予測不能な世界で、予測可能なデータベースを実現するには
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2020 年 8 月 18 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
ビジネスを成功させるためには、サプライ チェーンの目まぐるしい変化、オンライン チャネルの全面的な導入、予期せぬ需要の急増といった、予測不能な事態に対処する能力がいっそう不可欠になっています。こうした対応をサポートする中核となるのが、ビジネスを支え、アプリケーションを強化するデータベースです。だからこそ、Google Cloud は革新性を備えたデータベースを設計してきました。この革新性は、Google 自身のビジネスにおける不確実性への対応に求められるものと同じです。つまり、データのセキュリティとポータビリティを実現する、使いやすく管理しやすいデータベースを構築するということです。これは特に革新的なアプリケーションにおいても実証済みです。
今週の Google Cloud Next ‘20: OnAir では、Google のデータベースのポートフォリオ全体を深く掘り下げ、限界に挑み続けるために新たに改善された点を紹介する予定です。クラウドへの移行から、旧来のシステムのモダナイズや新しいアプリケーションの構築に至るまで、お客様の状況に応じたさまざまなセッションが用意されています。また、他の企業が Google Cloud を利用して現代のビジネスをどのように再定義しているか、導入事例を通してお伝えします。
こうしたお客様の中の 1 社が、インド最大級のソーシャル メディア プラットフォームの ShareChat です。同社は最近、スケーラビリティとコスト効率の向上というニーズに対応するため、Amazon DynamoDB から Cloud Spanner と Cloud Bigtable への移行を完了しました。この移行によってすでに 30% の費用削減を実現していますが、その真価が明らかになったのは、トラフィックがわずか数日で予期せず 500% 急増したときでした。コードをまったく変更することなく水平方向にスケールし、需要の高まりに対応できたのです。今週の基調講演で詳細をご覧ください。
Google Cloud データベースの新機能
Google Cloud はデータベースのポートフォリオ全体を通じて、困難なデータの問題を解決し、特にミッション クリティカルなアプリケーションを実行するため、新しいイノベーションを生み出し続けます。こちらで新機能をご覧ください。
Spanner: データの信頼性を確保してデベロッパーに貢献
リレーショナル データベース業界をリードする Spanner は、リレーショナル データベースの構造と、非リレーショナル データベースのスケーラビリティを兼ね備え、それぞれの特性を独自に組み合わせることで業界トップクラスとなる 99.999% の可用性を実現します。現在、Spanner Emulator が一般提供されており、デベロッパーがアプリケーションを開発する際に正確性テストを行えるようになりました。このエミュレータはオフライン環境で実行できるため、生産性改善とコスト削減に役立っています。また、Spanner は新しい C++ クライアント ライブラリ、追加のイントロスペクション機能、オープンソース JDBC ドライバ、Hibernate ORM インテグレーションも提供します。またこの他にも、外部キー、クエリ オプティマイザーのバージョニング、WITH 句サポートなど、SQL 機能セットが強化されています。
さらに、クラウド ネイティブの Spanner は新たにアジアとヨーロッパ向けに、99.999% の可用性を実現するマルチリージョン構成を新たに提供しており、ユーザー マネージドのバックアップと復元を利用すれば Spanner データベースのバックアップをオンデマンドで作成できます。
Bigtable: 信頼性が高く、あらゆる規模のエンタープライズ ワークロードに対応
Bigtable は Google の NoSQL データベース サービスです。現在はお客様が高いビジネス継続性を実現し、管理オーバーヘッドを最小限に抑えて最もミッション クリティカルなワークロードにデータ保護を追加できるマネージド バックアップなど、新しい機能が追加されています。また、テーブルレベルの ID アクセス管理(IAM)や、管理アクティビティの監査ログも追加されました。さらに、単一ノードの本番環境インスタンスにサポートと SLA を拡張しており、Key-Value とワイドカラムで構成されているユースケースであれば、規模の大小に関係なく Bigtable で簡単に対処できます。
Cloud Firestore: 可視性の向上とアプリ開発の容易化
