新リージョンと海底ケーブルの増設でグローバル インフラストラクチャを拡張
Google Cloud Japan Team
*この投稿は米国時間 1 月 16 日に Keyword に投稿されたものの抄訳です。速報として Google Cloud Japan Blog に文章の一部が掲載されていますが、こちらは全文の抄訳です。
Google はこの 3 年間で、自社のインフラ強化のために 300 億ドルを投資しました。もちろん、この投資に終わりはなく、世界各地をつなぎ、クラウドのお客様により良いサービスを提供するために、データセンターの新設や海底ケーブルの敷設などインフラストラクチャの拡張に引き続き力を注いでいます。今回発表する 3 本の新しい海底ケーブルと 5 か所の新リージョンは、その具体的な成果となるものです。
Google は 2018 年の第 1 四半期にオランダとカナダのモントリオールに新しいリージョンを開設し、その後もロサンゼルス、フィンランド、香港にリージョンを順次新設します。そして 2019 年には、チリとロサンゼルスを結ぶ専用線の Curie、米国とデンマークおよびアイルランドを結ぶ共用線の Havfrue、アジアの主要な海底通信ハブを結ぶ HK-G (Hong Kong-Guam Cable system) の 3 本の海底ケーブルについて運用を開始します。
これらの投資により、今でも世界最大級を誇る Google ネットワークを、今後さらに強化していきます。ある調査によれば、全世界のインターネット トラフィックの 25 % を Google が担うという試算も発表されています。PayPal などの企業は、ビジネスを効率的に展開するにあたって、こうした Google のネットワークとインフラストラクチャを活用しています。
「PayPal は世界中で数十億件の取引を実行しており、その処理にはセキュリティと瞬時性、および経済性が求められます。そうしたことから、クラウド プロバイダーの選定時に最も重視したのは、セキュリティ、ネットワーク、インフラストラクチャでした。Google Cloud であれば、世界最大規模のネットワークにアクセスできるため、目標としている理想のインフラストラクチャのもとで、数百万ものユーザーに最良のサービスを提供できます」
―― Sri Shivananda 氏、PayPal のシニア バイス プレジデント兼 CTO
Curie ケーブル
Curie ケーブル(この名前は著名な科学者である Marie Curie にちなんだものです)は、グローバル インフラストラクチャの強化に向けた継続的な取り組みの一環です。Google は 2008 年に企業コンソーシアムに参加し、海底ケーブルに投資した最初のテクノロジー企業になりました。今回の Curie では、大手通信企業以外で専用の大陸間ケーブルを敷設する最初の企業となります。専用の海底ケーブルを敷設することで、Google はお客様に価値を提供しつつ、地球規模での接続性を強化します。自社でケーブルを所有することには明確な利点があります。設計と施工のプロセス全体をコントロールできるため、ケーブルの技術仕様の策定に細部までかかわり、敷設作業を合理化してお客様とエンドユーザーに迅速にサービスを提供できます。またケーブルの敷設後は、レイテンシと可用性が最適化されるようにルーティングを決めることも可能です。
Curie は、ほぼ 20 年ぶりにチリに敷設される海底ケーブルです。Curie の運用が開始されれば、単一のデータ ケーブルとしてはチリで最大規模となり、ラテン アメリカ全体にわたって Google のお客様とエンドユーザーにサービスを提供できるようになります。
Havfrue ケーブル
北大西洋システムのキャパシティとレジリエンス(回復力)を強化するべく、Google は Facebook、Aqua Comms、Bulk Infrastructure と共同で、米国とデンマークおよびアイルランドを直接結ぶ海底ケーブルの敷設に取り組んでいます。Havfrue(デンマーク語で「人魚」の意味)と呼ばれるこのケーブルは、TE SubCom が建設を担当し、2019 年末までに開通する予定です。すでに、ケーブルの実際のルートを決めるための海底ルート調査に着手しています。HK-G ケーブル
太平洋地域においては、RTI-C や NEC と共に HK-G ケーブルの敷設に取り組んでいます。Indigo などの既存海底ケーブルと HK-G を組み合わせれば、米国とオーストラリアの間に複数のスケーラブルで多様な通路が確保され、太平洋地域でのレジリエンスが向上します。その結果、オーストラリアとアジアの主要ハブとの間のキャパシティが増え、レイテンシの低下が期待できます。また、近く開設予定の香港リージョンのキャパシティも拡大されるでしょう。Google は、計画中および建設中のものを含め、11 本の海底ケーブルに直接投資しています。表中で黄色表示のものは、今回発表した 3 本のケーブルです(直接の所有権を持つこれらの 11 本に加え、多数の海底ケーブルをリースしています)。
海底ケーブルへの投資がお客様にもたらすメリット
今回の新規投資は既存のクラウド ネットワークの規模拡大に寄与します。Google ネットワークは 100 以上の POP(points of presence、地図)と 7,500 を超えるエッジ キャッシング ノード(地図)を備えています。今回の投資により、すべての Google ユーザーは、より高速で信頼性の高い接続性を得られることになります。
単純な話ですが、Google ネットワークがなければ、Machine Learning Engine や Spanner、BigQuery などの Google Cloud Platform サービスや G Suite をユーザーが期待する品質で提供することはできません。別の言い方をすれば、Google Cloud のお客様は、スピード、キャパシティ、信頼性の面で世界的に知られた Google のケーブル システムと同じネットワーク インフラストラクチャを利用できるのです。
下図に示すように、Google ネットワークではクラウドとエンドユーザーの間の直接的な経路を適切にプロビジョニングすることで、非常に優れたクラウド ネットワークを実現しています。
図 4. 性能が一定でない公衆インターネットや他社のクラウド ネットワークよりも優れた信頼性、スピード、セキュリティを提供する Google ネットワークは、100 か所以上の POP、7,500 か所以上のエッジ キャッシング ノード、90 か所以上の Cloud CDN ロケーション、47 か所の Dedicated Interconnect ロケーション、15 か所の GCP リージョンを結ぶ光ファイバーおよび海底ケーブルから構成されています。
こうした投資の成果に Google は大きな期待を寄せており、ますます結びつきを強めていく世界の中で、お客様に最高のクラウド サービスを提供するべく、インフラストラクチャへの取り組みを強化していく所存です。
- By Ben Treynor, 24x7 VP, Google Cloud