタープライズ インテグレーション: エージェントには、複数の長時間実行セッションにわたってエージェント データを永続化する機能が求められます。これを解決するために、各 Agent Compute Engine マイクロ VM には独自の Hyperdisk が割り当てられており、実行ワークスペースとエージェント コンテキストの永続化を実現しています。さらに、エージェントが有意義な作業を行うには、企業データを移動させることなくそのまま活用できる機能が不可欠です。Agent Compute Engine を Google のクラウドと ID ファブリックに直接組み込むことで、エンタープライズ接続はマイクロ VM 自体を保護するのとまったく同じセキュリティおよび ID モデルによって統制され、統一された ID モデルと監査可能性を実現します。
「Gemini エージェントを地球規模にスケールさせるには、迅速にスピンアップし、極めて効率的に動作するコンピュートが必要です。Agent Compute Engine のマイクロ VM は、世界中のユーザーにインタラクティブなエージェント サンドボックスを提供するために必要な応答性、ハードウェア分離、そしてワークロード密度を実現してくれます。」- Gemini 担当バイス プレジデント兼 Google Fellow、Gautham Thambidorai
Agent Substrate を使用して GKE 上に構築
カスタマイズとマルチクラウドでのポータビリティを求めているプラットフォーム チームや、すでに Kubernetes を標準環境として採用しているプラットフォーム チームには、Google Kubernetes Engine(GKE)上の Agent Substrate が最適です。これは、Kubernetes に同じエージェント ファーストの設計をもたらすオープンソースの実行ランタイムです。エージェントの実行とマシン管理をクリーンに分離する、ゼロトラスト アーキテクチャに基づいて構築されています。エージェントがアイドル状態になると、Agent Substrate はアクティブ メモリのスナップショットを取得してマシンをプールに戻し、再び必要になった瞬間にエージェントを再開します。オープンソースかつ Kubernetes ネイティブであるため、カスタマイズや拡張が可能で、既存のワークロードと並行して実行できます。Agent Substrate の主な特長は次のとおりです。
- 高密度: Agent Substrate は、各エージェントに対して完全なカーネル分離と ID ベースのネットワーク セキュリティを維持しながら、従来の環境と比較して最大 10 倍ものコンピュート密度を実現します。
- 1 秒未満のアクティベーション: 20 万エージェント規模のベンチマーク検証において、Agent Substrate は一時停止および再開のレイテンシを 500 ミリ秒未満に抑えつつ、毎秒 500 回のアクティベーションを維持しました。
- セキュア バイ デフォルト: Agent Substrate は、いわば「エージェントのためのゼロトラスト」です。各サンドボックスには、選択したマイクロ VM または gVisor による強力なハードウェア分離機能が組み込まれています。すべてのエージェントには暗号技術で保護された独自の ID が付与され、この ID はきめ細かいネットワーク ポリシーを適用し、エージェント自身の手が届かない場所で認証情報を注入する Egress プロキシとペアになっています。今後は、Agent Substrate ランタイム アーキテクチャを拡張し、より広範なビジネス向け Gemini ガバナンス フレームワークと統合していく予定です。
- オープンソースのポータビリティ: どのようなコンピュート環境の Kubernetes クラスタでも実行でき、Claude Code、OpenClaw、Hermes をはじめとするあらゆるエージェント フレームワークやハーネスと連携します。
- 動的ストレージ: Filestore エージェント ボリュームと統合され、1 秒未満の再開レイテンシでアクティブなコンピュートとともにスケールし、マルチエージェント ワークフローのための単一の共有ワークスペースを提供します。
Nous Research のような最先端の AI チームは、この信頼性の高いアーキテクチャをすでに使用して、マルチテナント エージェントを既存の顧客インフラストラクチャに直接かつ効率的にデプロイしています。
「Hermes Enterprise は、お客様が既存のインフラストラクチャにデプロイできるようにすると同時に、エージェントごとの分離と拡張可能なアクセス制御を処理できるように構築されています。Agent Substrate は、プラットフォーム レイヤでこの両方に対処しつつ、貴重なコンピュート リソースの消費も抑えます。Agent Substrate を使用した経験から、エージェント ワークロードの増加に合わせてアーキテクチャを効率的にスケールできると確信しています。」- Nous Research、最高ビジネス責任者、Hervé Bizira 氏
あらゆる環境で稼働するエージェントのガバナンス機能を拡張
組織が自律型エージェントを孤立したパイロット運用からマルチランタイムの本番環境フリートへと移行するにつれて、従来のセキュリティ フレームワークの強化と進化が不可欠となっています。お客様は、エージェント、ツール、モデル、スキル、データにわたる動的で非決定的なインタラクション パスの保護、最小権限アクセスに基づく分散ランタイムによるデフォルト拒否体制の維持、非同期エージェント アクションの監査可能性の確保という 3 つの課題に直面しています。強力なエージェント ガバナンスがなければ、エージェントの無秩序な増加は、シャドー AI、データの引き出し、追跡や監査が困難なエージェント アクションなどのリスクをすぐに引き起こします。
これらの課題を解決するために、Google は Gemini プラットフォームに以下のような堅牢なエージェント ガバナンス機能を組み込みました。
