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Google Maps Platform

iNaturalist が生物保護活動に Google Maps Platform を活用

2023年2月21日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 2 月 16 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。


地球の生態系は数百万年かけて進化した無数の種から成り立っていますが、生息地の減少や気候変動の影響により、毎年多数の種が絶滅しています。iNaturalist は、生物の多様性を記録するためのクラウドソース プラットフォームであり、自然愛好家のソーシャル ネットワークの場として活用されています。もともと、生態系への世界中の関与を深め、身の回りの生物に関する教育の場を提供することを目的として作られたものであり、科学研究や生物保護活動を促進する狙いもあります。現在は、カリフォルニア科学アカデミーとナショナル ジオグラフィック協会の共同プロジェクトとして運営されています。
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iNaturalist の共同責任者、自然愛好家であり、ソフトウェア エンジニアでもある Ken-ichi Ueda 氏は次のように語ります。「他の生物に興味を持つのは、非常に重要なことです。他の生物に関心を持ち、私たちが生物に及ぼす影響をよく考える必要があります。他の生物との関係を通して、自分自身がひとりの人間である、という気付きがもたらされます。iNaturalist の活動の狙いの一つは、より多くの人々に、生物とのこのような関係を築いてもらうことにあります。」

iNaturalist の共同責任者であり、空間生態学者の Scott Loarie 氏は、生物保護に関する課題の規模と世界中に広がる種を保護する方法を考える際に、空間を意識しながら種を捉えることが重要であると説きます。

また、「世界中における種の分布状況をマッピングし、分布の変化を捉える必要があります。個々の動植物に関する生物多様性データを幅広く収集するには、たくさんの人々に種に対する関心を持ってもらい、正しい判断を下すために必要なデータの収集に参加してもらう必要があります。」と Loarie 氏は語ります。

iNaturalist のユーザーは、外で見かけた植物や昆虫の写真を投稿できます。投稿された写真は、iNaturalist のサーバーに保存されます。そして、他のユーザーが生物を識別し、iNaturalist がその画像および識別データを使って瞬時識別のための機械学習モデルをトレーニングする、という仕組みになっています。

iNaturalist は Google Maps Platform をさまざまな方法で活用しています。iNaturalist のウェブサイトは Maps JavaScript API を中心に構築されており、Android アプリは Maps SDK for Android を使って構築されています。なお、iNaturalist は毎月 3,500 万件のリクエストを Google Maps の API に送信しています。

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Ueda 氏は次のように語ります。「Google Maps Platform を使って個々の観察データを表示しており、その観察の対象である種の他のすべての観察データを表示するためにレイヤを追加しています。iNaturalist の独自データは、マップ上に別レイヤとして重ねています。また、iNaturalist では場所が非常に重要となってくるので、Google Maps Platform をジオコーディング サービスおよびリバース ジオコーディング サービスにも使用しています。ユーザーには、個々の生物を観察した正確な場所を記録してもらう必要があります。」

ユーザーが iNaturalist に観察データを記録する際、GPS 対応デバイスを使用できない場合は、場所名を入力すると Google Maps Platform から座標が返され、iNaturalist にその情報が保存されます。また、GPS 機能のみがあり、モバイル デバイスが座標情報を送信した場合、Google Maps Platform は「サンフランシスコのゴールデン ゲート パーク」など、その座標に対応する場所名を返します。

「生物保護は、空間の問題なのです。生物の多様性をマップに取り込もうとしており、これが成功すれば、種の絶滅を防ぐための正しい判断ができるようになります」と Loarie 氏は訴えます。

環境教育の観点からも、市民グループが使用できるアプリは大きな効果を発揮します。ベイエリアを拠点に環境教育活動を展開する Merav Vonshak 氏は、ボランティア グループが集まって一定の期間、特定の場所内でできるだけ多くの種を記録する「バイオブリッツ」と呼ばれる市民科学活動に、このアプリを使用しています。

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Vonshak 氏は次のように語ります。「iNaturalist は、世界の見方を変えてくれました。出かけた先で立ち止まって、そこに生息する植物や昆虫を知ることで、経験がはるかに豊かなものになります。」

また、iNaturalist コミュニティの多様性と規模の大きさは、個々の市民や科学者、そして生物保護に大きな価値をもたらすと Loarie 氏は考えています。

さらに「科学者たちは、多様な人々と交流することで、自分たちだけでは決してできなかったような科学が可能になったと実感しています。その一方で、普通の人々にとっては、科学者との関わりによって裏庭の探索がより有意義なものになります。iNaturalist の観察データ数は 1 億 2 千万件を突破しました。これは、同じ問題に協力して取り組むことで、どれだけのことを達成できるか、ということの証しともいえます」と Loarie 氏は語ります。

Google Maps Platform の詳細については、ウェブサイトをご覧ください。


- デベロッパーリレーションズ エンジニア Alex Muramoto
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