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データベース

Forbes、Firestore を使用して高パフォーマンスのコンテンツを公開

2023年6月19日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2023 年 6 月 13 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: Forbes は、アジリティに優れたクラウドベースのシステムを求めて、統計処理データベースを Firestore に移行しました。これによって技術的負債を削減し、執筆者にリアルタイムでサイトの指標を提供できるようになりました。


Forbes は、ビジネス、投資、テクノロジー、起業家精神、リーダーシップ、ライフスタイルを重点的に取り扱う世界的なメディア企業です。約 2,500 人の執筆者に記事の作成を依頼し、独自のコンテンツを毎日 400 本以上のペースで自社のサイトに公開しています。当社は先日、クラウドに 100% 移行することを目標として掲げました。その一環として、これを機に、ページビューの数、記事のランキング、トラフィック ソースなどの情報を提供しているサイト統計処理システムをモダナイズすることを決断しました。古いオンプレミス システムをクラウドに移行したことで、技術的負債の削減、サイト パフォーマンスの向上、寄稿者向けの新機能の追加が可能になりました。現在では、フルマネージドのサーバーレス ドキュメント データベースの Firestore と、エンタープライズ データ ウェアハウスの BigQuery とともに、ウェブ トラフィックを追跡する分析サービスの Google アナリティクスを使用して統計処理を容易にしています。  

動作がぎこちなくクラウドに不向きだったカスタムビルドのレガシー システム

以前の統計処理システムは、収集サーバーから送られる一連の受信ログで構成されており、これらのログを処理サーバーのバケットにルーティングし、MySQL データベースに送信して短期保存するというものでした。また、ドキュメントを長期保存するために、そこから別のデータベースに情報を転送していました。しかし、時間が経つにつれて、長期保存用のデータベースへ送られるデータも増えていきました。この時点で、すでに膨大な量のデータが保存されていたことから、このシステムをクラウドに単にリフト&シフトするだけでも、財務面での負担は大きかったと思われます。また、以前のシステムにはアクセス制御リストがなかったため、寄稿者は全員の統計にアクセスできるか、どの統計にもアクセスできないかのどちらかでした。このようなシステムでは、データの利用方法を制御することはほぼ不可能でした。

Firestore と Google アナリティクスで技術的負債を削減

オンプレミス ソリューションからクラウド ソリューションに移行するなかで、統計処理システムを修正し、独自の自己収集アーキテクチャからよりシンプルなものに切り替える時期が来ていると判断しました。Google アナリティクスとシームレスに統合でき、メンテナンスが軽減され、コンテンツのパフォーマンスを確認したい執筆者のユーザー エクスペリエンスも向上されることから、NoSQL ドキュメント データベースである Firestore にたどり着きました。さらに、データベースとして Firestore は設定や管理が不要で、完全にクラウドネイティブです。また、安価にデータを保存できるうえ、低レイテンシのクエリを実行することも可能です。

エンタープライズ データ ウェアハウスの BigQuery を使用して履歴データを保存し、Firestore で統計処理を行い、Google アナリティクスでサイト指標を提供することで、技術的負債を大幅に削減し、40~45 台あったアプリケーション サーバーをわずか 3 台に置き換えることができました。

サイト指標を高速化して 1 日 1 回から 15 分ごとに

新しい統計処理システムを導入してからは、寄稿者のサイト指標をより迅速に更新できるようになりました。以前は、日々のページビューなどの特定の指標の計算は 1 日に 1 回だけ行っていました。しかし、Firestore を導入したことで、計算回数を 15 分ごとへと増やせるようになりました。

また、過去のデータを計算するだけでなく、過去 1 時間の投稿のパフォーマンスを 1 分単位で寄稿者に提供できるようになりました。データベースの書き込み処理に関しては、1 日あたり 10 万件だったものが、15 分あたり数百万件へと増加しました。

このようなきめ細かいデータを提供することで、コンテンツに磨きをかけて最良の記事を読者に提供できるよう、寄稿者を支援しています。

SEO の推奨事項を共有してユーザー エクスペリエンスを向上

Forbes は、ページビューに依存して収益を上げるメディアであることから、ページビューを増やすための新しい方法を寄稿者に提供したいと考えました。このため、リアルタイム データと AI を使用し、Firestore で SEO を効果的に行うための推奨事項を寄稿者に提供することにしました。コンテンツ マネジメント システムによってこの推奨事項が提示され、寄稿者はこれを利用してよりパフォーマンスの高い見出しを作成し、各記事のページビューを増やすことができます。この機能により、コンテンツの収益率が向上し、寄稿者は常に最適化してパフォーマンスを向上させることが可能になりました。

BI チームとのコラボレーションを強化

クラウドネイティブ・ソリューションの採用は、社内のステークホルダーにもメリットをもたらしています。たとえば、Forbes には、データマートと呼んでいるクリーンアップされた形式でデータを提供するタスクを担うビジネス インテリジェンス(BI)チームがあります。この BI チームは、以前は統計処理システムから完全に切り離された分析ツールを使用していました。現在は、Google アナリティクスを利用し、両チームが同じデータを使用しているため、BI チームが実行するクエリをより深く理解できるようになりました。

Firestore を活用した今後の展開

Forbes は、さまざまな方法で Google Cloud を使用しており、これには、独自のファースト パーティ データ プラットフォームである ForbesOne のホスティングも含まれます。このフル機能のプラットフォームでは、データ収集、データ処理、データ分析、ML と AI の活用によるセグメンテーションや類似オーディエンスの作成、プラットフォーム内外のコンテンツ ターゲティング、レポート作成などを行えます。将来的には、Firestore を介して ForbesOne の機能を Forbes のパブリッシング プラットフォームに統合し、ジャーナリストにさらに多くのインサイトや推奨事項を提供できるようにしたいと考えています。

Firestore についてご関心をお持ちの方は、導入に役立つ以下の情報をご参照ください。

  • Firestore プロダクト ページ: フルマネージド、スケーラブル、サーバーレスのドキュメント データベースを使用して、リッチ アプリケーションを簡単に開発する方法を紹介しています。

  • 動画: ジャーナリストが情報に基づいた意思決定を行えるように、Forbes が Firestore、BigQuery、Cloud Functions を使用して新しいインテリジェンス テクノロジーを迅速に開発した方法を紹介しています。

  • 新規のお客様には、Firestore で使用できる無料クレジット $300 分を進呈いたします。ご利用を開始するには、Google Cloud コンソールにアクセスしてください。


- Forbes、ソフトウェア アーキテクト Benjamin Harrigan 氏
- Forbes、エンジニアリング マネージャー Alexander Shnayderman 氏

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