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ストレージとデータ転送

リージョン、デュアルリージョン、マルチリージョンの Cloud Storage から選択する方法

2023年2月14日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 7 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Cloud Storage 内のデータは、どのディスクやマシン、データ ウェアハウスにも結びつけられていません。そのため、対象のユーザーが世界中に散らばっていても、データにアクセスしやすくなっています。Cloud Storage 管理者は、ユーザーとコンピューティングの場所やデータの利用状況に合わせて、データを単一のリージョンに置くか、複数リージョンのグループに置くかを選択できます。アプリケーションが違えば、パフォーマンスや場所や冗長性の観点での要件もそれぞれ異なり、Cloud Storage はそういった要件のほとんどに対応できます。しかし、状況は常に変化します。予算が削られる、ワークロードが変化する、新たなビジネス上の要件が浮上するなどといったことが起こりえます。従来のマルチリージョン バケットが最適なロケーション タイプでないこともあるでしょう。そのような場合、現在のワークロードには Regional Storage が最適だと思われます。

このブログ投稿では、リージョン、デュアルリージョン、マルチリージョンの Cloud Storage のうちから選択する際に分析する必要のある要素を概説します。また、次回のブログ記事では、あるロケーション タイプから別のロケーション タイプにデータを移行する方法について、マルチリージョンからリージョンへの移行例を交えて説明します。

ロケーション タイプの選択

Cloud Storage にオブジェクトを格納するには、そのオブジェクトを入れるバケットをまず作成する必要があります。バケットを作成する際、次の 3 つのロケーション タイプのいずれかにバケットを分類します。

  • リージョン: サンパウロなど

  • デュアルリージョン: 東京と大阪など

  • マルチリージョン : US など

この分類はバケットに対しては永続的ですが、次のセクションで説明するとおり、その中のデータはロケーション タイプが異なる新しいバケットにいつでも移動できます。

ロケーション タイプごとに、料金、可用性、パフォーマンスが異なります。詳細は Cloud Storage ドキュメントをご覧ください。ロケーション タイプを問わず、いつでもどのリージョンからでもデータにアクセスできますが、その際の費用とパフォーマンスは異なる場合があります。

パフォーマンスに関する注意事項

アーキテクチャ上、マルチリージョン ストレージはリージョンまたはデュアルリージョンとは異なります。つまり、データの格納場所は Google によって(大陸内の)さまざまなリージョンから選択されるため、時間の経過によって変化することがあります。データの格納場所や受信トラフィックの転送先は、地理的な近さだけでなく、ストレージ容量やネットワーク負荷、その他さまざまな要因によっても左右されます。この動的なアーキテクチャにより、リージョン ストレージよりも可用性と冗長性に優れたマルチリージョン ストレージの提供が可能になり、料金はデュアルリージョン ストレージよりも安くなります。ただし、マルチリージョンのデータを離れたリージョンから読み取ると、レスポンス時間に予想外のレイテンシが生じて、下り(外向き)ネットワークの料金が高くなる可能性もあります。

可用性に関する考慮事項

リージョン ストレージでは、同じリージョン内でデータを処理して提供する限り、最大限のコスト パフォーマンスが発揮されます。しかし、可用性と復元性の面で、リージョン ストレージにはトレードオフが存在します。データは単一のリージョンにしか保管されないため、そのリージョンでサービスの停止が発生した場合、パイプラインやアプリケーションに深刻な影響が生じる可能性があります。また、他のリージョンからの読み取りと書き込みではそのストレージのリージョンへアクセスしなくてはならないため、ワークロードに顕著なレイテンシが加わる可能性があります。

デュアルリージョン ストレージは、「両方の長所を兼ね備えた」ソリューションです。これは、(リージョンのように)毎秒 TB までの拡張を可能にするだけでなく、2 つ目のリージョンにデータの 2 つ目のコピーを取ることで、リージョンの停止からデータを保護します。リージョン ストレージと同様、デュアルリージョン ストレージは、選択した 2 つのリージョンそれぞれにコンピューティングとストレージを配置することで、高スループットの分析ワークロードを促進する環境をお客様に提供します。

料金に関する考慮事項

最後に考慮すべき要素は費用です。デュアルリージョン ストレージは、他の 2 つのロケーション タイプよりも基本ストレージ費用が高く、マルチリージョン ストレージと同様にオブジェクトのレプリケーションに費用がかかります。ただしワークロードによって生じる下り(外向き)の料金によっては、デュアルリージョンが全体で最も高額なオプションになるとは限りません。費用の見積もりには Google Cloud 料金計算ツールを使用します。

これらすべてのことを念頭に置いて、自社のデータが提供するワークロードの種類を考える必要があります。通常、コンピューティングとストレージを同じ場所に配置する分析ワークロードは、リージョン ストレージまたはデュアルリージョン ストレージに特に適しています。一方、広い地理的エリアにコンテンツを提供するワークロード(e コマースやウェブサイトのホスティングなど)の場合は、マルチリージョン・ストレージが最も魅力的なオプションになるでしょう。

次回: あるロケーション タイプから別のロケーション タイプへの移行

どのストレージ オプションを選択したとしても、データをあるストレージ タイプから別のストレージ タイプへ移行する必要は生じます。移行の方法は次回のブログ投稿「Cloud Storage データをマルチリージョンからリージョンに移行する方法」で説明します。


- データ エンジニア Remy Welch
- データ エンジニア Harrison Sweeney

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