米国、英国、スペインを結ぶ海底ケーブル、Grace Hopper の発表
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 7 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
現在、国際的なインターネット トラフィックの 98% は海底ケーブルによって世界中に伝送されています。大陸をつないで縦横に張り巡らされた海底ケーブルの広大なネットワークが、世界中の情報を光の速さで共有、検索、送受信することを可能にしています。私たちの仕事、娯楽、連絡の方法がますますデジタル化していくこの時代において、信頼性の高い接続はかつてないほど重要になっています。そこでこのたび、米国、英国、スペイン間を結ぶ新たな海底ケーブル、Grace Hopper を敷設することになりました。このケーブルが加わることで、消費者および企業向けの Google のサービスを支えるネットワークの復元力がさらに向上します。
Grace Hopper は、Google の既存の専用海底ケーブルである Curie、Dunant、Equiano に加わる、はるか彼方の大陸を接続する海底ケーブルです。専用海底ケーブルを使用すると、世界中のお客様やユーザーの変化する容量要件に効果的に対応でき、公共のインターネットでは実現が難しいセキュリティ レイヤを追加できます。
Grace Hopper は、2003 年以来初となる米国と英国を結ぶ新設ケーブルとなります。開通すれば、トラフィックが混み合う大陸間における通信の容量が増え、Meet、Gmail、Google Cloud などの Google サービスが強化されます。また、英国と接続する専用海底ケーブルルートへの初めての投資であり、スペインと接続する初めてのルートでもあります。スペインにランディング ポイントができることで、開設予定のマドリッドの Google Cloud リージョンと Google のグローバル インフラストラクチャがより強固に統合されます。Grace Hopper ケーブルには、16 ペアのファイバー(32 ファイバー)が搭載されます。これは米国とヨーロッパを接続するインターネット インフラストラクチャの大幅なアップグレードになります。今年に入り、ニュージャージー州イートンタウンを拠点とする海底ケーブル敷設業者 SubCom との契約が結ばれ、2022 年にプロジェクトが完了する予定です。
Grace Hopper には、グローバル コミュニケーションの信頼性を高める新しい光ファイバー スイッチングが組み込まれます。これにより、システム停止時のトラフィックの移動が容易になります。Google と SubCom のエンジニアの連携により、この革新的なスイッチング アーキテクチャの組み込みが可能になりました。Grace Hopper は、このテクノロジーを使用する世界初の海底ケーブルです。将来的に他のシステムにも導入できればと考えています。
このケーブルの名前はコンピュータ サイエンスの先駆者である Grace Brewster Murray Hopper(1906~1992 年)にちなんで付けられました。彼女は COBOL プログラミング言語の開発に欠かせない最初のリンカー(コンパイラ)の一つにおける実績でよく知られています。また、プログラムで実際のいわゆる「バグ」を発見したことで有名です。彼女のチームは、初期の Harvard Mark II コンピュータの短絡の原因を追跡し、蛾がパネルに閉じ込められていることを突き止めました。最先端の光ファイバー ケーブルで大西洋を横断する今後の通信に投資することで、Grace Hopper によるイノベーションの偉業に敬意を表せることを誇りに思います。
-Google Global Network バイス プレジデント Bikash Koley