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Google Maps Platform

Namma Yatri: Google Maps Platform でマルチモーダルな配車サービス プラットフォームを構築

2025年7月3日
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Shan MS

Chief Operating Officer, Namma Yatri

※この投稿は米国時間 2025 年 5 月 27 日に、Google Maps Platform blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: 今回の記事は、インド初の手数料ゼロの配車サービスアプリ Namma Yatri の COO(最高執行責任者)を務める Shan MS 氏によるものです。同社が公平で一貫性のある配車サービスを構築し、Google Maps Platform の堅牢な道路接続データを使用して Tier 2 都市、Tier 3 都市へと迅速に拡大させている方法をご紹介いただきます。


成長を続けるインドでは配車サービスアプリが広く普及してきましたが、その背後にある経済は崩壊していました。高額な手数料でドライバーは経済的に困窮し、乗客の満足度が低下してキャンセルが頻繁に発生しており、プラットフォームの仲介者排除を求める声が続出していました。従来のモデルは、もはやサステナブルでもなければ革新的でもありませんでした。Namma Yatri 設立時のビジョンは明確で、誰もがメリットを得られる公平な交通プラットフォームを構築することでした。

オンデマンドのタクシー事業を再定義するために、Namma Yatri は、業界に長年存在する 2 つの問題に取り組みました。1 つ目は、前例のない手数料ゼロのモデルにより、ドライバーがわずかな利用料金でプラットフォームにアクセスして、収益を 20~30% 増加できるようにすることです。2 つ目は、透明性の高いドライバー直結システムにより、乗車料金がドライバーの口座に直接入金されるようにし、仲介業者や現金での支払いを不要にすることです。こうした決定により、当社はドライバーと乗客が第一という当社の基本理念を反映した、公平で信頼できるプラットフォームを構築できました。

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Namma Yatri チームは、すべての人にとって公平な交通手段を構築することに尽力しています。

しかし、インドのアーバン モビリティを変革するという当社の使命の対象は、従来の配車サービスだけに留まりません。当社は、政府が定義した共通のネットワーク標準とオープンソース プロトコルを基盤として、タクシーやリキシャから公共交通機関まで、さまざまな交通手段を予約できるマルチモーダルなサービスをインドの通勤者に提供することを目指しています。インドの約 10 都市で 60 万人以上のドライバーを支援してきた Namma Yatri は現在、全国展開に向けて準備を進めており、その道のりにおいて Google Maps Platform が重要な役割を果たしています。

公正で一貫性のある料金の提供

Namma Yatri は、政府が定めた料金設定に基づいて、ドライバーと乗客の両方にとって一貫性のあるものになるよう料金体系を標準化しました。料金は移動距離に基づいて計算されるため、正確な位置情報は特に重要になります。わずかな誤差でもユーザーの信頼に影響する可能性があるからです。しかし、交通状況や通行止めなど、さまざまな変動要因により、移動前にアプリで計算された推定距離と、実際の移動距離との間に隔たりが生じることもしばしばでした。Google Maps Platform の信頼性の高い正確な地理空間データが、このギャップを埋めるのに役立ちました。

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当社の配車アプリでは、より正確な位置情報を使用して簡単に配車をリクエストできます。

新しい Routes API により、過去の位置情報に頼る状況から、さらに一歩進むことができました。この API は、リアルタイムの交通状況や道路状況を考慮しながら、乗車地点と降車地点間の最適なルートを判断します。これにより、最も効率的なルートだけでなく、ドライバーの直感や行動に応じてルートを特定できるため、ルートに関する不満が大幅に減少します。こうして、乗客が配車を予約してドライバーがそれを受け入れたときに、提案された距離、時間、料金が実際の体験と一致することを両者が確信できるようになりました。

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アプリ内の地図機能により、乗客とドライバーがより簡単につながれます。

混雑する都市部でスムーズな乗車を実現

Google Maps Platform を導入する前は、日々発展するインドの都市環境において、ドライバーと乗客がお互いをすぐに見つけるのが困難になっていました。工事や道路の改修、ランドマークの変更が頻繁にあるため、前日に存在した乗車スポットが翌日には利用できないこともよくありました。場所の確認のために何度もやり取りしたり電話をかけたりする必要があり、双方に遅延や不満が生じていました。この問題を最小限に抑えるために、正確な地理空間情報を活用しました。そして近日中には、地理空間情報を近くのランドマークなどのローカルなコンテキスト分析情報と組み合わせて、この課題を完全に解決する予定です。

当社のロードマップの次のステップは、サービスの品質を損なうことなく、Tier 2 と Tier 3 の市場でさらに参入を進めることです。Google Maps Platform は、その均一なデータ精度とグローバルなカバレッジにより、こうした拡大の取り組みにおいて重要な役割を果たしています。Google Maps Platform を利用することで、大都市圏でも小都市でも、同じ高精度のルート選択データにアクセスできます。

新しい市場でも馴染みのある透明性の高いエクスペリエンス

当社は、Google Cloud パートナーである Searce との連携の下、Navigation SDK を使用して Google マップのターンバイターン方式ナビをアプリに直接統合しました。これが自然発生的な信頼構築につながりました。乗車地を乗客が初めて訪れた場合に、当社のアプリで提案されたルートが一般ユーザー向けの Google マップで表示されるルートと一致することを確認できると、ある種の透明性が生まれます。Namma Yatri がその存在の確立を図っている新しい市場において、これは非常に重要なことです。

オープンソース システムを基盤として、当社が独自の新しい付加価値サービスの設計を継続する中、Google Maps Platform の十分に文書化された API、迅速なサポート、堅牢なインフラストラクチャは、当社の実装の取り組みにおいて強固な基礎となっています。

昨年、当社のプラットフォームは 1,000 万人を超えるインドの人々に利用され、素晴らしい成果となりました。しかし、これはインドのアーバン モビリティを変革するという当社のさらなる使命の始まりにすぎません。手数料ゼロモデルの成功は、透明性と公正な経済性を運用効率と連動できるという当社の信念を裏付けるものでした。

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当社は、ドライバー ネットワークと定期的に交流して、そこから得たフィードバックや分析情報をプラットフォームに組み込んでいます。

今後の目標は、Namma Yatri の急速な導入を基盤として、より根本的な都市の課題に取り組むことです。さまざまな交通手段へのアクセスを統合し、ラスト ワンマイルの接続に焦点を当てることで、都市の混雑を軽減しながら、社会のあらゆるセグメントにとって、モビリティが経済的に実行可能で、かつ環境に配慮したものであり続けることを目指しています。

成長を続けるなかで、最先端のソリューションと信頼性を兼ね備えた Google Maps Platform でテクノロジー プラットフォームを提供できるのは心強いことです。その一貫したパフォーマンスと精度は、ドライバーと乗客の双方に透明性と信頼性の高いサービスを提供するという当社の約束を維持するうえで不可欠なものです。

-Namma Yatri、COO(最高執行責任者)、Shan MS 氏

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