コンテンツに移動
Public Sector

政府のテクノロジー投資の優先順位付けに関する 5 つのヒント

2021年7月6日
Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2021 年 6 月 25 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

編集者注: 今回の投稿では、初開催の Google Cloud Public Sector Summit で行ったセッションから 5 つの要点を抜き出してご紹介します。セッション全体を視聴するには、All the Right Moves: Prioritizing Investments in Technology(すべてにおいて正しい判断を下す: テクノロジー投資の優先順位付け)をご覧ください。

政府機関では、そのミッションを果たしてコミュニティにより良いサービスを提供するために、デジタル サービスに投資する必要性がこれまで以上に増しています。しかし、モダナイゼーションは一度で終わるアプローチではありません。これは継続的な取り組みであり、複数年にわたる影響があり、既存の投資を統合してコストを最適化する方法を慎重に検討する必要があります。デジタル トランスフォーメーションを実施するには、多数の競合する考慮事項すべてを含めて、さまざまなプログラムや機関の間で調整を行う必要があります。つまり、テクノロジー投資を最大限に活用するには、慎重な計画、戦略的思考に加え、柔軟性とセキュリティを提供できる、現在の政府機関に対応可能な業界パートナーが求められます。

私は、元米国連邦最高情報責任者の Suzette Kent 氏、一般調達局(GSA)の Technology Transformation Services のアシスタント コミッショナーである Dominic Sale 氏とともに、この重要なトピックを紐解き、業界のベスト プラクティスについて話し合いました。

このパネリストで、所属機関のテクノロジーの購入を決定しようとしている政府の職員に向けて 5 つのヒントを提示しました。

1.   政府機関のミッションを最優先する。魅力的な目新しいトレンドに気を取られず、長期的な目標に焦点を合わせます。この目標は、どの調達戦略または資金を使用できるかに影響する可能性があります。まずは、政府機関がテクノロジーに関するさまざまな不平不満をはねのけて、ニーズに最適なテクノロジーを優先させる方法について話し合いました。Sale 氏と Kent 氏は、政府機関はそのコアミッションの成果に焦点を合わせ、そこからテクノロジーのニーズを引き出すべきだということに同意しました。また Sale 氏は、テクノロジー設計が人間のニーズに対応していることが重要で、これが政府機関にとって従来の課題であることも強調しました。

政府機関がそのミッションに集中し続けるためには、各プログラムのミッションを最もよく理解しているプログラム マネージャーが、テクノロジーに関する最終決定を行う必要があります。政府の最高情報責任者の役割は、テクノロジーを実現し、特にインフラストラクチャを共有する場合には、エンタープライズ レベルでそれを活用することです。要点: ミッション プログラムを実現するには、チームに権限を持たせて、承認済みの、コンプライアンスを確保した革新的なデータ プラットフォームにアクセスできるようにして、プログラムを確信を持って迅速に遂行できるようにする必要があります。

2.   相互運用性に投資する。政府機関の職員は、多くの場合、良好な投資収益率(ROI)を達成する必要性と、ミッション目標を達成するための要件とのバランスを取るのに苦労しています。パネリストたちは、総所有コストが重要であることに同意する一方で、イニシアチブに基づいた、何年も収益が得られない可能性のある機能を、将来を見据えて設計し、それに投資することなど、ROI を広い視野でとらえるべきことも強調しました。ソリューションが政府機関のニーズを満たしていなければ、コスト削減に特に価値はありません。技術パートナーを選定する際には、政府の職員がその長期的なビジョンを理解して、パートナーが政府機関の優先事項に適合しているかを見極める必要があります。また、政府機関の投資コストが重複することがないように、パートナーのテクノロジーを既存のシステムとシームレスに統合する必要があります。

たとえば、Google Anthos は、Google Cloud のサービスとエンジニアリング プラクティスを組織の既存の環境に拡張して、アプリ全体の運用の一貫性とモダナイゼーションを実現します。Anthos を使用すると、簡単かつ安全にアプリケーションを構築してどこにでもデプロイできるため、異なるプラットフォーム間でクラウド サービスを統合できます。これにより、ハイブリッド環境とマルチクラウド環境で一貫した DevOps エクスペリエンスを享受でき、新たなイノベーションが可能になります。最も重要なのは、これによりエンタープライズ データ プラットフォームが実現することです。これがミッション変革と AI 応用の促進に大きく寄与します。

