Vision AI を使用して母国語の保護を支援する Woolaroo アプリ
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 6 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
文化の最も生き生きとした要素として、母国語の使用と、昔からの言い伝えを語り継ぐことが挙げられます。人類学者と言語学者は、文化の保護において言語が果たす役割と、伝統の理解における言語の貢献について主張してきました。
残念ながら、世界中で話されている 7,000 以上の言語のうち、およそ 3,000 が消滅の危機にあります。実際、平均すると 14 日ごとに 1 つの言語が絶滅すると推定されています。Google Arts & Culture は、創造的なテクノロジーを利用し、言語組織との提携を促進することにより、インタラクティブな教育ツールの作成を支援できることに気付きました。
その結果誕生したのが、機械学習と画像認識を活用したオープンソースの写真翻訳プラットフォームである Woolaroo です。このアプリケーションは Google Cloud を基に構築されており、ユーザーが世界中の消滅危機言語を探索しやすくなっています。ユーザーが物体の写真をリアルタイムで撮影すると、その物体の名称が発音とともにこうした先住民族の言語でアプリケーションに表示されます。
Woolaroo は、エンゲージメントとコンテキストが存在するとき、言語学習の効果が非常に高まるという理念に基づいて作成されました。物体とそれを取り巻く環境を目で見ることで、情報を記憶し、会話で自然に使用しやすくなります。
Google 社員の協力により、Woolaroo はカラブリア ギリシャ語、ルイジアナ クレオール語、マオリ語、イディッシュ語を含む 10 の言語でリリースされました。アプリの構想段階でパートナー イノベーションと Google Arts & Culture のチームが、Google の他のチームに募集をかけ、従業員が話せるあまり知られていない言語を確認しました。次に、辞書の開発に応じた個人と協力し、パートナー機関が辞書をレビューして、翻訳が適切で一貫していることを確認しました。
Woolaroo は Google CloudVision API を使用します。この API は AutoML や事前トレーニング済みモデルを使用して画像から分析情報を引き出し、事前定義済みの数百万のカテゴリに画像を高速で分類します。AutoML がこうした機械学習モデルのトレーニングを自動化することで、より多くのユーザーが AI にアクセスし利用できるようになっています。
Google Arts & Culture のチームは芸術、歴史、文化などについて学ぶための没入型の体験をお届けします。Google では最新テクノロジーを利用して、話し言葉を含む伝統や文化的な史跡の保護の支援に取り組んでいます。Woolaroo の特長はオープンソースであるという点です。つまり、あらゆる人や組織が Woolaroo を使用し、消滅の危機に瀕している自言語のために何かを構築できます。Google Arts & Culture による取り組みの詳細については、Google Arts & Culture アプリをダウンロードするか、ブログをご参照ください。
- 小売・消費財・旅行担当カスタマー エンジニアリング責任者(英国およびアイルランド担当)Ian Pattison