KDDI と Google Cloud、AI の祭典「KDDI AI Agent Day」を開催:AI エージェントが実現する可能性

Google Cloud Japan Team
2025 年 12 月 12 日、Google Cloud と KDDI は、KDDI グループ内での AI 活用と人材育成を加速させるための大規模イベント「KDDI AI Agent Day with Google」を共同開催しました。生成 AI の枠を超え、自律的に動く「AI エージェント」がビジネスや社会をどう変えていくのか。本イベントでは、会場に集まった KDDI グループ社員約 200 名、また 350名 のオンライン参加者を前に、両社社長によるビジョンの共有、最先端の AI 研究に関するセッション、そして熱気溢れる「KDDI AI ハッカソン」が繰り広げられました。本記事では、その濃密な一日の様子をお届けします。
基調講演:松田社長が語る AI への期待と「四方よし」の志
オープニングのステージに登壇したのは、KDDI株式会社 代表取締役社長 CEO 松田 浩路 氏です。松田氏は、Google との長年にわたる戦略的パートナーシップの重要性を強調。単なる技術導入に留まらず、「AI で何ができるかを考えた際、お客様、コンテンツプロバイダー様、Google Cloud、そして我々の『四方よし』を実現し、社会全体のワクワクを創出していきたい」と力強く語りました。
続いて、Google Cloud Japan 代表執行役員社長 三上 智子が登壇。新たに掲げたビジョン「AI の力でともに創ろう!ワクワクする日本の明日を」を紹介し、KDDI のパーパスである「つなぐチカラ」といかに共鳴するかを語りました。スピーチのハイライトは、三上自身を模した AI アバターによるデモンストレーションです。英語、フランス語などを流暢に話すアバターの姿は、AI が言語の壁を「つなぐ」ことで実現する、新しいコミュニケーションの形を示しました。
AI Deep Dive:Google Cloud のフルスタック戦略と知能革命の最前線
技術セッションの前半では、Google Cloud 渕野 大輔 が、Google Cloud の AI における「フルスタック戦略」を解説しました。2016 年の「AI ファースト」宣言以来、Google と Google Cloud はカスタムチップ(TPU)から Vertex AI のようなプラットフォーム、そしてマルチモーダルモデルである Gemini まで、全てのレイヤーで一貫した開発を続けてきました。この強固な基盤があるからこそ、セキュアかつスピーディに AI エージェントを社会実装できるのだと、その優位性を語りました。
続いて、Google DeepMind 全 炳河(ゼン ヘイガ) が、AI 研究の最前線について語りました。全氏は、人類が今、蒸気機関や電力に匹敵する「知能革命(Intelligence Revolution)」の真っ只中にいると指摘。タンパク質の構造解析においてノーベル化学賞受賞という歴史的快挙を支えた「AlphaFold」や、国際数学オリンピックの問題を解く「AlphaProof」などの事例を挙げ、AI が単なる「情報の検索」から「複雑な推論と自律的な行動」へと進化していることを強調しました。


白熱の「KDDI AI ハッカソン」:現場の痛みから生まれた 10 の挑戦
本イベントの最大の盛り上がりを見せたのが、KDDI グループ全体から 64 組もの応募があった「KDDI AI ハッカソン」のピッチ大会です。書類通過したファイナリスト 10 チームが、Gemini Enterprise や Agent Development Kit (ADK) を駆使し、わずか数週間の準備期間で開発したプロトタイプを披露しました。


