BigQuery で Imagery Insights を: AI を活用したインフラストラクチャ管理

Ahsan Ashraf
Product Marketing Manager, Google Maps Platform
Greg Leon
Group Product Manager, Google Maps Platform
※この投稿は米国時間 2025 年 4 月 10 日に、Google Maps Platform blog に投稿されたものの抄訳です。
物理的なインフラストラクチャのメンテナンスや、その状態を把握することは、これまで以上に重要になっています。しかし、インフラストラクチャの管理事業者は、リモート センシング技術の進歩による効果とそのメリットを拡張するうえで、大きな課題に直面することがよくあります。最新の現場訪問データを取得、分析、維持することが困難な際には、現地調査のような費用と時間のかかる従来の方法が依然として広く使用されています。これらの課題は、一貫性のない手法や多様な技術要素によっていっそう困難なものとなり、インフラストラクチャの状態を継続的に把握することを難しくしています。こうした課題に対処するため、Google は Imagery Insights という新しいカテゴリの画像データセットを発表しました。新しいデータセットの第 1 弾は、ストリートビューの画像から分析情報を導き出すもので、運用の効率化、ワークフローの改善、よりスマートな意思決定の実現を目的に設計されています。
Imagery Insights で世界中の画像の力を活用
お客様は、Google の最新の包括的な地理空間データからより多くの分析情報にアクセスして、より多くの情報に基づいてビジネスやサステナビリティに関する意思決定を行いたいと考えています。そこで Google は、データ アナリストや意思決定者が分析情報に簡単にアクセスできるようにするため、このたび初めて Google Maps Platform の新しいデータセットと Earth Engine のデータセットや機能を BigQuery に直接統合します。
Imagery Insights で最初に提供されるデータセットは、2,800 億を超える Google ストリートビュー画像からなる膨大なリポジトリから分析情報を引き出すことを可能にします。このリポジトリには、世界中のインフラストラクチャの 360°画像と 3D 画像が含まれています。すべての大陸と 100 か国以上の国をカバーするこの豊富なデータセットから実用的な分析情報を抽出できるため、費用と時間のかかる現地での調査を軽減できるようになります。Imagery Insights は BigQuery とシームレスに統合され、高度な空間分析を実現します。また、Vertex AI に接続することで、インフラ資産の特定と状態評価を自動化し、効率的なインフラストラクチャ管理を実現できるようになります。


一時停止標識のストリートビューの画像を Vertex AI で分析、分類
Bentley Systems の事例
Bentley は Google Cloud と連携して、Imagery Insights の Google ストリートビュー画像と自社の Blyncsy 分析を組み合わせた AI を活用して道路メンテナンスに変革をもたらしています。インフラストラクチャの問題が深刻化する前に予測し、道路の履歴分析、迅速な災害被害評価、正確な設備資産マッピング、予防的な舗装管理のためのソリューションを提供することで、交通機関が事後対応型の保守管理から事前対応型に移行することを可能にします。最終的には、費用の削減と、道路ネットワークの安全性およびサステナビリティの向上につながることが期待されます。


火災前のパリセイズの Google ストリートビュー画像と Blyncsy.AI で撮影した火災後の画像
都市計画の効率化
都市計画事業においては、道路標識の修理に予算を割り当てる必要があります。従来は作業員を派遣して現地調査を行っていましたが、これは費用がかかり、ヒューマンエラーや遅延が発生しやすいプロセスとなっていました。Imagery Insights を利用すると、BigQuery にクエリを実行してすべての道路標識を地図上に可視化してから、Vertex AI を使用して損傷した標識を即座に特定することも可能です。街の地図上で道路標識がハイライトされ、AI によって生成された被害報告が各標識に重ねて表示されているイメージを想像してみてください。これにより、正確な予算見積もりと、より迅速で的を絞った修理が可能になります。たとえば、委員会は、20% の標識を交換する必要があると推測して、チームを派遣してそのすべてを検査する代わりに、正確な標識の特定から費用の見積もり取得までのほとんどの処理をパソコン上で行えるようになります


ソルトレイクシティの地図上に可視化されたトラフィック コーンの設置場所と状態
インフラストラクチャ管理の未来
ストリートビューを使用した Imagery Insights は、始まりにすぎません。Google の目標は、画像データセットとツールの包括的なポートフォリオの提供を通じて、都市やインフラストラクチャの運営事業者がより多くの情報に基づいて意思決定を行えるようにすることです。インフラストラクチャのメンテナンスの遅延は、費用だけでなく命にも関わる重要な問題です。Google は、正確でタイムリーなデータの提供を通じてインフラストラクチャの運営事業者を支援することで、より安全で効率的かつサステナブルな都市の構築に貢献したいと考えています。
ご利用を開始するには
ご関心をお持ちの場合は、こちらのフォームにご記入ください。お客様のユースケースと最適な Imagery Insights の活用法を確認するために、追ってご連絡を差し上げます。皆様の業務の効率化、ワークフローの改善、よりスマートな意思決定に、Imagery Insights がどのように役立っていくか、今後を楽しみにしています。
-Google Maps Platform 担当プロダクト マーケティング マネージャー、Ahsan Ashraf
-Google Maps Platform 担当グループ プロダクト マネージャー、Greg Leon