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ネットワーキング

Google Cloud による拡張現実のストリーミング

2021年1月21日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 1 月 11 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

コンシューマー テクノロジー市場向けの見本市である CES には毎年、世界中から多くの参加者が集まり、最新の優れたテクノロジーを体験しています。2021 年の CES は、初の完全デジタル形式で開催されることとなりました。

今回の CES のようなバーチャル ショーでリモートの参加者に没入型エクスペリエンスを提供するには、どうすればよいでしょうか?これはクラウドにとって興味深い挑戦です。そしてご存じのとおり、あらゆる挑戦からチャンスが生み出されます。

Google Cloud と 5G が新たなエクスペリエンスの提供を支援

Google は 2020 年の初頭に、ワークロードを Google Cloud 上のネットワーク エッジに提供するための、企業向けの通信戦略を発表しました。また、昨年 10 月に開催した SearchOn イベントでは、クラウド ストリーミング テクノロジーにより消費者の検索結果で拡張現実(AR)を活用する方法を発表しました。

そして今回、この両方の長所を組み合わせ、消費者の検索のためのテクノロジーで Google のエンタープライズ エッジ機能を利用できるようにしました。Google はこの 1 年間、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックを踏まえ、進化した新たな消費者エクスペリエンス全体のサポートを強化してきました。たとえば、見込み客が商品を間近で見られない状態で購入を決められるようにするにはどうすればよいか、といった課題に対応しようと取り組んできました。この課題は、新車のような高額商品の購入を検討している場合、さらに重要となります。

これこそまさに、Fiat Chrysler Automobiles(FCA)と Google Cloud が連携して解決に取り組んでいる課題です。FCA による CES の Virtual Showroom イベントでは、自分のスマートフォンで QR コードをスキャンして 2021 年の新型 Jeep Wrangler 4xe を体験できます。自宅のドライブウェイや広場など、都合のよい場所で Wrangler の拡張現実(AR)モデルを目の前に映し出すことができます。自動車の外観をあらゆる角度から確認でき、さまざまなカラーを試すことができます。また、車内に入って内装を細部まで見ることも可能です。

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FCA で北米およびアジア太平洋地域担当の最高情報責任者を務める Mamatha Chamarthi 氏は、次のように述べています。「FCA はお客様中心のモビリティ企業となるための取り組みを続けており、お客様の期待に遅れることなく応えるための新たなテクノロジーを採用しています。Google とのパートナーシップにより、没入型のカスタマー エクスペリエンスを提供する取り組みを拡大することができました。」

5G によるエッジのパワーの活用

3D の自動車モデルで複合現実エクスペリエンスを実現するために、非常に詳細なジオメトリ、奥行き、テクスチャ、照明で 3D の車両を表示できるコンピュータ支援設計(CAD)ベースのデータソースが使用されました。内装まで完全に再現した自動車といった高忠実度のモデルの場合、ファイルのサイズが数 GB まで大きくなることがあります。接続の状況にもよりますが、従来、アセットをスマートフォンにダウンロードするまでに長い待機時間が発生するものです。さらに、スマートフォンのパワーはアポロ誘導コンピュータよりは大きいものの、クラウドのパワーには太刀打ちできません。それでも Google は、個々のデバイスや地理的な場所に関係なく、すべてのユーザーにハイエンドなエクスペリエンスをもたらしたいと考えています。

この問題を解決するために、モデルを Google Cloud でレンダリングしてからデバイスにストリーミングするという方法をとることにしました。

具体的には、クラウド AR テクノロジーでエッジ コンピューティングと AR テクノロジーを組み合わせ、Unreal Engine がレンダリングした大きな 3D ファイルを表示するために必要な処理能力をオフロードし、Google の Scene Viewer を使用してそれらのファイルを AR 対応デバイスにストリーミングします。地理的にユーザーの近くに配置した、ゲーム機レベルの GPU、メモリ、プロセッサを搭載する強力なレンダリング サーバーを使用することで、強力でありながら干渉もレイテンシも少ないエクスペリエンスを提供できます。このレンダリング ハードウェアでは数千万の三角形と最大 4k のテクスチャを含むモデルを読み込むことができ、モバイル デバイス上で提供されるもの(つまり、デバイス上でレンダリングされるアセット)よりも桁違いで大きいコンテンツを提供できます。この際、高速 5G 接続を利用し、Google Cloud の分散エッジから直接ストリーミングするため、フォトリアリスティックで豊かな没入型エクスペリエンスが実現されます。FCA のようなお客様は、何年にも及ぶ Google のストリーミング テクノロジーへの投資とこのテクノロジーに関する専門知識からメリットを得ることができます(Stadia で Cyberpunk2077 をぜひお試しください)。5G ネットワークの拡大に応じて、ストリーミングにより誰でもどこでもこのエクスペリエンスを体験できるようになるだけでなく、詳細な AR / VR エクスペリエンスに必要とされる大きなサイズのアセットのダウンロードにかかる待機時間の削減も可能にします。最終的には、ほんの一瞬で終わるようになるでしょう。

エッジ ソリューションを成功に導く鍵はアプリケーションとエクスペリエンス

Google はこれらの機能をすべての企業のお客様にご利用いただけるよう取り組みを続けています。これらの機能によって実現される革新的なユースケースには、AR を利用した設計チームのコラボレーション、技術者による機械の診断、スポーツ イベント向けの次世代ライブ動画エクスペリエンスなどが含まれます。これによって多数の業界で新しいカスタマー エクスペリエンスが生まれ、お客様のデジタル トランスフォーメーションを支援します。今後の情報にご注目ください。

CES に参加していなくても、Jeep Wrangler 4xe の拡張現実(AR)モデルを体験できます。以下の QR コードをスキャンするか、FCA の CES ウェブサイトをご覧ください。お使いの OS、デバイス、ネットワーク強度に応じて、フォトリアリスティックなクラウド ストリーム版の AR モデルか、デバイス上でレンダリングされる 3D の自動車モデルが表示されます。どちらも、周囲の物理的な環境に表示することができます。

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-ネットワーキングおよび通信プロダクト管理担当バイス プレジデント兼ゼネラル マネージャー Shailesh Shukla

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