Firestore で、モバイルおよびウェブのデベロッパーによるアプリの開発が簡単になりました。豊富なクエリ言語、C++ クライアント ライブラリ、Firestore Unity SDK が提供されるようになり、ゲーム デベロッパーが Firestore を導入しやすくなっています。また、近日提供予定の Firestore Key Visualizer では、使用パターンやパフォーマンスを可視化するツールを導入します。Firestore は、信頼性の高い大規模なリアルタイム アプリケーションを開発したいと考えているデベロッパーに特に人気があります。Firestore が一般提供されてからわずか 1 年半で、200 万件以上のデータベースが作成され、モバイル、ウェブ、IoT アプリケーションが強化されてきました。SlashData の最近の調査によると、Firestore は市場に出回っている他のどのクラウド データベースよりもデベロッパーの満足度が高いことがわかっています。
Cloud SQL: 可用性、セキュリティ、財務ガバナンスに対するエンタープライズ コントロール
Cloud SQL は、MySQL、PostgreSQL、SQL Server 用のフルマネージド サービスです。Google Cloud では、メンテナンス制御やクロスリージョン レプリケーションの追加などの Cloud SQL のエンタープライズ機能を強化してきました。障害発生時もビジネスの継続性を維持しやすくし、Postgres もポイントインタイム リカバリで過去の状態から簡単に復元できるようにするためです。それに加え、確約利用割引によって、手動のオーバーヘッドを増やすことなく、柔軟性や財務管理を強化できます。これらは SQL Server、MySQL、Postgres で、マシンサイズを問わず移行可能のため、リソースのニーズが変わっても最大限利用でき、1 年間のコミットメントの場合はオンデマンド料金に対して 25% 割引、3 年間のコミットメントの場合はオンデマンド料金に対して 52% 割引となります。
Cloud SQL は企業での人気が高まり続けているだけでなく、Google Cloud 全体とのネイティブな統合により、真に強力なアーキテクチャを実現しています。Google Kubernetes Engine(GKE)ユーザーは 500,000 以上のプロキシ インスタンスをデプロイし、Cloud SQL に安全に接続したことがわかっています。また、BigQuery ユーザーは連携クエリを利用して、1 か月で Cloud SQL の 22 PB のデータのクエリを実行し、分析とオペレーション データのギャップを埋めることができました。
Bare Metal Solution: 特殊なワークロードをクラウドで実行するためのファスト トラック
ライセンス上の制限があるユーザーや、従来のオンプレミスのデータベースを現状のままクラウドに移行したいユーザーにとって、Bare Metal Solution は、ワークロードをすばやく移行し、全体の費用を削減できる最適なオプションです。
Oracle のように、認定ハードウェアと構成が必要な特殊なワークロードを実行しているユーザーのために、Google Cloud のBare Metal Solution がさらに多くのリージョンで利用できるようになりました。Bare Metal Solution は、こうしたワークロードを数ミリ秒のレイテンシで Google Cloud に移行でき、アプリケーション インフラストラクチャのランドスケープのモダナイズと同時に、既存の投資とアーキテクチャの維持をすばやく実現できます。
お客様のデータ管理ツール利用方法
ShareChat の基調講演に加え、DynamoDB から Bigtable および Spanner への移行についてのセッションもご覧ください。AWS から Google Cloud への移行により、どのようにスケーラビリティと効率化を実現したのかがわかります。他にも、New York Times がFirestore でどのようにリアルタイム共同編集エディタを構築して、ライターや編集者がお互いの編集内容をリアルタイムで確認し、すばやく記事を発行できるようになったかもご確認ください。
また、Colopl などのゲーム パブリッシャーが Spanner によっていかに急速に成長したかもお聞きいただけます。さらに、Firestore プロダクトのエキスパート、Khan Academy の CTO 兼エンジニアリング担当バイス プレジデントが、Firestore の新機能、および Khan Academy がオンライン学習の需要の高まりにどう対応したかについてご説明します。
今日の世界では予測不能なことが多発しますが、データベースは予測可能なものであるべきです。今週、オンラインでお会いして一緒に考え、学べることを楽しみにしています。
最新情報についてGoogle Cloud の無料トライアルを始めましょう。Google Cloud はなぜガートナーにデータベースのリーダーとして選出されたかもご覧ください。
-データベース担当プロダクト管理ディレクター、Penny Avril