- ビッグローブ株式会社:マニュアル作成の品質を担保する「AI 上司」。過去の膨大なドキュメントを RAG で参照し、一貫性のあるマニュアルを自動生成します。
- KDDI(尾又氏チーム):自律的に社内の庶務手続きを代行する「進撃の庶務」。煩雑な出張旅費精算などの手順書を Gemini が読み取り、代理で実行します。
- KDDI (広報部):ニュース記事の論調解析を行う「KoDama PRism」。ブランドへの寄与度を自動スコアリングし、広報戦略の高度化を実現。
- KDDI (コミュニケーションデザイン部):プランナーの思考に問いかけを行う伴走型エージェント「ComiPla 君」。あえて答えを出さず、人間の気づきを促します。
- 株式会社 mediba:店頭での「買い逃し」を防ぐパーソナル購買インフラ「Mittoryy」。個人の嗜好データをセキュアに連携し、最適な商品をレコメンド。
- KDDI(竹下・永間・高里チーム):「Schedulink Direct」。エージェント同士が「Agent2Agent プロトコル (A2A)」で直接通信し、本人の嗜好に合わせた日程調整を完結。
- KDDI(打田・松尾・小峰・江良チーム):睡眠や食事などのデータでキャラが育つ「Life Friends」。健康習慣の改善をゲーミフィケーションで楽しみながら促進。
- KDDI 総合研究所(小西・福榮チーム):研究者の暗黙知を補完する「Tech. Doc. Studio」。特許や論文の執筆を 8 倍速にするパイプラインを構築。
- au コマース&ライフ(安森・田中チーム):出店店舗への提案を AI がサポート。過去の成功事例を学習したエージェントが、最適な販促シナリオを瞬時に作成。
- KDDI(中島・塚本・谷口・藤原チーム):特許の「種」を逃さない「Patentou」。事業部門のアイデアを知財部門が扱いやすい形式へ自動変換。
審査の結果、最優秀賞に輝いたのは KoDama PRism です。人手で補っていた「年間約47万件の記事露出チェック」を AI が代行することで、即日の PR 効果測定・レポートサイクルを実現。さらに、全社員が確認したくなるレポートにするため、漫才ラジオ風動画やビジュアルレポートでまとめ、PR 結果から見える社員の業務変革までをAIがアドバイス。これらをノーコードで実現したことが高く評価されました。


技術セッション:業界トレンドと KDDI における実戦的な活用事例
その後、Google Cloud の 下田 倫大 が登壇。通信業界における生成 AI の投資対効果(ROI)が平均 3.7 倍に達しているという興味深いデータを紹介しました。また、NotebookLM や Gemini Enterprise を活用することで、コーディングなしで誰でも AI エージェントを構築できる「市民開発」の時代の広がりを、印象的なデモとともに示しました。
KDDI 内部での具体的な事例として、石橋 憲 氏より「Pontaパス」における AI アシスタント「PontaパスPonta(見習い)」の開発秘話が語られました。既存モデルから Gemini への移行により、コストを大幅に抑えつつ応答精度を劇的に向上させた経験は、多くの参加者にとって非常に示唆に富むものでした。


また、柴田 翔平 氏からは、「Gemini on GDC(Google Distributed Cloud)」の国内初提供について発表されました。KDDI の大阪堺データセンターにおいて、最高水準のセキュリティとデータ主体性を維持しながら Gemini を利用できるこの仕組みは、金融や医療、行政といったデータの機微性が高い領域での AI 活用を加速させるものとして注目を集めました。


まとめ:AI とともに歩む「ワクワクする明日」へ
一日の締めくくりとなるクロージングには、KDDI株式会社 執行役員 藤井 彰人 氏と、Google Cloud 渕上 和寿が登壇しました。
藤井氏は、ハッカソンで示された社員の熱量に対し、「AI は私たちのライバルではなく、ともに歩むパートナー。今日見たようなワクワクする挑戦を、KDDI グループ全体に広げていきましょう」と呼びかけました。また、渕上氏は「今日生まれたアイデアはまだ卵。これを孵化させ、社会実装していくために、Google Cloud も全力で伴走します」と誓いました。
「KDDI AI Agent Day」は、AI エージェントが単なる夢物語ではなく、既に実用段階にあり、私たちの働き方やサービスを劇的に変えつつあることを証明しました。
Google Cloud はこれからも、KDDI とともに、AI の力で日本の明日を明るく照らす挑戦を続けてまいります。



