小売の将来を形作る API
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 8 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
今日の小売の顧客は、これまでになく、デジタル ファーストで簡便な購入方法を利用しています。その実現に不可欠なテクノロジーとして API があります。API は、小売業者にそのシステムとプロセスを効率的かつ迅速に変革する手段をもたらします。
API は、さまざまなサービスによって小売業者がリモート顧客にアプローチできるようにしてきました。たとえば、オンラインで注文して店舗の中またはすぐ外で商品を受け取るサービス、配達パートナーを通じた注文のフルフィルメント、オンライン ショッピング中の個人に合わせた商品のレコメンデーションが挙げられます。このような機能は、世界が急速に変化した昨年から特に重要になっています。顧客との接点にこれからも多くの変化が見込まれることから、小売業者がデジタル体験のカスタマイズを推し進め、その業務を合理化するうえで、API が中心的な役割を演じ続けると考えられます。
Google Cloud の State of API Economy 2021 レポートによると、32% の組織がデジタル トランスフォーメーションへの投資を増額しており、16% がデジタル ファースト企業になるために企業戦略を全面的に変更しようとしています。また、2021 年の早い時点におけるオンライン販売額が、2022 年のオンライン販売額として予想されていた数字にすでに達しています。これらの点から、今後 5 年間にわたり、小売業界において API が事業の復元力と成長の基盤になると見られます。
小売のイノベーションの最前線に位置する API
小売業者は、テストを行ったり、自社の各チームをつなげて迅速にコラボレーションしたりするために API を利用しています。このようにすることで、顧客エンゲージメントを強化する革新的な体験を実現するために、データを活用できます。
小売業者は、API を使用することによって、内部的にも外部的にも、また市場の境界を越えて、新たな方法でイノベーションを進めることができます。最新のデジタル体験は、多彩なデータと機能から構築されています。それがサプライ チェーン全体に及ぶこともあれば、複数のシステムにわたることもあり、流通チャネルをまたぐさまざまなサービスに属することも普通です。API は、あらゆるものをつなぐデジタルの神経系統です。API により、小売業者は、社内効率の向上、大規模な提携関係の構築、機械学習などの最先端サービスの活用を見込めます。その理由は、API を使用することで、さまざまな種類のテクノロジー資産を相互運用できること、デベロッパーが容易に利用して再使用できることに尽きます。Google による調査では、小売業者の 52% が、パートナーによるデジタル資産の大規模な活用を実現することによって API はイノベーションを加速すると述べています。また、36% の小売業者が、ビジネス価値を創造するための戦略資産として API を捉えていると述べています。
ここでは、API の恩恵を受ける小売のユースケースと実例をいくつか取り上げます。
パーソナライズされた顧客体験の実現
小売業者は、API を使用して、インタラクティブで予測に基づきパーソナライズされた体験を作り出します。このような体験は、パーソナライズされたおすすめの衣服、アクセサリ、あるいはメイクまで反映する「マジック」ミラーのような機能から、店舗を散策する買い物客にお買い得商品の確認をすすめるスマートフォン通知、あるいはクーポンの提供などにまで及びます。このような体験の背景では、店舗データと顧客データ、ビジネス インテリジェンス、アプリケーションのセキュリティを API が相互に接続して、これらの革新的な体験を現実のものにしています。
小売オペレーションの合理化
API は、あらゆる小売ビジネスで人事、顧客サービス、流通から、請求、マーケティング、コンプライアンスにまで及ぶ業務の効率向上に効果を発揮します。たとえば、従業員と請負業者のオンボーディング、管理、トレーニングが API によってきわめて簡単かつシンプルになります。内部と外部のさまざまなサードパーティ システムを接続し、リアルタイムのパッケージ状態の追跡や顧客の購入行動に関する見識の収集などのユースケースに対応できます。
ドイツの電子機器小売業者である Conrad Electronic は、API の管理が効率の向上につながることを証明しています。同社では Apigee を使用して、モバイル デバイスで製品情報やサービスと保証に関する情報を店舗の従業員と訪問客に提供するツールを作成しています。これにより、データを使用して顧客への特典やサービスを強化するだけでなく、60% 以上の顧客が API 対応のツールを使用していることで業務の合理化も実現しています。
小売の将来を拓く API
小売のどの領域でも、API がイノベーションを推進するうえで要となっています。API は、小売業者が継続的にデジタル トランスフォーメーションを実施できるようにするだけでなく、混乱の発生時にうまく切り抜けるためのツールの開発も可能にしています。
小売業者は、API の能力を活用して、次のような未来に備えています。
商品の自由な流通と消費者が望む購入体験を実現する、複数の市場にわたるチャネルのボーダーレス化
リアルタイムで進化して消費者のニーズを予測し、購買の意思決定を後押しする、インタラクティブでインテリジェントなマーチャンダイジング
消費者との交流を深め、製品に関するより深い分析情報をもたらす自律的な仮想購入体験
API によるイノベーションの推進の詳細については、Google の最新の eBook をダウンロードしてご覧ください。この eBook では、小売固有の API による数多くのユースケース、詳しい実例、API が形作る小売業の未来に関する知見を取り上げています。
API の効果的な管理
API プログラムが大規模になり、ビジネス クリティカルなアプリケーションとフロントエンド環境の機能強化に着手するようになると、API を管理およびスケーリングする効果的な手段が必要になります。これは、Google Cloud の Apigee API 管理プラットフォームが効果的な場面です。世界中のトップ小売業者は、Apigee を使用して API を制御し、API に関する知見を得ています。これにより、API のライフサイクルにわたるエンドツーエンドの管理を実現しています。Apigee の詳細については、こちらをご覧ください。
-Google Cloud ビジネス プラットフォーム ストラテジー担当責任者 Chris Hood
-Apigee プロダクト マーケティング マネージャー Manoj Gunti