- Agent Gateway: クライアントからエージェント、そしてエージェントからあらゆる場所へのトラフィックを制御する航空管制官として機能します。機密データの保護、エージェント攻撃保護、セマンティック ガバナンス、独自のポリシーを導入する機能など、幅広いガバナンスおよびセキュリティ ポリシーを統合しています。
- Agent Registry: 承認されたすべての実行中エージェント、ツール、MCP サーバー、スキル、モデル、エンドポイントの信頼できる情報源として機能する中央リポジトリを提供し、適用されたポリシーを介してランタイム アクセスを統制します。
- Agent Identity: オープン標準規格に基づく SPIFFE を使用して各エージェントに一意でセキュアな ID を割り当て、認証、アクセス制御、監査のためのデジタル署名として機能します。
- エージェントのオブザーバビリティ: エージェント セマンティック規則を採用した OpenTelemetry(OTel)準拠のテレメトリーを提供し、Agent Gateway を経由するすべてのモデル呼び出し、ツール呼び出し、エージェント ホップに対して標準化された指標、ログ、分散トレースを出力します。
現在、エージェント フリートは多様な環境で劇的に増加し続けています。そこで Google は、ビジネス向け Gemini のエージェント ガバナンス機能の適用範囲を Google Cloud ランタイム、クロスクラウド、オンプレミス、クライアント デバイスへと拡大し、稼働するあらゆる場所でエージェントを管理および保護できるようにしています。これには、次の機能が含まれます。
- Google Cloud ランタイムの幅広いカバレッジ: Agent Runtime、Cloud Run、Gemini プラットフォーム上の Agent Sandbox、GKE、Agent Compute Engine(プレビュー版)全体にわたり、包括的なエージェント ガバナンスを提供します。
- 一貫したクロスクラウド展開: Envoy プロキシベースの軽量なポリシー適用ポイントをデプロイし、マルチクラウドやハイブリッド環境へとガバナンスを拡張します(近日中にプレビュー版を提供予定)。
- エンドポイント上のローカル エージェント向けガバナンス: OS レベルのサンドボックスとローカル ガバナンス サービスにより、管理対象デバイス上の Claude Code や Antigravity CLI などのコーディング エージェントにもガバナンスを拡張します(近日中にプレビュー版を提供予定)。
さらに、Agent Gateway における新しいエージェント ガバナンス機能を発表しました。これにより、きめ細かいコスト管理、インテリジェントなモデル ルーティング、カスタマイズやインテグレーションの簡素化を実現できます。今四半期にプレビュー版で提供される主な機能は次のとおりです。
- トークンとコストのきめ細かいガバナンス: トークン管理により、エージェントやモデル全体でトークンの消費を制御できるため、支出の帰属先を明確にし、予算のガードレールを適用して、トークン指標の信頼できる唯一の情報源を確保できます。
- 適切なモデルへのリクエスト ルーティング: モデル ルーティング ポリシーにより、ユーザーやエージェントからのリクエストを最適なモデルへ振り分け、コストを制御してパフォーマンスを向上させます。
- 拡張可能なポリシー: Service Extensions バインディングにより、インライン プログラマビリティと機能拡張をスマートに実現できます。Google サービス、お客様のカスタム関数、パートナー サービスをデータパスに直接、シームレスに統合できます。
- セキュリティ パートナー エコシステムの拡大: サードパーティの ID プロバイダである Ping Identity、SailPoint、Saviynt による委任されたユーザー認証と、Agent Identity Auth Manager を使用したセキュアな OAuth を提供します。統合パートナーのリストは、こちらをご覧ください。
- エージェントとツールの簡素化されたセキュアな接続: Cloud Run 用エクスプレス リンクを使用すると、エージェントが必要なアクセス先を宣言するだけで、ID トークンの注入をはじめとするコンポーネント間のセキュアな認証済み接続が確立されます。
「L’Oréal の目標は、エージェント型 AI をチーム全員の手に届け、新しいアイデアを実現して美容の未来を創り出せるようにすることです。当社の Beauty Tech Agentic Platform を通じて、AI エージェントは日常業務の一部となりつつあります。Google Cloud のエージェント ガバナンスは、Cloud Run などのランタイム全体で ID、ポリシー、オブザーバビリティを統合し、この大きな目標を、確信を持って推し進める強力な基盤となっています。当社の開発者は、各エージェントのアクセス権限を明確に管理しながら、より迅速にイノベーションを起こすことができます。」- L’Oreal、AI リード エンジニア、Alexandre Frizzo 氏
Google のレジリエンスに優れたエージェント インフラストラクチャを基盤に構築
エージェントの時代を迎えた今、インフラストラクチャのスケーリング手法そのものにも進化が求められています。Agent Compute Engine と Agent Substrate による高パフォーマンスな実行環境に、クロスクラウドへと対応拡張されたビジネス向け Gemini のエージェント ガバナンス機能を組み合わせることで、安全に保護された高密度 AI エージェントのためのレジリエントな基盤を確立しています。
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- コミュニティとともにオープンに構築される Agent Substrate の開発にご協力ください。オープンソース リポジトリにアクセスし、今すぐ GKE でお試しください。
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