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ネットワーキング

Cloud DNS パブリック IP ヘルスチェックのご紹介: マルチクラウド デプロイの復元力を高める

2025年2月28日
George Prokudin

Product Manager

Hemant Kunda

Software Engineer

※この投稿は米国時間 2025 年 2 月 22 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

組織は、アジリティを高め、リソースをより効率的に使用し、さまざまなクラウド プロバイダの強みを活用するために複数のクラウドを使用しています。しかし、これらの環境全体でアプリケーション トラフィックを管理することは困難です。予測可能なサービスをサポートするには、リクエストごとに最適なバックエンドをインテリジェントに選択するシステムが必要です。この選択では、バックエンドのリアルタイムの健全性とユーザーの場所の両方を考慮する必要があります。動的トラフィック ルーティングのこのプロセス全体は、すべてのクラウド上のアプリケーション エンドポイントの継続的なモニタリングに依存しています。モニタリングによって、十分な情報に基づいた意思決定に必要なリアルタイムの分析情報が提供されます。

このたび Google は、Cloud DNS ルーティング ポリシーパブリック IP ヘルスチェックの一般提供を開始しました。これらを組み合わせることで、ワークロードの場所を問わず復元力のあるアプリケーションを構築するうえで不可欠な、健全性を考慮したトラフィック管理を自動的に行うことができます。

複数のクラウド プロバイダでワークロードを実行すると、トラフィック管理戦略が断片化してしまうことがよくあります。Cloud DNS では、単一のインターフェースから、アプリケーションの健全性に基づいてトラフィックを複数のクラウド プロバイダ間でインテリジェントに転送できるようになりました。Cloud DNS は、重み付きラウンドロビン(WRR)、位置情報、フェイルオーバーなど、さまざまなルーティング ポリシーをサポートしています。そのため、トラフィック管理戦略を特定のニーズに合わせて柔軟に調整できます。

Cloud DNS は、ルーティング ポリシーとヘルスチェックを使用して、トラフィックを正常なバックエンドに転送します。これらのヘルスチェックは、インターネットベースのエンドポイント(他のクラウド プロバイダ、オンプレミス環境、さらには他のロードバランサの任意のパブリック IP アドレス)をプローブします。マルチクラウド デプロイにおけるサービス停止の検出を改善するために、ヘルスチェックはリージョン化され、Google Cloud リージョンの近くのポイント オブ プレゼンスから発信されます。これらのリージョン プローブの過半数で接続の成功が報告された場合、バックエンドは正常と見なされます。Cloud DNS ルーティング ポリシーはこれらのヘルスチェックに基づいて、障害が発生しているバックエンドへのトラフィックの転送を自動的に停止します。この自動プロセスは DNS レベルで行われ、インフラストラクチャ全体にわたる制御とトラフィック ステアリングの重要なレイヤを提供します。

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Cloud DNS ルーティング ポリシーとパブリック IP ヘルスチェックを使用して、復元力のあるマルチクラウド アーキテクチャを構築する手順は次のとおりです。

1. ヘルスチェックを設定する

Compute Engine でヘルスチェック リソースを構成し、パブリック IP アドレス上のアプリケーションのポートを指定します。ヘルスチェック プローブの発信元として、地理的に異なる 3 つの Google Cloud リージョンを選択する必要があります。ユーザーベースを最も代表するリージョンを選択することをおすすめします。たとえば、北米とヨーロッパのクライアントにアプリケーションのサービスを提供する場合、それらのロケーションにあるリージョンをヘルスチェックの発信元として含めることが適切です。

2. フェイルオーバー ルーティング ポリシーを構成し、ヘルスチェックにリンクする

Cloud DNS でルーティング ポリシーを作成します。プライマリ エンドポイントとバックアップ エンドポイントを定義し、さまざまなクラウド環境にあるアプリケーションのパブリック IP アドレスを指定します。

3. 自動的にフェイルオーバーする

アプリケーション インスタンスが異常な状態になった場合(3 つのリージョンのうち 2 つまたは 3 つが障害を報告している場合)、Cloud DNS は、ルーティング ポリシーの構成とバックアップ エンドポイントの健全性に応じて、別のクラウド内の正常なインスタンスにトラフィックを切り替えることができます。ルーティングの決定は、トラフィックがアプリケーションに到達する前の DNS レベルで行われるため、マルチクラウド インフラストラクチャ全体でフェイルオーバーをサポートできます。

ヘルスチェックではインターネットベースのエンドポイントをテストするため、インターネット上の任意の場所にエンドポイントを配置できます。そのため、クロスクラウドやオンプレミスのフェイルオーバー シナリオを構築できます。他のクラウドにサービスを配置でき、サービス停止時にはトラフィックをプロバイダ間で切り替えることも、オンプレミス ロケーションに切り替えることも可能です。そのため、マルチクラウドのお客様はワークロード向け Cloud DNS を標準化して、トラフィック管理を効率化し、複数の DNS 構成の管理に伴う運用上のオーバーヘッドを削減できます。さらに、ヘルスチェックのロギングを使用すると、ルーティング ポリシーが想定どおりに機能していることを確認して、特定のバックエンドで発生しているインフラストラクチャの問題を特定できます。

マルチクラウドのデプロイはますます一般的になっています。この新しい Cloud DNS 機能を使用すれば、健全性を考慮したトラフィック管理を自動的に行うことができます。これは、複雑なマルチクラウド デプロイに対応し、ユーザー エクスペリエンスを向上させるうえで不可欠な要素です

 

-プロダクト マネージャー George Prokudin 
-ソフトウェア エンジニア Hemant Kunda

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