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Google Cloud

企業が責任を持って活用できる生成 AI で経営の AI Innovation を加速

2024年1月5日
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平手 智行

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 日本代表

本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。

はじめに、このたびの石川県能登地方を中心とした震災等により、被災された皆様に心よりお見舞いを申しあげます。

2023 年は世界中で生成 AI ブームが巻き起こった非常に革新的な年となりました。Google はビジネスの方向性を 2016 年から AI を中心に進めており、その翌年に発表した深層学習のモデルである Transformer は、現在提供されている 様々な生成 AI モデル の基礎となっています。そして、Google は、2023 年 5 月に新たな大規模言語モデルである PaLM 2 を、そして 12 月には、これまでで最大かつ高性能なモデルである Gemini を発表しました。Gemini の発表によって、マルチモーダル、と呼ばれる言語や画像、音声などと複数のデータ種別を同時に取り扱う事が可能になりました。今後、生成 AI を活用した様々な新しいユースケースが登場してくることになるでしょう。

昨年はこの新しいテクノロジーである生成 AI の大規模言語モデルを試された方も多いことでしょう。多くのお客様から、生成 AI の便利さへの驚きや期待の声を聞くとともに、Chatbot のような用途以外にどうビジネスに繋げていけるのかわからない、企業として活用するためにはまだ乗り越えるべき課題がある、という声を多くいただいています。

2024 年は、まさに生成 AI を活用して社内外に向けたサービスを展開していく重要な年となるため、Google Cloud は大きく 2 点において、皆様が直面する課題とその解決策をご提案したいと思います。

1 点目は生成される情報の正確さについて、2 点目は非構造化データの取り扱いとプラットフォームの重要性についてです。

まず、1 点目の課題である生成される情報の正確さですが、これは、自社のデータの多くは公開情報ではないため、大規模言語モデルの学習データに含まれておらず回答させることができない、あるいは、公開されているデータもすぐに古くなるため最新の情報に基づいた回答が得ることが困難であるということ、そして生成された回答は事実には即していない、いわゆる「ハルシネーション」を起こす可能性があるということが原因です。

ハルシネーションの抑制に有効なアプローチとして、「グラウンディング」という技術が挙げられます。グラウンディングは、生成 AI を活用しようとする企業や組織が指定する、信頼できる情報ソースから回答を参照する技術です。グラウンディングを活用することで、事実に基づいた最新の情報を回答させることが可能となります。Google Cloud では、長年検索で培った技術と経験から、グラウンディングの技術を提供することで、実用的な生成 AI アプリケーション開発を実現可能とします。大規模言語モデルは汎用的なタスクを解く際に有効ですが、責任ある AI を実現し個別のタスクを解く場合や、事実に基づき、安全、安心な応答をするには、グラウンディングを始め、タスクに適したアーキテクチャが重要であると Google は考えています。

2点目の課題は、データの利活用とそれを効率的に行えるプラットフォームについてです。これまでは数値データという構造化データをどう保存し活用していくかを考えていればよかったところから、今後は、爆発的に増加する非構造化データの取り扱いについて考える必要があります。

非構造化データとは、テキストやイメージ、さらに動画といったデータを指し、コールセンターなどでのお客様の会話や、テレビ局などの動画アーカイブ、製造現場などでのオペレーションの画像などはすべて非構造化データに当てはまります。多くの企業は、様々な非構造化データを持ってはいるものの、分析して活用するところまでできていないことが課題となっていました。例えばコールセンターでは、お客様との会話を録音しているものの、実際にそのデータを分析し、ビジネスの改善につなげるのは難しい状況だったかと思います。

Google Cloud の BigQuery は、非構造化データと構造化データを組み合わせて分析することができる「AI レイクハウス」プラットフォームとして利用可能です。こういったプラットフォームを利用すれば、データと生成 AI がシームレスに連携できるため、コールセンターなどでの蓄積されたお客様との会話の録音データを、AI を活用してテキスト化、さらにそのデータを PaLM のような生成 AI を用いて分析し、お客様の要望に関する全体的な傾向を特定する、といった活用方法が可能になります。

また、データがサイロ化して企業内に点在していると、AI も探すことが不可能です。様々なアプリケーションや環境がクラウド上にあるクラウドネイティブな状況でビジネスを行うことで、全てのデータをクラウド上に置くことができ、AI および 生成 AI を100% 生かすことができるようになります。そのためには真のクラウドネイティブ コラボレーション ツールである、Google Workspace を活用いただくなど、クラウドネイティブな状況を構築することが重要です。

Google Cloud が昨年公開した、AI が様々なアシスタントを行う Duet AI は今後 Google Cloud の全ての製品に順次導入されていきます。これは、生成 AI の専門的な知識や技術的スキルがなかった社員にとって AI の民主化を劇的に加速するものとなります。Duet AI は、開発や運用の支援、データ分析やデータベース管理およびセキュリティ管理の支援を行います。また、メールの文脈にそった情報を自動的にいれた返信作成やスライドの内容に沿ったオリジナル画像作成、様々なタスク管理が必要なスプレッドシートを自動で作成するなど、 業務効率化を支援します。 Google Workspace の Duet AI 日本語版は今年公開を予定しています。

2024 年は、いよいよ、生成 AI を実際に活用して自社のビジネスの変革を行える年になります。Google Cloud は、大胆かつ責任ある AI の基本理念を守りながら、引き続き新たな技術、製品を提供しながら、パートナー様と共に生成 AI を通したお客様のビジネス成長に貢献してまいります。

本年も引き続き、ご指導ご鞭撻を賜ります様、心からお願い申しあげます。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

日本代表 平手 智行

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