クロスクラウド ネットワークの拡張: Google Cloud と Oracle Cloud Infrastructure のパートナーシップ
Himanshu Mehra
Director, Product Management
Gurmeet Goindi
Director, Product Management
※この投稿は米国時間 2024 年 7 月 2 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
6 月に、Google Cloud は Oracle と新たなパートナーシップを締結し、安全かつ柔軟で信頼性の高いプライベートな低レイテンシの接続を共通のお客様にデータ転送料金なしで提供することを発表しました。このパートナーシップにより、Google Cloud と Oracle 間のプライベートでスケーラブルかつ安全なピアリング能力が複数のロケーションに展開され、ポート設定のリードタイムが排除されます。また、エンドツーエンド接続のプロビジョニングが容易になります。
最適な組み合わせの AI、分析、SaaS サービスを活用するため、マルチクラウド環境がますます注目を浴びています。さらに、合併、買収、パートナーや顧客との相互運用の必要性により、企業が多様なクラウド インフラストラクチャを継承する機会も増えています。Gartner® によると、マルチクラウド戦略は企業にとってきわめて重要になっており、81% が複数のクラウド プロバイダを使用しています1。その動機にかかわらず、これまでオンプレミスやコロケーション施設でネットワークを構築および管理していた企業(それらの環境では、アクセス、セキュリティ、キャパシティ プランニングはすべて自社で完全にコントロールしていました)は、今日のマルチクラウドの世界において、しばしば非効率的なネットワーク アーキテクチャに直面します。そこでは、ある特定のパブリック クラウド内だけでなく、他の競合プロバイダが管理するクラウドも含む環境全体にわたって、ネットワーク アクセス、ルーティング、フェイルオーバー、キャパシティ プランニングを取り扱う必要があります。
クロスクラウド ネットワークという新たな形
このような課題に対処するため、Google は昨年、クロスクラウド ネットワークを発表しました。これにより、組織はマルチクラウド戦略を加速させてそのメリットを実現するとともに、関連する費用、複雑さ、リスクを最小限に抑えることができます。
クロスクラウド ネットワークは、企業ネットワークを異なるクラウド環境にまたがってオープンで安全かつ最適化された方法で運用できるようにするグローバル プラットフォームです。Google のプライベート バックボーンを利用して、総所有コストを抑えながら、複数のクラウドにわたって実行されるアプリケーションやワークロードのためにシームレスで高性能かつ安全な通信を提供します。クロスクラウド ネットワークは、次のような一般的なユースケースで使用されています。
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安全な接続が統合された分散アプリケーションを構築し、異なるクラウド プロバイダにわたって実行されるアプリケーションのパフォーマンスを向上させる
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Google のグローバル バックボーンを介してウェブ アプリケーションやコンテンツを配信するために最適化されたグローバル フロントエンドを提供し、世界中のユーザーのために高速で信頼性の高いアクセスを確保する
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ML を活用したセキュリティ ソリューションによってハイブリッド ワークフォースのアクセスを保護し、従業員がさまざまな場所やデバイスからマルチクラウドや SaaS アプリケーションに安全にアクセスできるようにする
クロスクラウド ネットワークでは、お客様が Google プロダクトによって投資価値を最大化しながらインフラストラクチャのモダナイゼーションを加速できるよう支援する独自のデプロイモデルと重要なパートナーシップを構築することに主眼が置かれていました。
Oracle とのパートナーシップは、最大限の柔軟性を持つオープン エコシステムを促進するという Google のクロスクラウド ネットワーク戦略を強化します。クロスクラウド ネットワークは Cross-Cloud Interconnect を利用しており、お客様はこれを使用して Google Cloud 環境と他のクラウド サービス プロバイダとの間にプライベートな専用接続を確立できます。
今回締結されたパートナーシップにより、Cross-Cloud Interconnect の専用サービスを補強するオプションが追加されます。このオプションは、パートナー アタッチメントを利用して、お客様の Google Cloud 上の Virtual Private Cloud(VPC)を事前プロビジョニングされた既存のプライベート接続を介して Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の仮想クラウド ネットワーク(VCN)に接続するというもので、リリース時には次のリージョンでご利用いただけます。


Google Cloud - リリース時に OCI で相互接続されるリージョン: モントリオール、北バージニア、サンパウロ、ロンドン、マドリッド、フランクフルト、ムンバイ、シンガポール、東京、メルボルン、シドニー
これにより、組織は複雑で費用のかかるネットワーク インフラストラクチャの管理から Google Cloud と OCI の差別化されたサービスの利用へと焦点を移すことができます。これには次のようなメリットがあります。
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パートナーの Cross-Cloud Interconnect を介したコストゼロのデータ転送
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数分でプロビジョニングできる柔軟なオンデマンドの仮想接続
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エンドツーエンドの SLA とプロアクティブなモニタリングおよびアラート通知
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共通のお客様に代わって潜在的な問題に対処するためのサポート連携
このソリューションは、Cross-Cloud Interconnect のシンプルさ、費用対効果、信頼性、高パフォーマンスを継承しており、他のクラウドでのフットプリントを維持しながら Google Cloud の差別化されたサービスを活用したい企業にとっての基盤サービスとなります。
堅牢なクロスクラウド アプリケーションを構築する
お客様はこの接続を使用して、堅牢なクロスクラウド アプリケーションを構築できます。
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Google Cloud のお客様は、低レイテンシの相互接続を介して OCI 上の Oracle データベースにシームレスにアクセスできます。
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同様に、OCI のお客様は、Google のバックボーンを使用して Google のマネージド サービスに接続することで、さまざまなメリットを得られます。たとえば、Google Compute Engine、Google Kubernetes Engine(GKE)、BigQuery、Vertex、Spanner などの業界をリードするサービスに簡単にアクセスできます。


クロスクラウド アーキテクチャの概要
相互接続をプロビジョニングする手順は、次のように非常に簡単です。
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Google Cloud において、まず特定のリージョンで Partner Interconnect アタッチメントを注文します。
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数分以内にペアリングキーが生成されます。OCI コンソールでこのペアリングキーを使用して VCN アタッチメントを作成し、希望する接続速度(1、2、5、10、20、50 Gbps)を指定します。
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完了したら、Google Cloud で Partner Interconnect アタッチメントを有効にし、接続の両側でルーティングの詳細を構成します。これで、Google Cloud 環境と OCI 環境の間でシームレスな通信が可能になります。
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この堅牢な接続をさらに活用するため、Private Service Connect を使用して OCI から Google マネージド サービスを安全かつプライベートに利用できます。また、Network Connectivity Center を使用して VPC やハイブリッドの接続先への接続を管理することも可能です。
私たちは、この Oracle とのパートナーシップと、それが両社共通のお客様にもたらすメリットに大いに期待しています。このオプションを導入したお客様は、費用、シンプルさ、信頼性を犠牲にすることなく、アプリケーションのニーズに応えるアーキテクチャ上の決定を下すことができます。
セットアップ プロセスの詳細については、こちらをご覧ください。
-プロダクト管理担当ディレクター Himanshu Mehra
-プロダクト管理担当ディレクター Gurmeet Goindi
1. Gartner、Cloud Survey: Multicloud Adoption Remains the Norm、Michael Warrilow、2024 年 2 月 26 日。Gartner は、Gartner, Inc. および / またはその関係会社の米国およびその他の国における登録商標およびサービスマークであり、本記事では同社の許可を得てこれを使用しています。著作権はすべて同社に帰属します。