API のスプロールをエージェント対応のカタログに変換
Mak Ahmad
Product Manager
Kyle Wiese
Software Engineer
※この投稿は米国時間 2026 年 2 月 28 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
最新のクラウド アーキテクチャでは、API はアプリケーションを形作る基本要素です。しかし、組織が拡大するにつれて、API は複数のゲートウェイやチーム、プラットフォームに分散しがちです。このスプロール(散在)は、ガバナンスや再利用を難しくする見えない領域を生み出します。しかも、次世代ソフトウェアにとっては、さらに深刻な問題になり得ます。AI を効果的に活用するうえでの障害になってしまうからです。
そこで今回は、この問題を解決する 2 つの方法をご紹介します。
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Specification Boost(仕様の強化)アドオン。Apigee API Hub 上で、API 仕様の読みやすさと見つけやすさを自動的に高められる機能です。
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API Hub と API Gateway の新しい統合。
これらを組み合わせることで、分散している API を単一のコントロール プレーンに集約し、エージェント型 AI が前提となる未来に備えられるようになります。
AI 戦略にとって重要な理由
エージェントの力は、与えられる道具によって決まります。Apigee API Hub を使えば、組織に関係するすべての API 情報を集約し、整理して一元管理できます。また API Hub では、開発者が API を見つけて評価しやすくなるような重要情報を蓄積できるため、可能な限り他チームの成果も活用しやすくなります。API Hub で API のスプロールを制御することで、次の点を担保できます。
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エージェントが API を見つけられる: 一元化によって、AI ツールが存在に気づけないシャドー API が埋もれてしまうことを防げます。
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エージェントが API を使用できる: ドキュメントを充実させることで、ハルシネーションを抑え、関数呼び出しの成功率を高められます。
スプロールは AI 導入の足かせになる
実際、多くの組織では、API を複数のプラットフォームにまたがって管理しています。たとえば、単純なサーバーレス用途は API Gateway、ミッションクリティカルな用途は Apigee、さらにサードパーティ製のソリューションも併用するといった形です。こうした分散環境では、プラットフォーム チームがセキュリティを徹底したり、利用状況を追跡したりすることが、主に 3 つの点で難しくなります。
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API が分散している: エージェントが発見できないまま、さまざまなシステムに API が散在しています。
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不完全な API: API の使い方を理解するために必要なサンプルやエラーコードといった十分なコンテキストが不足しています。
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存在が見えない API: 多くのレガシー環境では、仕様がないまま API プロキシが動いており、ドキュメントも存在しないため、自動化ツールからは見えません。
ステップ 1: API メタデータを一元化する
この問題を解決する第一歩は、可視化です。API Gateway と API Hub の新しい統合により、API のメタデータを単一のリポジトリへ自動的に同期できるようになります。
API Gateway では、サービスの実装を問わず、すべてのサービスで一貫して明確に定義された REST API を使用して、バックエンド サービスに安全にアクセスできます。
さらに API Gateway を API Hub に接続すると、API 定義、OpenAPI 仕様、ゲートウェイ設定が、ほぼリアルタイムで自動的に検出および同期されます。この仕組みはバックグラウンドで透過的に動作するため、既存の API やクライアントを変更する必要はありません。
これらのアセットをまとめて管理することで、チームごとに最適なゲートウェイを使うという分散的な運用は維持しつつ、API に関する知識や情報は一か所に集約できます。
ステップ 2: API 仕様強化アドオンで API をエージェント対応にする
API を一元化すると、仕様自体は技術的には正しくても、AI エージェントにとっては十分に分かりやすくない場合があることに気付くかもしれません。そこで、このギャップを埋めるために、API Hub 向けの仕様強化アドオン(公開プレビュー版)を導入しました。
このアドオンを使うと、API の仕様ファイルをエージェント対応の形に整えることができます。仕様を強化することで、開発者、API 利用者、そして AI エージェントのいずれにとっても、仕様がより理解しやすく、また利用しやすくなります。
仕組み:
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分析: 一元化された API をスキャンし、利用例の不足やエラー条件の未定義など、仕様上の不足点を検出します。
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強化: エージェントが確実に機能するために必要な、正確なパラメータ検証や動作例を追加した「強化版」の仕様を生成します。
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簡単な比較: specboost-draft というラベルの付いた並行バージョンが作成されます。元のファイルは上書きされないため、導入前に「元の仕様」と「強化後の仕様」を並べて比較できます。
この機能は、API Hub コンソールの [アドオン管理] セクションから直接有効にできます(図 1)。


図 1: Google Cloud コンソールの [アドオン管理] 画面。ここで仕様強化アドオンを有効化できます。
有効化すると、API Hub のリストビューで仕様のステータスを確認できます。また、図 2 のとおり、強化された仕様は元のファイルの横に分かりやすくリンク表示されるため、強化版へ簡単にアクセスできます。


図 2: 仕様ファイル一覧。元の「s1」仕様と、自動生成された「s1-Specboost」バージョンが表示されています。
使ってみる
どちらの機能もすでに利用可能です。
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API Gateway ユーザーの場合: コンソール上に API Hub へのオンボーディングを開始するためのプロンプトが表示されます。API を単一のコントロール プレーンに統合する方法について詳しくは、API Gateway の統合に関するドキュメントをご覧ください。
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仕様の強化アドオンの場合: API Hub の設定から直接有効にすると、強化された仕様の生成を開始できます。エージェント型 AI の時代に向けて API ポートフォリオを準備する方法については、ドキュメントをご覧ください。
- プロダクト マネージャー Mak Ahmad
- ソフトウェア エンジニア Kyle Wiese



