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Public Sector

AI を活用した機械学習モデルで不正な失業給付申請を特定

2021年6月11日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 5 月 27 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

米国の州や地方当局は、過去 1 年間での失業申請の提出件数が記録的な数に達しており、毎週前例のない数の請求を処理するという課題に直面しています。大半の政府機関が設置しているデジタル インフラストラクチャではこの件数を処理しきれず、住民の待ち時間は長くなり、不正行為者は脆弱なシステムを悪用しています。米国労働省監察官は、支給した請求のうち、630 億ドルが不適切な支払いや不正行為であると推定しています。

請求の検証では、書類と本人の確認を行うために、他の機関との安全なデータ共有も必要です。政府指導者は、請求の審査担当者が迅速かつ安全に未処理の請求を処理し、既存のシステムと統合して、正当な請求と不正の可能性がある請求を区別できるようにする方法が必要です。しかも、限られた政府予算の範囲内で、すべてを安全かつ大規模に行わなければなりません。

Google Cloud に不正使用検出ソリューションを実装

各州は、不正の可能性のある請求を除外しつつ、支払いを処理するように迫られていました。SpringML と Google Cloud は、信頼できる確認手続きを審査担当者に提供するフレームワークを開発しました。このフレームワークでは、不正の可能性がある請求を迅速にフィルタリングし、残りの請求を処理して適時に給付金が市民の元に届くようにしました。SpringML と Google Cloud は AI を活用した機械学習モデルを適用し、大規模なデータセット内で異常なパターンを検出しました。SpringML は、Google Cloud ツールを利用して、ワークフローを合理化し、効率化を図り、処理を自動化し、不正な可能性のある請求を特定するソリューションを実装しました。

SpringML はさまざまな Google Cloud プロダクトを使用し、次のような不正行為検出ソリューションを提供しています。

  • データを保存、管理する Google Cloud Storage

  • 表形式のデータを保存する BigQuery と、そのデータに対して機械学習を行う BigQuery Machine Learning(BQML)

  • 予測モデルとリスク評価を作成する AutoML ソリューション

  • データを表示し、政府指導者が情報に基づいた意思決定を行える可視化ツール(Looker やデータポータルなど)

不適切な支払いを検出する機械学習を実装することで、政府機関は報告の数に基づいて請求を「不正行為」または「非不正行為」に分類し、最も緊急の請求を優先できます。インテリジェントな仮想エージェントをデプロイしてよくある質問に対応することで、人間のエージェントがより困難な問題に時間を集中できました。

パンデミックが過去のものになっても、過負荷状態のシステムやレガシー システムを悪用しようとする不正行為者は存在し続けます。私たちは、政府機関が膨大な課題による負担を管理し、不適切な支払いの分析を改善するためのベスト プラクティスをいくつか特定しました。

  • システムをクラウドに移行する。オンプレミスのレガシー システムの多くは、膨大な請求に対応するようにアプリケーションを更新したりスケールしたりすることができません。クラウド環境に移行すると、ソリューションの迅速なデプロイと大量データの取り込みが可能になり、システムは過負荷にさらされません。クラウドは、費用対効果の高い安全な方法でユーザーに合わせてスケールできます。

  • データのパターンを理解する。答えは常にデータの中にあります。詳細な分析を使用し、大規模なデータセットで疑わしいパターンを明らかにできました。教師なし機械学習を実装して、行動を学び、システムに入力される新しい情報に適応する構成可能なルールを作成しました。人間なら見落としていたような不正行為に関連している可能性のあるパターンを発見できます。

  • AI / ML ツールを使用して、既存のシステムとチームを自動化する。これらのツールを利用すると、人間はよりスマートかつ効率的に業務を遂行できます。異常検出を自動化し、審査担当者が請求を迅速に処理するためのダッシュボードを作成します。リチャージ額の自動計算と処理を実装して、ウィスコンシン州の労働力開発局の業務遂行を可能にしています。これにより、処理時間が短縮され、ヒューマン エラーが抑えられます。プロアクティブな不正行為の検出とリチャージ支払いの適時な計算により、労働力開発局は適切な個人に確実に給付金を届けることができました。

  • システムに柔軟性を組み込む。私たちは不正行為のパターンが時間の経過とともに変化することを発見しました。たとえば、2020 年 3 月から 5 月までの不正行為の報告は、2020 年 6 月から 7 月までに見つかったものとは大きく異なります。Google Cloud ツールを使用すると、パターンを検出して外部データソースを統合するアルゴリズムを継続的に更新しやすくなります。

Google Cloud ツールを使用することで、デジタル インフラストラクチャを更新し、組織が大量の請求を効率的に処理できるように機械学習のベスト プラクティスを組み込んで、不正行為の可能性が高い請求を特定できます。SpringML は、コンサルティング サービスや導入サービスと業界固有の分析ソリューションを提供し、大きな影響力のあるビジネス価値を実現してデータドリブンのデジタル トランスフォーメーションを加速します。不正行為の検出と不適切な支払いの分析を改善する方法について詳しくは、ウェブセミナーをご覧ください。

-Google Cloud 政府および行政機関担当チャネル責任者 Melissa Adamson

-SpringML プレジデント兼最高戦略責任者 Prabhu Palanisamy

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