特に要求の厳しいアプリ向けの Filestore Enterprise を発表
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 9 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
より多くの組織が Google Cloud に移行する中で、特にリフト&シフトを計画しているアプリケーションに対しては、ストレージ アーキテクチャを検討する必要があります。実際、多くの既存アプリケーションは、Cloud Storage のようなクラウドベースのオブジェクト ストレージを使用することができず、代わりにファイルベースまたはブロックベースのサービスが必要になります。
今回発表する Filestore Enterprise は、99.99% のリージョン可用性を実現するサービスレベル契約に基づき、重要なファイルベースのアプリケーションを安心して Google Cloud にデプロイできる、フルマネージドかつクラウドネイティブな NFS ソリューションです。2018 年に最初に発売された Filestore プロダクト ファミリーには、現在以下のものがあります。
Filestore Basic: ファイル共有、ソフトウェア開発、GKE ワークロード用
Filestore High Scale: ゲノム解読や金融サービスの取引分析などのハイ パフォーマンス コンピューティング(HPC)アプリケーション要件に対応
Filestore Enterprise: SAP などの重要なアプリケーションやGKE ワークロード用
99.99% のリージョン可用性 SLA を提供する Filestore Enterprise は、高い可用性が要求されるアプリケーション向けに設計されています。数回マウスをクリックする(または数行の gCloud CLI や API 呼び出しを実行する)だけで、リージョン内の 3 つのゾーンにシームレスかつ同期的に複製される NFS 共有を簡単にプロビジョニングできます。リージョン内のいずれかのゾーンが利用できなくなった場合でも、Filesore Enterprise は透過的にデータをアプリケーションに提供し続け、お客様側での操作を必要としません。
また、重要なデータをさらに保護するため、Filestore はファイル システムのスナップショットを定期的に作成し、必要な数のリカバリ ポイントを保持できるようになっています。Filestore を使用すると、事前に作成されたスナップショット リカバリ ポイントから、個々のファイルまたはファイル システム全体を 10 分以内で簡単に復元できます。
Filestore Enterprise と SAP の連携
SAP は、ブロック(データベース階層)とファイル(アプリケーション階層)の両方のストレージに依存する重要なアプリケーションの良い例です。先日、Google と SAP は、組織が SAP を Google Cloud に移行するのを支援するための共同パートナーシップを発表しました。Filestore Enterprise の提供は、そのパートナーシップを実現するための鍵です。
昨年、Google と Sabre は、旅行の未来を築くための 10 年間のパートナーシップを発表しました。
Sabre のエンタープライズ アーキテクチャ担当シニア ディレクターである Patrick Uckermark 氏は次のように述べています。「IT アプリケーションのモダナイゼーションと移行プロジェクトを進める中で、データセンターを廃止し、アプリケーションとインフラストラクチャを Google Cloud で運用していく予定です。そのためには、GKE にデプロイしているステートフル アプリケーションである SAP に対応し、かつ当社の旅行接客ソリューション ビジネスをサポートする信頼性の高いストレージが必要です。これまでのオンプレミス ストレージ ベンダーでは複雑なストレージ構成と管理を必要としていましたが、そこからの移行に期待しています。Filestore Enterprise の使いやすさ、リージョンの可用性、スナップショット機能を活用して、SAP、GKE、およびその他の重要なアプリケーションをサポートしていく予定です。」
SAP のような重要なアプリケーションでは、データベース階層とアプリケーション階層の両方で高い可用性が要求されます。この要件を満たすために、お客様はネイティブ データベースの高可用性を利用して、SAP データベース階層を複数のゾーンの Persistent Disk にデプロイできます。同様に、多くの VM 間でファイル共有を必要とする SAP NetWeaver のアプリケーション階層を Filestore Enterprise にデプロイできます。これにより、リージョン内の複数のゾーンにデータが複製されます。この結果、高可用性を備えた 3 層構造のミッション クリティカルなアプリケーション アーキテクチャが完成します。
IT 組織が Google Kubernetes Engine(GKE)のコンテナにステートフル アプリケーションをデプロイする事例も増加しています。そのため、多くの場合、これらのアプリケーションをサポートするために使用するインフラストラクチャを再検討する必要が生じます。現在のところ、アプリケーションの要件に応じて、Persistent Disk(ブロック)、Filestore Basic または Enterprise(ファイル)、Cloud Storage(オブジェクト)をご利用いただけます。マネージド Kubernetes Container Storage Interface(CSI)ドライバを搭載した Filestore Enterprise は、複数の GKE Pod を必要とする組織が共有ファイルにアクセスできるようにすることで、ミッション クリティカルなワークロードの可用性向上を実現します。(今回、プレビュー版の Backup for GKE も併せて発表しています。)
SADA Systems は、Google Cloud 販売パートナー オブ ザ イヤーを 3 回受賞しており、これまで何千社もの企業を Google Cloud に移行してきました。SADA の CTO である Miles Ward 氏は、次のように述べています。「私たちはクラウド移行戦略に着手している多くの組織と協働していますが、こういった組織では多様なアプリケーション要件を満たすために、ブロック、オブジェクト、ファイルの各ストレージ ソリューションを組み合わせる必要があります。当社のチームは、お客様との連携のもとで GKE のワークロードに Filesore Enterprise を活用し、クラウドネイティブな NFS ソリューションのシンプルさを体験していただけることを期待しています。さらに、99.99% のリージョン可用性は、Google Cloud でより多くのミッション クリティカルなアプリケーションを実行したいと考えている私たちのお客様にとって、非常に価値のあるものになるでしょう。」
Filestore Enterprise の使用を開始するには、10 月 6 日に開催されるウェブセミナー Explore What's New with Google Cloud Storage(Google Cloud Storage の新機能のご紹介)と Google Cloud Next ‘21 INF206 ブレイクアウト セッションにご登録ください。Sabre の Patrick Uckermark 氏が、Filestore を活用してモダナイゼーションの取り組みをサポートする方法について詳しくご説明します。
-ストレージ担当シニア プロダクト マネージャー Sean Derrington