3.   人工知能(AI)のメリットを活用する。パンデミックの過程において、AI が急速に適用され、政府の生産性、効率性、そして重要な新しいサービスを国民に大規模に提供する能力が向上しました。これにより、現在および将来に不可欠な政府テクノロジーとしての AI の役割がさらに強固になりました。実際、Nextgov は、「政府の IT スペシャリストの 46% が、近い将来、組み込みシステムに AI と機械学習(ML)を使用することを計画している」と報告しています。

パンデミックの過程で見てきたように、政府のプログラムを小規模な AI パイロットから始めて、その後、大規模な展開に移行できます。これは、完全な本番環境に移行する前に、政府機関が AI の可能性を理解するのに役立ちます。AI テクノロジーは人が常に監督しており、その可能性は無限大です。Google Cloud の Contact Center AI(CCAI)を利用して、政府機関は、市民が任意のプラットフォームから最大 28 種類の言語と方言でワクチン接種の予約を行えるようにしてカスタマー エクスペリエンスを向上させ、またワクチンの展開を管理しています。米国海軍は、船舶のさびや腐食の対策に、毎年莫大な金額を費やしています。船舶、航空機、車両の検査は、米国海軍の能力を最高の状態に維持するためには不可欠ですが、時間がかかります。そのため、Google Cloud と Simple Technology Solutions(STS)で AI ベースの腐食検出と分析システムを迅速に構築しました。このシステムで船舶の腐食が 90% の精度で検出、分析されるようになり、最終的にはこれを使用して船舶、航空機、車両の検査を自動化する予定です。これは数十億ドルの節約につながります。Document AI は、さまざまな政府機関がドキュメント処理をスケールするのに役立っており、通常であれば長時間かかる、膨大な量のデータと関連する市民の申し立ての処理時間を短縮しています。

AI の採用が成功するかどうかは、データの品質にも左右されます。最終的に、職員やコミュニティがシステムと公共機関を信頼するためには、政府機関に高品質のエンタープライズ データパイプが必要です。Sale 氏は、AI bot を使用して法的契約を読み上げ、指定したユースケースを示す特定のフレーズを探す GSA プロジェクトについて説明しました。以前は、職員が契約書全体に目を通して、情報を検索する必要がありました。このように、AI は政府の費用と時間の両方の節約に役立っています。

4.    住民のエクスペリエンスを改善する。Sale 氏は、「信頼は政府の通貨と利益の原動力」だと述べています。そして信頼を得るには、住民に使い慣れた同じ最新のツールとテクノロジーを、リアルタイムで透明性を考慮して提供する必要があります。たとえば、政府機関は、プログラムの公開ダッシュボードで透明性を提供し、CCAI などのソリューションを通じてリアルタイムで情報を配信するサービスを提供できます。

また信頼を得るには、政府機関がデータを安全に保護していると住民が感じることも必要です。特に政府の IT インフラストラクチャを標的とした最近の一連のサイバー攻撃の後では、グローバルに安全なインフラストラクチャで、あらゆるレベルのセキュリティを備えて設計され、エンタープライズ規模のゼロトラストによって支えられた最新のシステムを実行することが最優先事項となっています。

5.   適切なテクノロジー パートナーを見つける。政府指導者は、既存の投資を統合して技術の価値を最大化する、柔軟で相互運用可能なプラットフォームを提供するテクノロジー パートナーを必要としています。従来、公共機関では主にプライベート クラウドの採用を余儀なくされてきました。このため、より充実した機能へのアクセスが制限され、幅広いセキュリティやプロダクト機能の採用が妨げられていました。適切なパートナーであれば、コンプライアンスを実現するために機能やサービスの可用性について政府指導者に妥協を求めることはありません。適切なパートナーは、新しいテクノロジーの力を利用して、政府に対応し、クラウドの醍醐味であるオープンデータへのアクセスと統合を実現して、ミッションを住民にとってより強力で影響力のあるものにします。

 

-Google Cloud グローバル公共部門デジタル戦略担当ディレクター Todd Schroeder
投稿先